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88 秘密会合

 2時過ぎから三々五々集合した今日の会議の冒頭



「皆様お揃いですので、本日の会議を開催させていただきます。」

 アンナリーナ様が静かに告げる。



「まず、今回の会議の意味を再確認いたします。 本日ご参会の皆様は、我がエステルグリーン伯爵家次期当主である太郎が購入した性奴隷の親達です。

 性奴隷として買われた彼女達の状況を確認していただくことが主たる目的で、レンナルトの快気祝とはお題目となっております。

 我が夫レンナルトの病臥から始まり、エレオノーラ=アンドレアソンのリーマス第三王子との婚約破棄、そして我が国の次代を嘱望される人材の冤罪による自宅謹慎という不可解な出来事のなかで、王室から身分剥奪とされた者達の保護のため、性奴隷として奴隷商会に売り払い太郎に保護して貰い今日に至っている。

 このことについて、認識の相違はありませんね。」



「異議なし」



「対外的には、奴隷として売り払ったので各家の処分は終わり「当家には関係の無いこと」として事態を収めている。その結果、王家からのその後の追求はないということも宜しいでしょうか。」



「異議なし」



「すなわち、今の王家、と、その取り巻きは、リーナス第三王子とヴィルヘルミーナ嬢の婚姻が当面の目的でその支障となる者の排除が最優先課題ということ。

 それに関係が無いものには不干渉という姿勢を示しているということです。」



「異議なし」



「ですから、私からの提案を一笑し、自家で保護すると豪語されたゲリンベリ男爵家の様に、アグネル=ゲリンベリ男爵令嬢がスラム街で陵辱さた死体で発見されるという様な状況は避けられた。現在彼女達を保護するという目的は達成されているということです。宜しいでしょうか。」



「そのことには異議はないが、その太郎殿に酷い目に遭わされていると言うことはないのか。」



「そのことについては、エレオノーラから説明させますわ。」



「ご参会の皆様、エレオノーラです。私がされた事をお話します。私が奴隷商会に売られた翌日に太郎様に引き取られました。皆様の令嬢はまだ奴隷商会に留め置かれましたが、 その翌日太郎様は一括引取された様で、その間の彼女達の待遇は確約させていた様です。 私は奴隷商会でクリーン魔法を掛けられ身綺麗にされた後、服を与えられ屋敷まで連れて来られました。屋敷に入った途端に風呂場に連れて行かれ全身を洗われました。その後、全身を隈無く病気や怪我などのを調べられました。私は奴隷商会で転んで擦り剥いた処があったのですが、太郎様はそれもヒールを掛け治して下さいました。


 その後、奴隷紋による「感情鈍磨」を解き、人形から人間に戻し、美味しいお昼ご飯をいただきました。食後、私の仕事として残りの奴隷達(太郎様は使用人と言い、奴隷とは言いませんでしたが)のリーダーとなること、仕事を覚えることを命じられました。エレオノーラ様の派遣したメイドさんから仕事の説明を受け、今後の方針を考える様に命じられました。


 見よう見まねでメイド仕事をしたのですが、慣れていないため役に立たなかった様で、太郎様から実家への引取交渉で身請けされて、現在アンドレアソン公爵家におります。


 蛇足ですが、私から太郎様に同衾を願い出たのですが、夫人と寝るからと拒絶されてしまいました。ちょっとくやしいです。あ、済みません。」



「宜しいでしょうか、私の知る範囲ですが、我が家のメイドからの報告では令嬢達が酷い目に遭ってはいないと聞いております。」

 とアンナリーナ=エステルグリーン伯爵夫人がフォローを入れる。



「言葉ではなんとでも言えるが、本人を見てみないともなんとも言えぬな。エレオノーラ様と我が娘と対応が違う事もあるであろう。我が家は所詮男爵令嬢に過ぎぬからな。それに、なぜエレオノーラ様だけ最初に身請けされたのだろか。」



「そのことについて、私も太郎様に確認したのですが、奴隷を10人以上一度に買ってしまいそのままでは管理が出来ないので、管理担当者として私を先ず引取り、管理を任せてるため教育する予定だったとのことでした。その後、3人位ずつ引取る予定だったと聞いています。」



「学園で不世出と言われたエレオノーラ様をリーダーに選んだということですか。」



「太郎様がそこまで認識していた様には思われませんが、年上だった事が一番の理由では無いでしょうか。」



「つまり、身分でなく、状況で判断するということでしょうかな。」



「それについては、ご安心下さい。太郎殿の国は身分というものが無い国であったと言っており、公爵令嬢であろうと男爵令嬢であろうと、例え平民であろうと同等に扱うと言っておりました。」



「にわかには信じられんな。」



「続きまして、我が家のメイドが昨日からここで皆様方のお嬢様方と一緒に働いておりますが、その報告をさせていただきます。


 メイド達は、昨日の午前中からこの屋敷で準備を行っておりますが、お嬢様方皆様が、笑顔で過ごしていらっしゃったと言っております。また、昼食・夕食は奴隷もメイドも太郎殿達と一緒に同じものを摂り、とても美味しかったと言っております。また、私も先ほど会いましたが、肌もつるつるで外見からも大事にされていることは分かりました。」



「今日だけのポーズではないのかな。心配だ。」



「その辺りにつきましては、パーティ会場において、皆様方のお世話担当をしてもらいますので、そのときに存分に確認ください。」



 ざわざわと声が聞こえる中



「お嬢様方の現状についての報告はここまでです。続きまして今後の扱いについてです。これについては、テレーシア様から説明いたします。」



「テレーシアです。今回我が家のエレオノーラを身請けしたときの事、感想についてお話しさせていただきます。


 まず、太郎様は私とアンナリーナ様が従姉妹同士であるとこさえ知らない様でした。エレオノーラの返品(と太郎様は仰ってましたが(笑))に際し、義母であるアンナリーナに仲介を頼んだそうです。その話が我が家に繋がり引取となりました。


 太郎様からの買い取り申し込みに対し対価の確認をしたところ、「分からないのでいくらでもいい。」と仰られましたので理由を聞くと「10人一山幾らで買ったので、個別の値段が分からないので言い値で構わない。」とのことでした。


 我が娘に価値を見いださないなど失礼にも程があると思い、さらに尋ねましたところ、「僕が欲しいのは料理ができて家事が出来るメイド兼売り子で、今回は性奴隷ですが家事が出来ない、性奴隷だけの者は要らない。エレオノーラの能力は自分にとっては猫に小判、豚に真珠で使いこなせなず手に余るもので、もっと有効に活用すべきである。」ような事を言われました。


 確かに、公爵令嬢ですので、メイドの様なことは出来ませんが、あまりの言われ様にちょっと腹が立ったことは確かです。」



「性奴隷は要らないというのですか。」



「はい、もともとアンナリーナが太郎様からメイドを雇うことの相談を受けた時も、頑なに「奴隷」という事を拒絶していたようですから、太郎様は「奴隷制度」そのものが嫌いな様です。」



「で、アンナリーナ様の説得で奴隷を買うことにしたと。」



「はい、その後、僭越ですが令嬢を奴隷商会に保護するよう手筈を整えていったと言うことになります。」



「我が娘は綺麗な体のままなのだな。」



「多分、太郎様が積極的に手をだしたということはないと思います。そればかりは本人にご確認ください。 それで本題に戻りますが、身請けの金額ですが太郎様が仰るには購入価が10人で大金貨30枚であり、1人あたり大金貨3枚、この国のルールだとその倍で本人が自分を買い戻すことが出来ることになっていますから、大金貨6枚で令嬢達は自由を手にいれる事が出来ます。ただ親が奴隷としての買い戻す場合はそれによらず縛りがありませんので、太郎様が受け入れなければ金額が変わります。確実なのは、令嬢達に大金貨6枚の資金提供が出来れば宜しいかと思います。」



「わかりました。それではそのような形で、パーティのあと対応してゆくと言うことですね。」



「そうなります。 皆様、それで宜しいでしょうか。」



「異議なし。」



「それでは、本日の会議は解散としたします。パーティ開始まで客室でおやすみくださる様お願いします。」と、アンナリーナ様が締めて、会議は終わった。



なお、レンナルト伯爵とフレードリク公爵は会議中一言も発しなかった模様。


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