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21 王都到着


 朝食は昨日と変わり映えのしない朝食だったが、ミミリィさんもスヴェアさんも無言で、なんとなく重い空気の中あまり味を感じられなかった。





 今日は、馬車の御者席に座りづらかったが、それでも最後だと思うとミミリィさんの側が良くて隣に座った。ミミリィさんとは言葉を交わすこともなく終始無言ではあったが、特に拒絶されることもなく、馬車は順調に王都に向けて進んで行った。


 王都に近づくに従い道幅も広くなり、王都の城壁が遠くに見える頃には往来する馬車を多く見かける様になる。馬車は順調に進み、正午過ぎには王都ルグミラマに到着した。

 王都は、高い城壁に囲まれた都市で、遠目にも巨大さがわかるものだったが、間近に見ると見上げる高さの巨大な壁だった。

 入城は長い列であったが、今までの街とは違い効率がいいのかすんなりと入城できた。


 王都は、区画を城壁で囲んでいて、平民街、貴族街、王城とそれぞれ高い壁に囲まれてそれぞれが門で繋がれ門番が立っていた。馬車は平民街を抜け貴族街にあるエステルグリーン伯爵邸へ向かう。


 エステルグリーン伯爵邸は、貴族街の奥まった高台にあり、大きな館だった。


 アルヴァちゃんが先行して、先触れしていたため、馬車が到着するときには直ぐに門が開き敷地に入ると使用人が整列して待っていた。おっ、貴族の屋敷って感じがする。

 馬車が止まると、メイド(リアルメイドだ。それも美人ばっかり)が駆け寄り馬車のドアを開く。

 フェリシアちゃんが馬車から降りると、「お帰りなさいませ。」いかにも執事という年配の家人の出迎えを受けた。

 そしてフェリシアちゃんは、執事さんに連れられてお屋敷に入っていった。


 ミミリィさんと一緒に馬車を降りるとメイドさんがテキパキと馬車の荷物を降ろし、大きな台車で屋敷内に運んで行き、空になった馬車はミミリィさんが御者席に戻り厩舎へ曳て行った。 スヴェアさん達はそれぞれの騎馬を厩舎へ曳いて行った。

 自分だけ手持ち無沙汰で、ぼーっと皆が帰って来るまで玄関横で待っていた。


 暫くすると、ミミリィさん達が集まって来て、全員が集まった処で、「依頼完結でいいでしょうか?」とスヴェアさんに尋ねる。


「はい、終了です。報酬の支払いをしますので、少し待って頂けますか。」


「あ、今日は疲れましたので、また後日改めて出向き報酬を頂きに参ります。この依頼も伯爵家の判断ではなくスヴェアさんの単独の判断ですから調整する時間も必要でしょ。」


「そんなにお待たせしませんよ。」


「いえいえ、これから宿を取ったりする必要も有るので、また改めて伺います。 短い間でしたけどお世話になりました。 アルヴァちゃんカロリーネさんお世話になりました。ベルタちゃん胸触ってごめんね。スヴェアさん期待に添えなくてすみません。ミミリィさん好きでしたよ。 では、失礼します。」

 異論は認めず、一礼して門に向けて歩き出す。






「さぁてと。異世界生活の始まりだ。だけど、先ず、宿取って休もう。ちょっと疲れた。落ち着いたら、明日冒険者ギルドに行って、テンプレどおりの異世界生活をスタートさせよう。」

 マップ把握 っと。 あ、地図は出るけどそれだけだ。宿の内容は行かないとダメみたい、当然のことと意識したことは無かったけどネットで検索して予約できた元世界は便利だったな。仕方ない一軒ずつ当たるか。温泉なんて無いよな。グンマーだったら日帰り温泉が有ったから困らなかったけど、王都じゃ無理だよな。桔○館行きたいな。





 門を出ようとしたら「待って下さい。」と呼び止められた。

 振り返ると、ミミリィさんでもスヴェアさんでもなく、フェリシアちゃんが息を切らして駆け寄って来た。


「何処に行かれるのですか!」


「え? 依頼完結したので、今晩の宿を探しに行くところですよ。報酬は後日頂に参ります。」


「命の恩人にお礼もせず返すなど、伯爵家に恥を掻かかせたいのですか。」


「いえ、単純に依頼完了したから帰るだけですけど。」


「私はお礼も言ってませんが! 礼も言わせてもらえないのですか。」


「お礼はもう言って頂きましたから。十分ですよ。」


「いえ、そういう訳には参りません。 きちんと伯爵家としてのお礼をいたします。」


「もったいないお言葉。それだけで十分ですよ。」と、門を出ようとすると。


「じゃあ、じゃあ 依頼があります。 緊急の依頼です。」


「え? あ、今は冒険者登録しましたので、ギルドに依頼状をお願いします。」


「緊急の指名依頼です。他の冒険者ではダメです。太郎様しか出来ない依頼です。

父上と母上に、昨日のお昼に頂いた「つみっこ」を作って下さい。」


「冒険者の依頼に料理なんてありましたっけ? それに僕は依頼を受けて作るような料理はできませんよ。」


「食物屋を始めるのでしょ。だったら作って下さい。」


「「つみっこ」を出す予定はないのですが・・・。得体の知れない者が貴族様の食事を作ってもいいんですか? 毒でも入っていたらどうするのですか?」


「大丈夫です、私が毒味します。 太郎様は私に毒を盛るようなことはしませんから。」


「それ、どこから出る自信なんですか。」


「将来の夫が、妻を毒殺することは有りません。当然ではないですか。」

 ん?将来の夫って誰だ。妻って誰?フェリシアちゃんか? 待て待てどういうことだ?


「すみません、意味が分からないのですが。」


「太郎様は私の夫になる方です。ですから私を毒殺するなんてことは有りません。」

 断言したぞ。どういうことだ。


「僕にはミミリィさんがいますけど。」


「今日の様子を見れば分かります。ミミリィとの契約は解除済みなんですよね。ですから今、太郎様はフリーです。でしたら私の夫にします。ミミリィに文句があるなら第二夫人で納得させます。原因は聞いてませんが、例え一時でも太郎様を諦めた自分が悪いのですから有無は言わせません。」


「あ、契約解除はまだしてませんよ。ただ、意思の疎通がうまく行かなかったみたいで、戸惑い、躊躇っているだけですから?」


「戸惑いですか? 自分が好きになった男の人を信じられないならそれで終わりですから。自分が好きになった男の人がダメなら自分で変えさせればいいだけ。それだけのことではないですか、何故躊躇う必要があるのですか。諦めなければいけないのですか。」


「でも、ミミリィさんでさえ、躊躇い諦めようと思った程度の男ですよ。」


「私はミミリィと同じではありませんし、私は私の判断が間違っているとは思いません。潔癖症のミミリィのことだから、スヴェアがちょっかい出したのが気に入らないとか、太郎様が自分だけ見てくれないとかそんな少女趣味のことでしょう。私はそんなこと気にしません。ミミリィのものだと思ったから身を引いてましたけど、ミミリィが手を離したなら私のものです。私は太郎様がいいのです。ミミリィが何と言おうと太郎様は私の夫にします。

 先ず、屋敷に入って母上にお会い下さい。お礼を言いたいと申しております。」


「イヤイヤ、ただの平民ですからお屋敷に上がるなんて恐れ多い。」

 もしかしてフェリシアちゃんって肉食系?


「ミミリィ、スヴェア。今なら太郎様に触れて良いですから、応接までお連れして。」


「「はい。」」 ミミリィさんとスヴェアさんに左右から密着され、両腕をそれぞれの胸の前で掴まれ固定されて引きずられるように屋敷へ連れ込まれた。両腕が胸に当たっているから抵抗ができない。卑怯者! ブラ越しだけど。


ちなみに桔○館のモデルは、東吾妻町の町営温泉あずま温泉桔○館です。

 主人公のスキー帰りの定番です。


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― 新着の感想 ―
そこまでして、ブラとショーツが欲しいのか?貴族の娘はよく分からないねー
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