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20 3日目朝

 また、窓の外はほのかに明るい程度だったが目が覚めてしまった。隣には、昨日と同じように自分の腕を抱き枕にしているミミリィさんが寝息を立てている。

 元世界なら何が不満か分からない様な状況だよね。何だろうこの釈然としない感じは。

 今朝はまじまじとミミリィさんを見てしまった。寝顔も可愛い。よく見ると涙の後が・・・・誰だ、こんな可愛い子を泣かせるやつは。 あ、自分か。ちょっと反省。


 腕を外し、眠っているミミリィさんの頭をなでながら、「走ってくるからね。」とささやき、ベッドを出て着替えて赤備六文銭ぐんまちゃんを羽織り外へ出た。

 部屋を出ると、何故かスヴェアさんが居た。

「どうしたの?」


「私も外を走ろうと思ったけど、女が一人って危ないと思うので一緒に走って欲しい」


「まぁ、いいですけど・・・。一緒に走るだけですよ」

 ってスヴェアさん何時からここに居たんだ。自分が起きて来なかったらずっとここで待っていたってことか。ある意味怖い。ストーカーと化しているか?


 人気の無い街中を二人で走った。自分は加護があるから全開で走る訳にいかないので、スヴェアさんに合わせて走るが、早い。

 元世界の自分だと400m走でも厳しそうな感じだ。ま、高校卒業以後走ったことないから、今は素だと400mも走れないけどね。




 ちょっとキツいかもと思いながらも宿まで戻り、二人で柔軟体操をする。「かつぎあい」で、自分が上になったとき、


「なんで、ミミリィが良くて私じゃダメなんですか」と突然言われる。


「え、ぇ?」


「あのとき、太郎さん最初に声を交わしたのは私なのに、なんでミミリィを選んだのですか。」


「あ、あの、ちょっと苦しいのでそろそろ降ろしてもらえないでしょうか・・・・。」


「答えてくれるまで下ろしません。」

 

「あ、あっ答えますから、先ずは降ろして下さい。この姿勢では無理ですよ。」


「無理でもいいです。答えて下さい。」


「え、ぇ。目の前にいた綺麗な女性を口説いたら、ミミリィさんだったんですよ。」


「じゃ、私を綺麗とは思いもしなかったということですね。」


「そういう意図でなく、その時は余裕が無かったんですよ、ベルタちゃん死んでたし。」


「今なら?」


「今なら、ですか、先ず降ろしてもらえませんか?」


「だめです」


「ミミリィさんと契約してますから、ミミリィさんですよ。」


「でも、処女童貞交換契約だけで、恋人の条件ではないですよね。それに、契約はミミリィの回答待ちで成立していませんよね。たとえ暗黙の了承だとしても未履行なのですから契約破棄すれば良いことです。ですから契約のことは関係ありません。」

 怒濤のごとく、押しまくる。どうしたのスヴェアさん。


「同衾して夜を過ごしてますし、ミミリィさん好きですから捨てるなんてことは、今更できないでしょ。」


「分かりました。ミミリィを捨てなければ私でもいいのですね。ありがとうございます。では、私は童貞でなくてもいいので第2夫人で我慢します。」


「え、どうしてそうなるんですか、っていうか、いい加減にして降ろして下さいよ。」


 ふぅー、キツかった。なんでスヴェアさんまでそんなこと言い出すんだ。


「どうしたんですか急に。」


「太郎さんに私を大事にして欲しいと思っているからに決まっているでしょ。」スヴェアさんの顔が赤い。


「もしかして、太郎さんは女と付き合ったこと無いんですか?」


「有りませんよ。実際、全くモテず相手にもされなかったですから。」淋しい高校生活を送っていたのは事実だからね、胸を張って言えるぞ。言いたくないけど。

 そんな事言うなら、「スヴェアさんはどんなんだよ~」って逆ギレしちゃうぞ。


「では、教えてあげます。私は好きでも無い男と二人っきりで同室するなんて事は絶対に有りません。たとえ他の目的が有ってもです。そんな事をする位なら死を選びます。私はそんな軽い女ではありません。」


「あ、はい」 ってことは、好意を寄せられている女性を何も考えず部屋に入れたのか自分。好かれているって、そんなこと気づかねーよ。コミュ障童貞に期待しないでよ。


「朝食になる時間でしょうから、部屋に戻りましょ。」と、部屋に向かおうとするが、腕を取られる。


「まだ、返事を聞いてません。」


「え、なんの。」


「私達のこれからのこと。」


「王都に行くんでしょ。」


「本当に鈍感なんですね。そんなこと聞いてないですよ。 私をどう思っているか、はっきり言って下さい。」


「すみません、これからって何も考えていないので急に言われてもなんとも返事できませんよ。今は、ただの護衛の依頼を受けた冒険者ですよ。ただ、好きか嫌いかで言えば、皆さん嫌いではありませんが、特別かと聞かれると返事はできないです。」


「分かりました、王都に着くまでに考えておいて下さい。」


 じゃ、行きましょうと腕を取られて、引きずられる様に宿に戻った。






 部屋に戻り、ミミリィさんに素直に話し怒られたのは言うまでも無い。

 

「で、どうする気なのですか。」


「え、どうするって。」


「スヴェアのことです。」


「この国では一夫一婦制なんですよね。でしたら回答は決まっているじゃないですか。」


「一応、そういうことになっていますが、正確にいうと規定されていないのです。合法も違法もそういう規定がないので罰されることは有りません。でも、私は一夫多妻も一妻多夫も嫌です。」


 あ、禁止されてないんだ。ミミリィさんが居るからダメと一言で済ますつもりだったけど。あ、だから第2夫人発言になるのか。


「そうなんですか、僕は今まで女性と付き合ったこともないし、その先を考えた事もないんであまり考えたことはないのですが、多分これ以上の人には巡り会えないだろうと思うミミリィさんと、この世界で生きて行くのかなと思っているんですけどね。

 でも、ここに飛ばされた時には、『目指せハーレム』とも思っていたので、来る者は拒まずでもいいかと思っていたんですよ。

 夕べ、ミミリィさんから性奴隷の話を聞いて、来る者が無いときは性奴隷でもいいや程度に考えていたことも事実です。 失礼ですよね。」


「はい、女は物じゃありません。女を何だと思っているのですか。」


「ミミリィさんの言うとおりです。人格を疑う考えですね。でもそれを含めて、スヴェアさんが、「第2夫人でもいいから」は余程のことですよね。」


「女はみんなに優しい人より、自分だけ大事にして欲しいと思うものです。好きな人が他の女と一緒にいるなんて嫌だと感じるのが普通です。」


「僕もミミリィさんの感覚が普通だと思います。自分のこととすれば、ミミリィさんが他の男と同衾なんて考えたくも無いですが、ミミリィさんがそれを望んでその男を選んで幸せになるならそうでもいいかなとも考えます。落ち込んで立ち直れないかもしれないけど。」


「私は太郎様以外の男と同衾なんて絶対にしません。」


「今まで選択肢がないことが普通だった僕では、「大事な人の一人」ではなく「ただ一人の大事な人」を選ぶことは、今の優柔不断な僕には無理そうです。多分、僕はミミリィさんの期待に応えることができなくて悲しい思いをさせてしまうと思います。

 僕は大事な人が悲しむ様なことはしたくないのです。

 大事な人を誰も選ばないというのも選択肢ですよね。『処女童貞交換契約』は不成立で無かった事に出来ればと思います。そうすれば、ミミリィさんの軛は解かれて、もっといい人が見つかりますよね。

 暫くして、やっぱりミミリィさんが良かったとか、逃がした魚は大きいとか悔やむ僕を笑ってやって下さい。」


「え、どうしてそうなるのですか。」


「ミミリィさん、好きですよ。でもね、スヴェアさんに下着を渡すだけなら他の方法もあったよね。スヴェアさんを態々同室させなくてもよい方法が。

 如何して一夜を伴にすることを認めたのかな。僕がミミリィさんの「好きな人・大事な人」ではなかったのでしょ。

 僕は『他の女と一緒にいるなんて嫌だと』感じてもらえなかったんですよね。スヴェアさんがミミリィさんにとって特別だから? 自分の彼氏を友人に一晩位なら貸してもいいと思ったから?。ミミリィさんにとって僕はその程度の相手だったんですよね?」


「・・・・・・・・」


「では、今日は王都です、朝食に行きましょ。」

 と、ミミリィさんを促し無言のまま、食堂に向かう。


女心って良く分かりません。

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