57 母子の会話
アンドレアソン公爵馬車
「母上様、なぜ私を迎えに来てくださったのですか。私は一族の恥として売られたのではないのですか。」
「好きで売ったわけじゃないわよ。こうでもしないと貴方方が守れないからよ。」
「性奴隷と守るが繋がらないのですが。」
「まあ、そうよね。 じゃあ、説明するわね。今回の貴方方を陥れたのは、第3王子の新恋人ヴィルヘルミーナとその後ろ盾ヴィークストレーム公爵家ね。」
「ヴェルヘルミーナは男爵令嬢では。」
「母親がヴィークストレーム公爵家の縁者なの。ヴィークストレーム公爵家のあのバカ王子を取り込む企みにまんまと貴方方が嵌まったのよ。」
「どういうことですか。」
「ヴィークストレーム公爵家は王家との繋がりが欲しかったのね、結婚している第一第二王子殿下は手を出せないから、直情バカの第三王子に目を付けたのね。自家には適当な娘がいないから配下の男爵家を使ってヴェルヘルミーナを差し向けたって所かしら。彼女はスキル:魅了を持ってるらしいから、直情バカは直ぐ引っかかったのね。
そして、貴方方の罪を捏ち上げ陥れたってとことね。司法職のイクセルやヴィルマルが調べてくれたけど、貴方方以外に冤罪を証明してくれる人がいなかったのよ。貴方方はお互い何もしていない事は分かっていると思うけど、被告が仲間同士で弁護しあっても証拠にはならないからね。
イクセルやヴィルマルもこんなに被害者、それも自称の被害者しか証拠がないのはおかしいと交渉したけど、バカ王子がしゃしゃり出てきてうやむやにしたみたい。それで、起訴しない代わりに廃嫡と身分剥奪となったってことね。」
「イクセル叔父様やヴィルマル伯父様が頑張って下さったのですね。」
「でも、バカ王子が相手じゃどうにもならなかったのよ。」
「でも、性奴隷にすることはなかったんじゃないですか。」
「あれはね、アンナリーナの策なのよ。」
「アンナリーナ様酷いです。」
「でも、奴隷商会で酷い目に遭ったりしてないし、誰も奴隷として売られたこともなかったでしょ。あれはアンナリーナの手配なのよ。貴族の手が出せない奴隷商会に買い手予約付きで保護していたのよ。貴方はいいわよ相手がバカ王子だから。でもエディットやマルギット達の婚約者はただの貴族なのよ。婚約者が起訴されるなんて顔に泥を塗るようなことで、あの人達には容認できないことなのよ。
それでね、「当家の責任として奴隷として売りました。当家はもう関係ありません。本人に罪を償わせます。」ということで、本人達を守る事にしたの。そうすれば、ヴェルヘルミーナのライバルは消え、元婚約者達にも諦めさせることができるという事ね。」
「そうね、確かにディオーナのことも商会は知らぬ存ぜぬで通していたわね。でも、誰が買うか分からないじゃないの。娼館に売られていたかもしれないよ。」
「アンナリーナがこれを思いついたのは、太郎様に会ったからよ。盗賊の一団を一瞬のうちに1人で退治して、フェリシアの侍女が添い寝しても手を出さず、あの賢いフェリシアに一目惚れさせるなんて男よ。そして病の床に伏していたエステルグリーン伯爵を、一瞬で回復させたうえ、あの可愛いフェリシアが寝所で迫っても手を出さない男なんて考えられる?」
「考えられません。と、いうか盗賊退治ってなんですか。」
「フェリシアが盗賊に襲われていた所を1人で退治したらしいわよ。それも20人」
「1人で20人って、それも一瞬? 信じられません。」
「でも事実らしいわ。それでいて見返りを求めない。この国だと変な男の部類ね。」
「はい、おかしいです。でも、男色とかの変態なんじゃないですか、」
「でも、夫人となった侍女にはちゃんと手を出したらしいから、そういう気は無いみたい。」
「そうね、私が誘っても、第三夫人の方に行っちゃったし、泊まり込みのエイラさんにも手を出していないみたいだし。」
「それで、アンナリーナから家の義息子に賭けてみたら? と、いう打診があったの。それで、他の娘達の親に説明して、一昨日全員を奴隷商人に売ったの。」
「なんですかそれ。義息子が性奴隷なんか手にしたら、性奴隷なんだから抱く可能性が高いじゃないですか。」
「絶対ないって信じてたみたいね。事実、貴方は何かされた?まあ、裸にはされたらしいけど。」
「ありません。夕べも第三夫人にダメ出しして枕を共にしようとしましたが、相手にされませんでした、というより完全に拒絶されました。今思い返しても悔しいです。
ちなみにご主人様はアンナリーナ様の企みを知っていて遣ってたんですか。」
「企みは知らなかったみたいよ。彼は自営するため人が必要とアンナリーナに漏らしていたみたいで、アンナリーナが「性奴隷」を強く勧めたらしいわ。でも、彼は奴隷って言葉に難色を示して、「僕が欲しいのは使用人で僕の性欲ための奴隷じゃない。」みたいな、若者らしいことは言ってたみたいよ。可愛いわね。それでも、奴隷じゃないと秘密は守れないってことを言い続けたら受け入れたみたい。」
「秘密ってなんですか。」
「彼は他国の人で、転移罠にかかってこの国に来たみたい。文化も違うからアンナリーナ様が「この国には無い物や事で商売をするなら、秘密を守らなければいけない。」ことを言ったみたい。それで奴隷を買うよう指示して、貴方方を買いに行かせたということね。」
「秘密ですか、確かにあのご飯は秘密ですね。門外不出が相応しいですね。」
「なにそれ、ご飯?」
「昨日のお昼と夕食は凄かったです。いままで食べた事がなかった位に美味しいです。これから毎日あんな美味しいご主人様の美味しい料理が食べられるなら、性奴隷でもいいと思う位美味しかったです。」
「私は食べていないわよ。どういうこと。そういえば、あのラスクも美味しかったわね。この辺では見かけないものだし。」
「昨日、買われて来た時に頂いた「オムライス」は絶品でした。あ、あれまた食べたいです。母上も一度は食べてみるべきです。あと夕食のおきりこみ、これも初めてでした。ちょっと食べにくかったけど、とても優しい味でご主人様みたいでした。ご主人様の手料理を食べないなんて人生半分損しているのと同じです。やっぱりこれは秘密です。アンナリーナ様は正しいです。」
「そうなの。では、エレオノーラ的には太郎様の性奴隷でいることに不満は無かったのかしら。」
「不満? 何ですかそれ。 敢えて不満を言うなら、天国から引き戻した母上に対する不満だけですよ。バカ王子との婚約が無くなった安心したら、性奴隷として売られて不安な一夜を過ごしたことは不満ですけど、ご主人様に買ってもらい美味しいご飯が毎日食べられる事に不満なんてないです。」
「はぁ。そうなのね。フェリシアが囚われてしまったのと同じ様に、貴方も囚われてしまったのね。」
「いけなかったですか」
「エレオノーラの幸せは、太郎様の元で暮らすことなのね。」
「それ以外に何があるのですか。」
「でも、太郎様は今、貴方を必要としていないわよ。」
「今はです。私は料理ができないし、多分売り子も出来ないと思います。それは分かってます。でも、ご主人様がもっと事業を広げたりすれば、貴族との交渉や事業戦略。領主となった暁の領地経営や領軍管理、兵站を考える時には私が絶対必要になるんです。」
「そうね、それは太郎様も同じ事を言っていたわね。彼も先を読める人なのね。ますます息子にしたいわね。」
「そうです、あの場で引受拒否してしていれば、ご主人様の性奴隷のままいられたのに。」
「まあ、いいわ。 これからの事は公爵に相談して決めましょう。エレオノーラが幸せになる様公爵にお願いしましょう。」




