43 5日目朝 別邸の朝食
朝、外はまだ暗いが、目が覚めた。隣にはミミリィが腕を抱き枕にして寝息を立てている。
5時前くらいかな。
「朝チュン」これは、正しい朝チュン。早すぎて雀も鳴いてないけど。
「ミミリィ、起きられるかな。」
「う、ううん。おはようございます。太郎様。あ、まだ暗いですね。」
「起こしてゴメンね。ちょっと訓練に行ってくる。朝ご飯の用意の手伝いをお願いしていいかな。1時間くらいで帰ってくるから、6時頃には起きられる様にしてくれる?」
「はい、分かりました。」
「朝ご飯は、何がいいかな。」
「太郎様が作るのでしたら、何でも美味しく頂けます。」
「あ、そうだ、閣下は何時くらいまでに出勤すればいいのかな。」
「普段は朝9時前には師団に着いています。本邸でお着替えをなさるとすれば、ここは8時前には出た方がいいと思います。」
「そう、じゃあ朝食は7時頃に食べられるようにした方がいいね。そうすると、今日の朝練は無しにして、朝ご飯の用意しないと間に合わないね。手伝ってくれるかな?」
ご飯炊くか。自分的には焼魚定食とかいいけど、白米を知らない人にとって、ほかほかの白米ご飯はちょっと無理かな。炊き込みご飯、オムライス、パエリア、ドライカレー、炒飯、ピラフ。レパートリーが少ないな。今更ながら自炊してたんだからもう少しレパートリー増やしておけばよかった。
あ、電気が無い。充電池じゃ電気炊飯器無理だよね。 どうしようか。ピラフなら炒めて火を通しておけば生ってことはない・・筈。よし、それで行こう。
後は、スクランブルエッグと、ソーセージを焼いて、って、あれ、それじゃあメニューが本邸とあまり変わらないな。
駄目か。鍋で炊くか。メニューはやっぱり「和風」かな。炊き込みご飯と味噌汁、焼魚、漬物、おひたし。納豆は無理だよね、やっぱり。で、忘れちゃイケナイ卵焼き。
と、いうことで、今の知識を総動員して
① 炊き込みご飯 鶏(赤○鶏)と根菜類と油揚げ、シイタケ、エノキで炊き込んで、万能ネギを散らす。
② まえばしtonton汁(簡略版) 厩橋産豚肉、イモ、シイタケ、ニンジン、 タマネギ、里芋、ゴボウ、こんにゃく、マイタケ、エノキ。
③ 焼魚 塩鮭(新巻みたいに塩辛いのが好き。)
④ 漬物 ○むらやの味噌漬け
⑤ おひたし ちぢみほうれん草と油揚げ(赤城山麓産だよ。油揚げも)
⑥ 卵焼き しらす干し入りだし巻き玉子(甘くないよ)
どうだ、こんなので。って、誰に向かって言ってるんだろう。
ミミリィには「あと30分は寝てて良いよ」と言い、PCを取り出してネット通販に走る。
「ポチッとな!」を繰り返し、材料を確保していたら、思ったより時間が掛かった。
「ミミリィ、そろそろ起きられるかな。」と、おはようのキスをする。
(元世界でもしたかったな、相手がいれば・・・。)
「あ、はい、大丈夫です。」と身体を起こそうとして、お互い裸のままであったことに改めて気づき、二人ともあ、っと赤くなる。」
生活魔法を起動しクリーンを掛けてから、アイテムボックスに保存した下着出して、ミミリィに穿かせた下着と交換して桐箱にしまう。
「太郎様。なにしているんですか。」
「僕も記念にと思って。宝物にして毎朝拝もうかと。」鉄板でしょ。
「バカですね。」ミミリィにあきれた目で見られた。
「はい、否定はしません。」
ミミリィはここに服を持って来ていなかったので、浴衣を羽織り自室に行き、自分はその間に着替えて厨房に向かう。
階段を降りる途中で玄関にスヴェアさんの気配を感じたので、一階に降り今日は朝練をしない事を告げに行ったが、既にスヴェアさんの唇が蒼かったので朝風呂を勧めてみた。
相変わらずのスヴェアさんは何時から玄関で待っていたんだろう。風邪引かないかな。ま、今日は深く詮索しないでおこう。
厨房に入り朝食の準備を始めると、ミミリィがメイド服に着替えてやって来たので手伝ってもらう。
材料の下拵えを頼み、炊き込みご飯を作る。熱源が魔道具なので、あまり手間は掛からないと思うのだけど、初めてだから勝手がわからずミミリィに聞きながらの作業になった。 砂時計で時間を計り、鍋で炊き込みご飯を作ってゆく。
まえばしtonton汁もレシピどおりに、かなり多めに作ってみた。 新巻鮭を焼いている間に、ちぢみほうれん草のおひたしを作り、お茶を沸かし、ポチった卵焼器で卵焼き(出汁は出汁の素で、片栗粉入)。
匂いに誘われてか、エイラさんも手伝いに降りてきてくれたので、食器の準備や出来た料理の盛り付けや雑用等をお願いした。
「太郎様、お声を掛けて下されば、もっと早く降りてきましたのに。そうすれば手順を覚えられたかも知れないのに・・・。残念です。」
「今日はお客さんですから。エイラさんは本邸のメイドで、別邸のメイドでは無いですから、起こせませんよ。」
エイラさんの参戦で思っていた以上に朝食の準備が早くできたので、温かいものはアイテムボックスにしまいお茶を淹れて三人でまったりとする。
「今日のお茶は、同じ緑色ですけど昨日のお茶と違う感じがするのですが。」
「これは、桑茶といって、お茶とは違う葉っぱのお茶です。あっさりしてる感じがするでしょ。」
「そうですね。」
そんなことをしていると、徐々に起き出すのが気配感知に掛かってきた。
「エイラさん閣下夫妻が起きたようだから迎えに行ってきてくれるかな。ミミリィも寝坊助と朝風呂満喫娘を連れて来て。10分したら配膳するから。」
「分かりました。」と二人が食堂を出て行った。
さぁてと、考えていなかったけど、閣下達は箸使えないんだよね。竹フォークと竹スプーンで済ませるか。炊き込みご飯をフォークっていうもの何か絵的に変だけど仕方ないよね。
流石に、閣下よりも遅いのはマズイと思ったのか、ベルタとスヴェアさんは閣下よりも早く来た。スヴェアもベルタも護衛用の服装に着替えていて、仕事の顔になっていた。様な気がする。
閣下の到着を待ち、炊き込みご飯とまえばしtonton汁をよそり、アイテムボックスから新巻鮭を配膳する。 桑茶を淹れていると、閣下夫妻が着替えて入ってきた。
「おはようございます。」
「おはよう、豪華な朝食だな。」
「食事くらいしか、おもてなしが出来ませんので、少し頑張って見ました。毎日食べられる様に頑張って稼ぎたいと思います。」
「これ、全部太郎ちゃんが作ったのかしら。」
「はい、下拵えなどはミミリィに手伝ってもらいました。あと、準備はエイラさんも参加してます。一応説明しますね。主食は炊き込みご飯です。汁は、まえばしtonton汁、魚は新巻鮭、ちぢみほうれん草のおひたし、卵焼き、味噌漬けです。」
みんなが席についたので、「では、いただきましょう。どうぞお召し上がりください。」
「あ、この、炊き込みご飯? 一昨日のつみっこみたいな味がするわね。」
「基本的に、味付けは出汁と醤油なので、つみっこと同じですね。今日の魚は塩分多めなので、炊き込みご飯は薄味にしたのでちょっと物足りないかもしれません。」
「この汁は身体が温まるな。野営地で兵に振る舞えば士気もあがるな。」
「このお魚塩っぱいです。」
「新巻鮭は保存食なので、塩気が強いです。お茶を飲んでね。」
「太郎様お代わりをお願いできますか。」
「はい、エイラさんお願い・・・って、エイラさんでしたか。 はいはい、持って来ますよ。」
「私が行ってきます。」と、第二夫人が立ち上がって厨房に取りにいった。第三夫人は完全にお客さんモードだけどね。夫人教育が必要かな。まあ、今日はお客さんだから仕方ないか。
「お待たせしました。」とミミリィがお代わりを持って来た後も「私も」の声が続いていたら、ミミリィに厨房へ呼ばれた。
「炊き込みご飯終わりました。如何しましょう。」
「はいはい、いつもどおり自分用ストックを放出しますよ。」 同じ轍を踏まないようにコピーを取っておくことは忘れていない。
「この際だから、残ったら”おむすび”にしてしまおう。」
「おむすびってなんですか。」
「ミミリィがお昼に食べられる様にお弁当にする。朝昼同じだけどいいかな。」
「はい、お願いします。家の者に”見せびらびらかしながら”いただきます。あと、カロリーネとアルヴァにもお願いできますか。」
「そうだね。先ず問題は残るかだけどね。」
食堂に戻り欠食児童達に炊き込みご飯を配る。
「汁のお代わりももらえるかな。」と閣下。
「了解いたしました。」
「太郎様、私が行ってきます。」とベルタが厨房に立っていった。お、第三夫人仕事している。
みんな満足するまで食べた様で、最後のお茶を満喫している。
「閣下、そろそろ出かけませんと、出仕の時間に間に合わなくなりますよ。」
「お、そうであったな。では行くか。」
普通の〝豚汁〟でもなく〝けんちん汁〟でもない、それが「まえばしtonton汁」なのです。
「まえばしtonton汁レシピ」はネットから拾えます。「モデルレシピ」がありますが、家庭では「簡単レシピ」で十分かと思います。
グンマーでは養蚕が盛んだった頃、冬季は桑の畝間でほうれん草を栽培していたようです。平野部は当然二毛作ですけど、桑畑ではできませんからね。
霜があたると甘くなるらしいですから、放射冷却で夜の気温が下がり昼は日照時間が長いグンマーにはあっているのかも。(手間はかかるらしいですが)
なお、鮭は焼くと塩を吹いて白くなる新巻鮭の方が、塩振鮭よりも好きです。
ちなみに、ウチの玉子焼きは片栗粉の他、マヨネーズや牛乳を入れたりしておりました。




