30 帰還祝の夕食
個室に移動して夕食
今日はフェリシアちゃんの無事帰還を兼ねた食事なので、アンナリーナ様とフェリシアちゃんにミミリィさん達を含めた夕食となった。
普段は、伯爵夫妻とフェリシアちゃんの3人だけで、使用人は別らしい。
伯爵の快気祝いは、また明日にでもするとのこと。
今日は「つみっこ」で腹一杯らしい・・・なんだかな~。いいのか病み上がりなのに。
丸テーブルの個室が使われ、アンナリーナ様が一番奥(上座?)に座り、反対側にフェリシアちゃんと自分、ミミリィさん、カロリーネさん。フェリシアちゃんの隣にアルヴァちゃん、ベルタちゃん、スヴェアさんとなった。アンナリーナ様の横にはカロリーネさんとスヴェアさん。
宴会を兼ねるということで、宿のフルコースの様な個別盛りではなく大皿料理を取り分ける方式で料理が提供された。
アンナリーナ様を始め大人組はワイン、年少組はリンゴや柑橘系?のジュースで乾杯となった。
自分の料理は、フェリシアちゃんが甲斐甲斐しくどんどん小皿に取り、「あーん」と言いながら、食べるまで言い続けるという拷問が始まり、当然、隣の第二夫人(仮)も同じことをしてくるという悪循環に陥った。
反対側にいるアンナリーナ様は生暖かい視線でそれを見ながら、幸せそうにワインを嗜んでいた。
皆で、伯爵の快気と無事帰還の話をしていたが、暫くするとスヴェアさんの隣のベルタちゃんの顔が、何故か顔が赤いことに気づいた。 自動的に口に運ばれてくる食べ物を咀嚼しながら、ぼーっと見ているとベルタちゃん自分のオレンジジュースにスパークリングワインを手酌で入れていることに気づいた。
何か危なそうな雰囲気なので、スヴェアさんに目配せをして飲酒のことを伝えたが、にこやかに微笑んで、ベルタちゃんから瓶をもぎ取りオレンジジュースにドバドバとつぎ始めた。それ、意味違うぞ。意思疎通出来てないぞ。
それを、ベルタちゃんが一気に飲み干すと、グラスをテーブルにドンと置き突然、
「タロー様 なんで私じゃないんですか! 私だって未婚の女ですよ。勝手に裸にしておいたくせに、なんで責任取ってくれないんですか!」
「え。」 時間が止まる。
「誰にも見せたことないのに、服をはぎ取って処女の胸触ったくせに。もう、お嫁に行けないじゃないですか。盗賊達にも見られちゃたかも知れないんですよ。私の貞操どうしてくれるんですか。」
「あ、医療行為ですから。」ちょっと、眉が引きつった感じがしないでも無いが平然と答える。
「医療行為だって、人として良いこととしてはいけないことがあるでしょ。」ベルタちゃんどうしちゃったの。
「いや、やらないとベルタちゃんが、あっちに行ったままだし。」
「助けてくれたことは感謝しています。感謝し足りないぐらいです。 で・す・け・どぉ、私だってヘーグルンド男爵家4女で貴族の子弟なんですよ。 そんなことされたらもう、縁談も来ないじゃないですか。 どうしてくれるんですか。」
「だから、医療行為だから、疚しい気持ちで見ていないから。」
「でも、終わった後も胸に手をおいていましたよね。スヴェアが胸に耳を当てていたと言ってましたし。私、穢されちゃいましたよね。」
「心臓が動いたのを確認してマッサージを止めて、そのままヒール掛けてたからですけど・・・。胸に手を置いていたのは謝ります。ご免なさい。胸に耳を当てたのは心臓の音を聞いただけで疚しい感情ではないから。」
「心音聞いただけって、私の胸はそんなに魅力がないんですか。私だから、胸が小さいから、美少女のそれも処女の裸が目の前にあっても何の感情も無かったんですか。」
「あ、はい、心臓マッサージに真剣だったので、気にしませんでした。それに、美少女だったのは認めますが、処女かどうかは僕にはわかりませんよ。」
「あ~。酷い。裸見ても気にしなかったって、魅力の欠片もないって。処女かどうか分からないって、ビッチ扱いされた。」 突っ伏して泣き出した。
これってもしかして、泣き上戸ってやつか。 論点が段々ずれて収拾が着かないぞ。
「済みません、ベルタちゃんて泣き上戸なの」
「こんなに取り乱したのは初めてです。少し位お酒を飲んだことはあるけど、赤くなるくらいですね。」 と、他人事の様なスヴェアさん
「どうしちゃったんでしょうか。スヴェアさん、あの時、ちゃんと医療行為だって伝えてくれたんですか。」
「蘇生したことは伝えたけど、やっぱり知らない男に服を脱がされ裸にされていて、気づいたら胸を触れていたらトラウマよね。処女だし、男と付き合ったこともないから。」
「そうですか。謝るしかないですね。もうしませんから。ベルタちゃんご免なさい。」
「じゃあ、責任取って下さい。」顔を上げて涙目でベルタちゃんが呟く。
「では、慰謝料でお願いします。 大金貨1枚でお許し頂けますか。」
「私の貞操は大金貨1枚なのですか。」
「では、大金貨2枚で。」
「私の貞操は大金貨2枚なのですか。」
「では、大金貨3枚で。」
「オークションの様に言わないで下さい。それに”もうしませんって”私が危なくなっても助けて貰えないんですか。そんなに魅力が無くて助ける価値もないんですか。」
「失礼しました。では銅貨1枚で。」
「ふざけてますか? 絶対許しません。タロー様にとって私は魅力が全く無くって、ビッチで、価値は銅貨1枚しかないんですね。貴族なのに平民の男に裸にされて、慰謝料銅貨1枚の価値しかないビッチって。 死にたいです、こんなこと言われるならあの時そのまま死なせてくれれば良かったのに。」
また、泣き出す。 みんなの視線が冷たい。
「冗談ですよ。酔っ払い相手の質が悪い冗談です。 ご免なさい。 それでは、ベルタちゃんは何がお望みですか。」
「じゃあ、私もお嫁さんにして下さい。第三夫人で良いですから。それ以外は許しません。 それから、子供じゃないだから「ちゃん」付けは止めて「ベルタ」と呼んで下さい。異論は認めません。」
ベルタちゃん実は素面じゃないのか。また罠に嵌まったのか。
「でも、第三夫人って、そんなに女性を囲って置く甲斐性なんて僕にはないですよ。」
「ちょっと待て、第三夫人は私。 貴方は良くて第四夫人。分かったベルタ。」
って、スヴェアさん何言っているんですか。
「えー、私、スヴェア以下なのですか。4歳も違うのに。タロー様は年増が好きなんですか。まだ、成人したばかりのピチピチつやつやなのに。」
ベアタちゃんそれ言っちゃ駄目だろう。 アンナリーナ様とミミリィさんとスヴェアさんの周りの気温が下がった。
「年増って誰のことかな~?」ミミリィさん怖い。アンナリーナ様も怖い。
「だって、だって、タロー様 スヴェアもミミリィも胸が大っきいことで、オトナの色香に迷っただけでしょ、でもスヴェアもミミリィもカレシ無しだったから、私と同じオトナじゃないの、私やフェリシア様を子供扱いして「ハーフカップ」って、貧乳って言ってますよね。私だって・・、私だってもう何年かすれば、成長するんですからね!。」
おい、フェリシアちゃんまで巻き込むか。
「え、太郎様そんなことを思っていらっしゃったのですか。 酷い。それはミミリィやスヴェアや母上様みたいに大きくは無いけど、これから大きくなるんですから、今は我慢してください。」フェリシアちゃんが腕にしがみつく。
「ちょっと待って、皆さん落ち着いて。」
「あら、どんなふうに収めるのかしら、胸好き年増好きの太郎ちゃんは。」
と含み笑いのアンナリーナ様
「アンナリーナ様、茶化すのはやめてください。」
「太郎様は私の胸だけ見ていたのですか、胸だけ有ればいいんですか、だから昨晩の試着の時、私の胸をあんなに触っていたんですね。私なんて胸のおまけなのですね、だから契約破棄なんて簡単に言えるんですね。」ミミリィさん目が怖い。
「私はそれでもいいですよ、お嬢様やミミリィが落伍して、私が第一夫人になるなら、それでもOK。 太郎様、ベルタに言われて悔しいけど、実際のところ今までカレシ無しだし太郎様が初めになるから私の胸ならいつでも好きなだけ触っていいですよ。
勿論その他いろいろ太郎様が望むならお望みのままお任せします。
今晩はこのまま第一夫人昇格記念として私が同衾させていただきたいのですが。」
スヴェアさんの顔が赤いよ。 如何したのみんな。
「スヴェア、私は契約破棄なんてしないわよ。既に太郎様は私を守ることの契約条項は履行済みなんですから、後は私だけ。契約破棄なんて絶対あり得ません。太郎様を手放すことなんて絶対ありませんから。」
「ちょっと待って下さいよ。皆さん酔っ払いですよ。落ち着いてください。 後は、明日素面の時にしましょうよ。」
「そうね、明日の朝、太郎ちゃんがどんなふうに纏めるのか見物だわね。皆、落ち着いて後は明日にしますよ。いいですか。」
「「「「「はい」」」」」
う、一応は先延ばしできた。
収拾がつかないし、自分だってワイン左右からどんどん注がれているんだから、頭回らないし正常判断なんてできないよ。全く。
先ず、一度部屋に戻って考えよう。




