38 新築祝い
すき焼きの準備を始めようとすると、玄関のドアを叩く音がした。
気配感知で調べてみると、スヴェアさんとベルタちゃんの感じがした。あれ、他に3人いる。
「はい、は~い。」と急いで1階に降り玄関を開けると、スヴェアさんとベルタちゃんの後ろに、あれ閣下とアンナリーナ様、とメイドさん。
「どうしました。」
「引越祝いを持って来たわよ。」とアンナリーナ様が前に出て、箱を差し出す。
「あ、ありがとうございます。」
「まず、寒いでしょうから中にお入り下さい。」
「太郎ちゃん、その服はなんですの。」
「グンマーの温泉宿の正装です。」
「そうなの、良いわね。私も着たいわね。」
「湯上がりでないと寒いですよ。と、その前に、アンナリーナ様がそこにいると皆が入れませんから、どうぞお入りください。」 寒そうな皆を部屋に招き入れる。
「ミミリィ、閣下とアンナリーナ様がみえたよ。」
「はい、ようこそ旦那様、奥様ようこそいらっしゃいました。スヴェアとベルタは警護ご苦労さま。エイラ寒い中御者ご苦労様。」
「あら、ミミリィも着ているのね。」
「はい、太郎様に頂きました。」
「太郎ちゃん、私も着たいわ。出してもらえるかしら。」
「在庫確認しますが、湯上がりでないと寒いですよ。それと着てしまったら、楽で脱げなくなっちゃいますよ。動きにくいですけど。」
今日は二人だけの世界なので、できれば、お帰り頂く方が・・・。
「では、泊まってゆくから良いわ。あなた、良いわよね。」
「あ、構わないが、太郎殿に迷惑ではないのか。初夜だろうに。」
閣下よく分かっていらっしゃる! もっとプッシュ!!
「大丈夫よ。作りがしっかりしているから音は漏れないわよ。」
アンナリーナ様そういうことではなくて気分が。第一夫人の両親がいるのに第二夫人とムフフなんて、普通殺されるでしょ。
「そういうことではないと思うのだが。」
そう、閣下、もっと強く言ってよ!
「大丈夫よ。覗きになんて行かないから。私達も暇じゃないし。ね、あ・な・た。」
アンナリーナ様達何しに来たの。これは、もう駄目だな。
「僕たちはこらから夕飯の予定だったんですが、どうですか一緒に。」
「では、お言葉に甘えましょう。ね、あ・な・た。」
「太郎殿が良いというのなら、すまんな。」
「タロー様、私の部屋はどこなの。」
「え? ベルタちゃんの部屋。」
「ベルタです。何度言ったら分かるのですか。子供扱いしないでください。私もここに住むのだから、私の部屋も作ってくれているんでしょ。」
「え、ベルタちゃ・ は、まだ(仮)だから、お屋敷にいた方が良いのでは。」
「だって、明日は私をお姫様だっこして寝室まで運んでくれる約束だから。別邸のお風呂から本邸まで運ばれたら風邪引いちゃいますよ。」
「今日は閣下夫妻が使うけど、明日は客間が空くから大丈夫だよ。それに、お風呂場から部屋に運ぶだけなら本邸のお風呂で待っててあげるから。」
「そんなの駄目です。アンナリーナ様なんか言ってやってください。タロー様酷いんです。」
「ベルタはまだ子供だから、本邸の部屋の方がよいと思うわよ。ご両親にも話していないんでしょ。」
「いいんです、あんな親。私が侍女としてこのお屋敷に来てから会いにも来てくれないし、お見合話も持って来てくれない位の親なんですから。自分の大事な人は自分で決めるんです。それで、タロー様を一生の伴侶に決めたんです。だから、親は関係ありません。」
「そぅ。じゃ、太郎ちゃん。ベルタ第三夫人を認めてやって。」
アンナリーナ様そんなに簡単に決めていいの。ベルタちゃんの一生の問題だよ。
「えぇ、そういうので良いのですか。了解しました。 ベルタちゃ・の部屋は三階東側の3番目の部屋だよ。」
「ちゃんと用意してくれているじゃないですか、タロー様の意地悪。荷物取ってきます。」
「荷物?」
「あら、分からなかった。ベルタは引越荷物を、もう持って来ているのよ。」
「あ、そうですか。分かりました。 ミミリィ、外は寒いから中だけ手伝ってあげて。
それから、浴衣は動きにくいから気を付けてね。」
「はぁ~い。 いってきます。」
「では、夕食の用意をしますので、その間に閣下とアンナリーナ様で、お風呂は如何ですか。僕たちが先に入ってしまいまいたが「湯ノ花」が入っていますので、温泉気分になれます。ちょっと硫黄の匂いがしますが暖まりますよ。」
「そうね頂くわ。」
「では、こちらです。」と夫妻を浴室に案内する。シャンプーとリンスの使い方も教えておく。
「では、夕食準備ができたら浴衣と羽織を用意しておきます。着方はミミリィに教えますので、着替えてください。」
「あ、太郎ちゃん、着替える前に下着が欲しいわ。脱いだ下着を着けるのは嫌だわ。」
「あ、やっぱり忘れていませんでしたか。閣下と一緒なら問題ないか。閣下よろしいですか。」
「何をだね。」
「アンナリーナ様が僕の商売用サンプルを所望されておりまして、お譲りする事にはなっているのですが、適正サイズがあり測らないと適当なサイズが分からないのです。
実際に裸体のサイズを測る必要があるのですが、このメジャーの目盛りも下着のサイズもグンマーの言葉なので僕しか読めないのです。」
「アンナリーナの裸を見るということか。 そういうことなら仕方あるまい、構わんぞ。それに息子に裸を見られたからと怒る親もおらんだろうし、それに太郎殿が母親に欲情することもないであろう。」
「え、え・・ そうですけど。では、お風呂から上がりましたらお声がけください。では失礼します。」
はあ~。 閣下が言うなら仕方ないか。本当は鑑定で知っているけど、ってまた鑑定すればいいだけじゃん。 あ、疚しい事は分からないって言ったんだっけ。失敗だ。
食堂に戻り、
「エイラさん、閣下は泊まって行くそうです。どうしますかエイラさんも泊まりますか?」
「私は着替えも持って来ていないので、出来ればお屋敷に戻りたいかと・・。」
「そうですか、では、スヴェアさんエイラさんの護衛をお願いします。明日の朝お迎えをお願いします。」
「ちょっと待って太郎様。エイラ貴方も泊まってゆくのよ。そうじゃないと私が泊まれないじゃないの。ここで返されたら太郎様の美味しい夕食が食べられないのよ。あり得ないでしょ。」
「しかし、何の用意もしていないですから。」
「そんなの、太郎様がなんとかしてくれるから。ベルタのを借りてもいいでしょ。私は泊まりたいの、だから貴方も泊まること。これは決定事項よ。」
「ご迷惑ではないのですか。」
「いいの、私が許す。」
「スヴェアさんに何の権限が・・・」 スヴェアさんに睨まれた。
「エイラさんがよいのでしたら、どうぞ。4階の使用人用の部屋なら何処も空いてますから。」
「はい、ではよろしくお願いします。本当は先日頂いた太郎様の手料理が美味しかったので、ちょっと期待はしていたんです。ありがとうございます。」
「では、スヴェアさんも4階ね。 その前に泊まる準備を。馬車から馬を放してあげるとか仕事があるんですよね。まだ、ここには飼い葉の用意がないのですが、大丈夫ですか。」
「今日は予定外の外出でした。馬は休ませるつもりでしたから、もう夕食分は与えた後なので大丈夫だと思います。」
「では、世話をお願いします。スヴェアさんも手伝ってあげてください。」
「私も3階がいい・・・。」
「早く行って下さい。」と、エイラさんとスヴェアさんを追い出す。
さぁてと。緊急事態だから仕方ないとして、コピーしよう。七輪と鍋、上州牛と現地牛をコピー。野菜もコピー。調味料もコピーする。取り皿もトングも人数分にしよう。
日本酒も、1本じゃ足らないから、これはポチろう。スマホをアイテムボックスから取り出し左大○の純米と水芭○の純米を追加。ひもかわも追加しよう。
グンマー産メジャーメーカーのビールも一応用意しておくか。ソフトドリンクは沼田のリンゴジュースにしよう。梅酒もポチッおこう。氷もあるといいな。ロックアイスをポチる。
さて、エイラさんの服。下着は細身だからスポブラとそろいのショーツでいいな。
浴衣と羽織を人数分か。帯も忘れずポチる。
あ、閣下の下着。パンツとTシャツでいいや。ポチっとな。
あとは、うん、その場で考えよう。
そんな事をしていると、ミミリィとベルタが降りてきた。
「どう、この部屋寒くない?」
「私はちょっと湯冷め気味です。」
「そうだよね。自分とミミリィは寝る前にもう一度風呂に入れば良いけど、今はちょっと寒いよね。」
火魔法と風魔法を起動でファンヒーターのまねごとをして食堂を暖める。
そんなことをしていると、馬の世話が終わったエイラさんとスヴェアさんが戻って来た。
「外はやっぱり寒いですね。あれ、この部屋さっきより温かい気がするのですが。」
「あ、ちょっと火魔法で暖めてみました。」
「あ、え、そうなんですか。」エイラさんは唖然としてる。
「ミミリィ、お風呂に行って様子を見てきてくれる?」
「はい、見てきます。」
「ベルタちゃん。『ベルタですぅ。』寒くない?」
「外が寒かったので、ちょっと身体が冷えてますね。」
「閣下達が出たら、お風呂に浸かってきませんか。エイラさんとスヴェアさんと一緒に。
ただ、ゆっくりしすぎると閣下を待たせるので早めにお願いしますね。」
「そうですね、暖まりたいです。着替え持って来ます。」
「下着だけで良いよ。これと同じ物を用意したから。」
「はい。」
「では、閣下達が出てきたら、お風呂に行ってください。済みませんが、軽く身体を洗って湯船に浸かるだけにしてくださいね。髪を洗うと、やっぱり時間が掛かるので。
今日はグンマーの温泉の素「湯ノ花」が入っているから短時間でも暖まるよ。 物足りなかったら、また寝る前にゆっくり入って、髪を洗い、暖まってから眠ればいいと思う。」
「分かりました。」
「これ、男の僕が渡すのも失礼ですが、替え用の下着です。」
「あ、ありがとうございます。」エイラさんの顔がちょっと赤い。
ちなみに、エイラさんは自分と同じ20歳のメイドさん。細身の美人で凸凹は少ない。もちろん処女だった。エステルグリーン家の使用人の採用面接は閣下がするのか、アンナリーナ様がなのか分からないけど美男美女しかいない。多分アンナリーナ様の趣味の様な気がする。
「私のは?」
「スヴェアさんの? 下着? ないよ。 どうせ持って来ているでしょ。」
「バレてましたか。」
「だって、後ろ手に大きなバック持っているじゃないですか。最初から泊まる気満々でしょ。」
「ベルタが荷物を持ってくるのに、私だけ手ぶらはダメでしょ?」
「お帰りいただけるのでしたら、問題はないと思いますが。」
「第4夫人ですからね。 泊まれるときは泊まります。」
「それ、願望ですよね?」
「願望と言われるのは今だけです。近いうちに正夫人になりますから、問題はないです。」
「まあ・・・。じゃとっとと行ってください。」
ベルタちゃんの私物は、引越用段ボール箱で5個程度でした。本邸の使用人自室にもまだ荷物があるらしく、徐々に運び込む予定とのこと。
スヴェアさんの荷物は大きめのボストンバッグでしたが、馬車には段ボール箱が数個あるらしい。
ちなみに、エイラさんは出張用バッグ(閣下達の外出時の経費等が入ったもの)のみで宿泊用準備は皆無です。当然、閣下もアンナリーナ様も手ぶらです。
ちなみに、新築祝いの品は、なんかとっても高級そうなカメオの置物でした。




