27 伯爵閣下
「旦那様、お時間をよろしいでしょうか。」アンナリーナ様が尋ねる。
「アンナリーナか。どうした。」と掠れた声で返事があった。
「フェリシアが夫にしたいという者を連れて来ましたので、御報告に参りました。」
「おお、そうか。では、「相手をしなくてはならんな。」と言ってもこの状態では、フェリシアにも勝てんがな。」掠れた声で笑いながら、ベッドの人が答える。
「旦那様、この者がフェリシアが選んだ者。間橋太郎様です。」
衰弱して土色の肌をした男性が、メイドさんに介助されてベッドから上半身を起き上がらせる。
「ほう、君をフェリシアは選んだのか。」
ベッドに座る伯爵様は衰弱し目は落ち込み土色の肌ではあるが、武人といった風格を持った人だった。
「お初にお目に掛かります。間橋太郎と申します。生国から転移罠にかかりこの国に飛ばされて参りました。たまたま、盗賊に襲われていたフェリシア様達にご助力させて頂いた縁により、お目通が叶うことになりました。」
「ほう、盗賊から助けたか。感謝する。で、どの様にしたのだ。」
「あ、はい。多少魔法が使えますので、石塊をタマに当てて失神させました。今は片玉盗賊団となっている筈です。」
「ふぅ。面白い男だの。フェリシアが認めるということは、一角の男なのだな、君は。」
「いえいえ、どこの馬の骨とも知れぬただの平民です。」
「そうか。アンナリーナ、面白い男だな。で、何が目的でフェリシアに近づいたのだ。」
ちょっと、目が怖い。全快してたら、ちびりそうな威圧感だな。
「目的ですか。そうですね、「この国の事がよく分からないので、転移先の近くに居たフェリシア様達に「助けを請おう」と思い近づいたら、盗賊に襲われていたので助けた。」が、一番近いと思います。理由とすれば「目の前に襲われている女性がいたら助ける。」ということだけで、何も考えていないが一番正しいと思います。」
「面白いな。」
伯爵閣下と話をしていると、なんとなく違和感があることに気づいた。
なんだろう、この重い空気は。
「閣下、大変不躾で申し訳ありませんが、閣下を「鑑定」させて頂いてよろしいでしょうか。この部屋に入ってから、閣下の周りに違和感を覚えております。それが閣下の健康を害している一因かどうか、見させて頂いてよろしいでしょうか。」
「ほう、鑑定ができるのか。だが、既にエルサが手配した鑑定士が鑑定したが、原因不明であったぞ。エルサは原因が分かるまで感染が恐ろしいから実家に戻ると言って、実家に戻ったままだがな。 ま、無駄だと思うが、許す。やってみなさい。」
「ありがとうございます。それでは、企業秘密の部分がありますので、先ず、お人払いをお願いしたくアンナリーナ様以外は全員退出をいただけますか。あ、メイドさんも大丈夫ですから退出をお願いします。」
アンナリーナ様以外退出し、3人だけとなった部屋。
ベッドに腰掛ける伯爵に近づき右手で肩に触れる。
「失礼します。では、早速ですが鑑定させて頂きます。『鑑定』」
肩に触れた右手がほんのりと光る。本当はこんなこと必要無いのだけど、見るだけで鑑定出来ることをバラしたく無いので、肩に触れて生活魔法で手のひらを光らせる。ミミリィさんを外に出したのは、言語虚実で嘘がバレるから。
名前 :レンナルト=エステルグリーン エステルグリーン家当主 伯爵
種族 :人間
性別 :男
年齢 :38
家族 :正室・側室・娘・息子
状態 :毒物中毒(ヒ素):隠蔽 受呪 lv6衰弱(複数):隠蔽
:余命 1ヶ月
おいおい、余命1ヶ月って、末期じゃん。ほとんど棺桶に片足突っ込んでるぞ。
『イヴァンネ様。お願い。』心の中でつぶやく。
『呼んだかしら。』イヴァンネ様早い。
『済みません、声に出せないので心の中だけでお願いします。』
『分かったわ。なにかしら。』
『受呪ってなんですか。』
『そのままよ、呪いを受けている状態。その鑑定結果だと、lv6の呪いを受けているわね。それも隠蔽付きで。
隠蔽が掛かってるからその状態だと、lv6以上の鑑定持ちでないと受呪していることは分からないわね。まぁ、この世界だと、そうね、王国の長官レベルでないとlv6にはなれないから、通常だと誰にも見破ることは出来ないわね。掛呪者も当然lv6以上ね。』
『で、僕は鑑定lv9だから見ることができる。呪いの解除もすることは出来るということ?』
『スキル:呪詛があるでしょ。有効化して解呪すれば大丈夫よ。 ついでに、貴方のレベルはlv9だから、lv7レベルで返呪しておいてあげれば、この世界では、誰も解呪出来ない筈よ。』
『倍返しですね。』
『lv7だと「1千万返し」になるわね。まあ即死ね。』
『それだと苦しまないので、もったいないですね。倍返し位いが丁度良いですね。ヒ素中毒のヒ素は如何すれば良いですか。』
『そうね、ヒ素を分離するだけなら、物質精錬を体に使って集めたらどう。そのあとキュアなりヒールなりで元に戻せば良いんじゃ無いかしら。 私はやったこと無いけど。』
『ありがとうございました。』
『では、また呼んでね。』イヴァンネ様お帰りになりました。




