69 報告兼ねてB級品処分
サブタイトル 「不良品処分」を「B級品処分」に変更しました。
エイラさんに彼女達の今日のスケジュール確認と監督をお願いして外へ出ようとすると、私服に着替えたスヴェアがついて来た。
「如何したの?」
「今日は休みなので、太郎様と一緒にいたい。」
「これから行くのは本邸だけどいいのかな。仕事場だよ。」
「行き先が仕事場でも、路程はデートです。」
「デートね・・・。」
今日もいい天気だ。あれ、この世界に着てからずっといい天気のような気がする。冬のグンマーみたいな気候なのかな。でも、空っ風が吹き荒れてないのは城壁の中だからかな。
昨日作ったサンプル試作品と彼女達の練習作品に失敗作を持って、スヴェアと二人で本邸に向かう。相変わらず玄関を出たら腕を絡められた。
「恥ずかしいので、手繋ぎにしませんか。」どっちが恥ずかしいかは異論があるかも。
「そんなに直接肌に触れたいのですね。やっぱり太郎様は私を必要と。身も心も捧げます、今夜は朝までご一緒させていただきます。」 あれ、この言葉デジャヴ?
「毎日違う美女と、おなじ道を腕組まれて歩くのは視線が痛いからだよ。」
自分が向こうの立場だったら怨嗟の視線で睨んでると思うし。
本邸に着く前に手を離すと、スヴェアが恨みがましい目で見たが無視した。
本邸ではミミリィが居たので一緒にアンナリーナ様への面会をお願いした。「手が空いていたらベルタも一緒に」と言ってみたが、ベルタは伯爵と師団に行ってしまっているとのことだった。
スヴェアと一緒に手を繋いで歩いてきたことについては、ミミリィは言わなかったし、何も聞かれなかった。 後で謝っておこう。
待合で時間をつぶしていると、アンナリーナ様の用意が出来たとミミリィが呼びに来たので、スヴェアと一緒に応接室に行く。
「朝早くからお呼びだてして申し訳ありません。」
「いいのよ、私もお願い事をしようと思っていた処だから。」 願い事ねぇ、なんか面倒臭そうな予感しかしないんだけど。
「今日お邪魔したのは、食物屋の試作品ができましたので、試食してもらおうと思いましてお邪魔しました。妻達にも感想を、と思ったのですが、ベルタは外出中らしいのでミミリィに食べてもらおうかと。」
「面白そうね。 もうすぐお茶が来るからお茶請けにしようかしら。」
「太郎様、私はその話聞いていないぞ。」
「スヴェアが来る前に、奴隷達と試作して食べて、片付けちゃったからね。スヴェアは知らなくて当然。」
「私も試食していいのか。」
「一応、身内だけなんだけど。」ちらっとミミリィを見ると、虐めるなという顔をされた。
「スヴェアは身内(仮)だから、問題ないよ。それに、二人が食べたら本邸の使用人にも試食してもらうつもりだったから。」
メイドさんがお茶を持って来てくれたので、試作品を全種類テーブルに出してみる。
「地味ね。」アンナリーナ様手厳しい。
「はい、外見よりも中身で勝負したいと思います。」
「沢山あるけど、同じ物なのかしら。」
「商品名を甘太郎とします。 小麦粉の生地に各種アンが入っているものです。試作なので色々入れて見ました。1個丸々試食よりも、色々味わっていただきたいので切り分けます。ナイフを取り出してもよろしいでしょうか。」
「甘い太郎ちゃんなのね。ふふ。面白いわ。ナイフ構わないわよ。息子が親に危害を加えるなんて考えないから。」その、全幅の信頼もちょっと怖い。
ナイフとカッティングボードを取り出し、ひとつひとつ中身を説明しながら切ってゆく。
「これが基本の「粒あん」と「白あん」、「こしあん」、「ずんだあん」、「うぐいすあん」「紫いもあん」、「黒ごまあん」、「カスタードあん」、「ココアあん」、「イチゴジャムあん」の10種類を持って来ました。紅茶に合うのはこっちの3種、こっちの7種は紅茶だとちょっと会わないかもしれません。そのときは緑茶で食べてみてください。」とさりげなく煎茶を勧めるのも忘れない。
「味も地味ね。」アンナリーナ様、辛辣。
「美味しいです。外は同じなのに中身が代わるとこんなに印象が変わるなんて凄いです。」
「美味しい。昨日のうちに、試食させてくれれば良かったのに。」
「地味だけど、ほっとする味ね。太郎ちゃんの言うとおり、こっちの3種は紅茶にも合うけど、こっちは紅茶だと人に因っては印象が違うかもね。 で、どんな風に販売する予定なの。」
「別館の道に面した部屋を作業場にします。焼いている処を外から見えるようにしてその場で販売します。基本粒あんの「甘太郎」」とジャムの「ジャム太郎」を販売して、他の物は日替わりで売ろうと思っています。」
「販売先はどんな風に考えているの。」
「平民のおやつ。それから冒険者のおやつ兼携帯食料 と言う感じでしょうか。」
「そうね、貴族のお茶請けでは無いわね。でも平民のおやつとすれば、十分合格点よ。丸々ひとつ食べても諄くない。2・3個食べても大丈夫そうだし、甘いから直ぐにお腹にたまりそうね。 売り方も、まあ及第点かしら。」
「ありがとうございます。及第点が頂けました。」
「で、太郎ちゃん あといくつあるの。」
「え? 試作品はあと二箱だけです。あとは、使用人用の練習作品。これはほとんど粒あんですが200個くらいです」
「当然、全部置いて行くのよね。」
「え、はい。そんなに食べるのですか?」
「試作品はレンナルトが帰って来たらベルタと一緒に食べるわよ。 あと、練習品はこれから来客の予定だからそこで出して、あと明日レンナルトに第一師団の差し入れにするわ。」
「使用人分は?」
「さっきみたいに半分ずつ切って配るわよ。」
「はあ。では、B級品(商品には一寸無理があるもの)があるのでそれを置いてゆきますからメイドさん達にあげてください。」
「分かったわ。でもそのB級品とやらは如何する気だったの。」
「これですか、孤児院があったらそこにでも配って行こうかと思ってたんです。アンナリーナ様の事だから支援している施設があるでしょう。」
「如何したの殊勝な心がけね。」
「材料は商品と同じで、この国のレベルなら一級品を使ってます。形がくずれているだけですから。孤児院だと多分甘味とか食べられないでしょうから、差入れようかと思ったのです。」
「分かったわ、ミミリィ、フレドリカの処に案内してあげて。貴方、今日はもう仕事終わりでしょ。そのまま上がっていいわよ。」
「ありがとうございます。 太郎様着替えて来ます。」ミミリィはそそくさと出て行った。
「で、太郎ちゃん私からの用件をお願いするわ。」
「なんでしょうか」
「明後日の夜、小さいパーティー、そうねレンナルトの快気祝が一番しっくりくるかしら、をしようと思っているの。それで、別邸でやりたいから準備してくれるかしら。」
「お客様は何人くらいなのですか。」
「大体30名くらいかしら。」
「舞踏会とかではないのですか。」
「予定としては、会議をしてそのまま食事会を予定しているの。」
「その後は。」
「帰る予定だけど、宿泊する方もいる予定ね。」
「家の性奴隷メイドでは対応しきれませんよ。」
「それは分かっているわ。こちらからもメイドを10人出す予定。宿泊者は付き人を連れて来る予定だからそちらの世話は要らないわ。警備もこちらから出すから大丈夫よ。」
「必要人員は宿泊者が何名かにも因りますね。料理はどうするのですか。」
「それはもう、当然太郎ちゃんにお任せよ。 太郎ちゃんの食事を愛でる会なんだから。」
「なんですかそれ。 30人+付き人分も作るのですか。 宿泊者は朝食もですよね。」
「そう、今日から準備すれば大丈夫でしょ。この前も速攻で作ってくれたし。」
「身内(一応仮だけど)に出す食事とお客様相手じゃ違うでしょ。エステルグリーン伯爵家のメンツがあるじゃないですか。」
「いいのよ、あの人達この国の料理は食べ慣れているから、違うものを出してね。あの人達は太郎ちゃんの国の料理を知らないから、何でも大丈夫よ。」
「はあ、でもそんな人数泊まれる部屋無いですよ。」
「改造お願いね。旧本館を自由にしていいから。」
「どうせもう、招待状は送っちゃっているんですよね。」
「大方返事は来ているわ。予定では公爵家他で10家、夫妻で来るわ。ほとんど泊まりね。」
「10家2名+付き人2名にエステルグリーン伯爵家 それだけで50人どころじゃないですか。家の娘達にも作らなきゃいけないんですよ。それに今、なんて言いましたほとんど宿泊って言いませんでしたか?」
「まあ、頑張って。任せるから。大丈夫、ウチの息子は優秀だから。」
「すこし考えます。孤児院分は置いていきますので対応をお願いします。それから、ミミリィを当日の夜まで借りますよ。」
「了解したわ。スヴェアも明日は此所、明後日は別邸の警備担当になるけど、ちゃんとパーティ警護をするのよ、本館の私室に行ってはダメよ。」
「はい・・・。」
「それからウチのメイドは一応先発組を明日何人か行かせて、残りは当日午前中に私と一緒に行くから、昼食もお願い。
一応の予定としては、3時頃から会議して5時頃からパーティの予定ね。
来客は大体、2時頃には着くわ。全員出席の会議の予定だから、到着したら客室に案内して待っててもらうことになるかしら。泊まるときはその部屋を使ってもらえばいいわね。
会議が終わったらそのまま食堂で食事会かしら。終わったら自由にしてもらう事になるわね。談話室の用意もしてくれると嬉しいわ。私達の他、テレーシア達のお昼をお願いするわね。」
「それって3食用意するということですか。」
「あら、そう聞こえなかったかしら。」
「アンナリーナ様惨いです。そんなに許容量は大きくないですよ。 と、言っても聞いてくれる気なんて更々ないですよね。ちなみにテレーシア様達は何名ですか。」
「流石、太郎ちゃん。私の息子よね。テレーシアは付き人入れて5人位かしら。太郎ちゃんなら大丈夫よ。期待しているわ。」
アンナリーナ様は相変わらず無茶振りをします。




