41 小言
夕食が終わり、閣下達は休むと言うので、ミミリィに客間に案内をしてもらい、エイラさんに閣下達のメイド業務を頼む。ミミリィにトイレの使い方を忘れずに伝えてもらう。
戻ったミミリィと共に「たすきを掛け」して後片付けをする。 七輪の火の確認と鍋だけは洗っておく、そうしないと錆びちゃうからね。
スヴェアとベルタはお客様待遇として、リビングに追いやった。
スポンジとか買い忘れたので、元々あった束子でゴシゴシ。綺麗に洗ったら火魔法と風魔法で乾かす。七輪の火種を一つに纏めて、南部鉄瓶を掛けお湯を沸かす。
食器類を洗ったりするのは明日でいいと思ったけど、ミミリィが手早く洗っておいてくれた。流石ミミリィ。ご褒美に頭をなでなでしようと思い近づいたら、唇を近づけて来たので、軽く触れる。
「じゃ、リビングに行きますかね。」「はい」
鉄瓶と急須、湯飲みを持ち、リビングに移動する。体感だと8時くらいかな。
リビングに入ると、スヴェア、ベルタ共にブラックホールに囚われていた。
「もう、動きたくない。ここで寝たい。」
「寝ててもいいけど、寝返りが打てないから明日身体が痛いよ。お茶置いとくから欲しかったら飲んでね。」と、言い帰ろうとすると、
「タロー様お話があります。ミミリィもです。」ベルタが起き上がり声を掛ける。
「何かな。」
「タロー様もミミリィも酷いです、何も言わないで私を置いて引っ越しするなんて、信じられません。昨日、仲良くお風呂に入った仲じゃないですか。」
「でもね、ベルタはまだ子供だから。」
「子供じゃないって何回言ったら、分かってもらえるんですか。悲しいです。」
「そうだね、成人はしてたんだよね。ゴメンね僕的には、僕の国では18歳から大人なので、まだ17歳のベルタは子供に思えるんだよ。今日はみんな一緒に引っ越ししたら伯爵家にも迷惑がかかることもあって、ミミリィだけにしたんだよ。」
「フェリシア様は?」
「フェシリアの荷物も持ってきてあるよ。ここに泊まれる位の荷物だけど。」
「私に荷物は持ってきてくれなかったんですね。」
「何を持って来て良いか分からないからね。」
「本当ですか、本当に本当ですか。ミミリィ、タロー様嘘ついていない?」
「嘘はついていないわよ。現にベルタの部屋は用意してあったでしょ。」ミミリィ、ナイスフォロー。
「ミミリィが言うなら、タロー様の言葉を信じますが、もう絶対しないでくださいね。私泣いちゃいますよ。」って、実際に大泣きしていたんだろう。
「はいはい。」なんとか落ち着いたみたい。
「で、私は、私はどういう扱いなんだ。」と、スヴェアさんがボソッと呟く。
「今日は閣下とアンナリーナ様の護衛ですが、何か。」
「そういうことではなくて、なんで私は4階なんだ。」
「閣下の護衛だから。お客様用の客間は一つしかないので、4階の使用人部屋にしたんだけど。」
「私は・・・夫人の中に含めてもらえないのですか。ねえ、太郎様。」ちょっとスヴェアの目が涙目。
「あまり夫人を増やさないようにと、フェリシアやミミリィから言われているので。」
「ではどうして、ベルタは良いのですか。」
「ベルタは、服引き裂いて胸を見ちゃったから、責任をとらないといけないことになったからね。昨日」
「私だって、太郎様に裸を見られたし、肌を重ねたのに。」
「それはスヴェアさんがしたことで、僕がしたわけではないから、僕の責任ではないでしょ。ね、ミミリィ。」
「そうですね、太郎様は迷惑な様子でしたし、太郎様が自分からスヴェアに何かしたわけではないですから。」
「私だけ仲間外れなのか・・・。 どうして駄目なのですか。教えて欲しいです、太郎様。」
「そうですね、先ずは友人であるミミリィを出し抜こうとしたこと、それから他の夫人予定者の承諾を得てないことですかね。」
「分かった。ミミリィ、ごめん謝る。済まなかった。」
「謝罪は受けます。けど、承諾はまだできません。」
「分かった。」
「あの~。入っても宜しいでしょうか。」と、ふすまの外からエイラさんの声がした。
「あ、どうぞ。」
「閣下夫妻はもうお休みになるとのことで、戻る様に申しつかったので、お邪魔しにきました。宜しいでしょうか。」
「早く入って、お茶でもどう。」
「はい、失礼します。」
「エイラさん今日は巻き込まれて大変だったね。ご苦労さまでした。」
「いえいえ、美味しいご飯を頂きました。嬉しいです。それとこの服も落ち着く感じがします。」
「僕たちは、もう一度風呂に入って寝るので、ここでくつろいでいても良いし、眠くなったら部屋で寝てくださいね。じゃ、ミミリィ行こうか。」
「私も行く」と、ベルタが言い出したので、
「直ぐに出るから3人でゆっくり入るといいよ。僕たちは身体を一度洗ってあるから、湯を被って湯船に浸かるだけだし。ベルタ達は髪を洗ったりする必要があるでしょ。」
「ベルタ、今日は私が太郎様を占有する日なの。貴方は明日でしょ。」
「うー 分かった。出てから入る。じゃあじゃあ、明日は私が占有するんだからね、ミミリィは駄目だよ。」
「はいはい。」




