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181 橋頭堡


 今日はミミリィと二人になった。

 普通の宿屋で、「ワンフロア貸し切り」とかではないし、護衛も一部は同じ宿だったからね普通にお風呂は男女別だよ。


 部屋に戻り寝る前に、晩酌。

 今日は、利○錦リンゴ梅酒  ミミリィのご機嫌取りも兼ねるから口当たりのいいものにした。リンゴジュースみたいな感じだからミミリィも飲んでくれるだろう。多分。個人的はレディキラーだと思う。悪用はしないでね。

 ソファーに並んで座るけど、今日はいつもみたいにミミリィが体を預けてこないのはやっぱり怒っている?



「太郎様。」


「なに?」


「僭越ですが。」


「?」


「今日の事は適当だったのでしょうか。」


「やり過ぎじゃないかということ?」


「はい。」


「やっぱり、人殺しは嫌だよね。」


「はい。」


「まあ、僕も生き物を殺めるのが好きなわけじゃないけどね、施政者としては外敵排除は必要だからね。」


「それでも、捕縛するといった方法も採れたのではないでしょうか。」


「そうだね、犯罪者でないと即時死刑執行はできない。でも彼等は自ら犯罪者となったのだから現行犯として法を執行した。彼等が領境を超えなければ犯罪者とは即断出来ないからね。捕縛しておく場所も生かしておく為の費用も領民の税だから、無駄遣いは出来ないよ。」


「それではまるで太郎様が罠に嵌めたみたいじゃないですか。」


「罠。そうだね罠といえば罠だよ。一網打尽にするために嵌めたと言われればその通り。」


「如何して、そんなことを・・・。」


「彼等を放置することは、エステルグリーン侯爵領民やアンドレアソン公爵領民、ひいては我が国の国民に災いをなすからね。予防措置だね。

 災のために領民の税を浪費するのは施政者としては避けたい。だから、即決処分した。」


「未遂状態で処分を下したいのですか。」


「そう、でも一応自ら犯罪者になってくれたからね。未遂じゃないよ。」


「太郎様、それは酷いと思います。太郎様がなさる事ではありません。」


「ありがとう。ミミリィはそのままでいてね。罠に嵌めたり命を奪うことに嫌悪を忘れないで欲しい。

 僕は多分、エステルグリーン侯爵領主代行・アンドレアソン公爵領主代行、そして第一師団長代行(多分任命されるんだろうな)として、これからは武力だけじゃなくて権謀術数を駆使したりして敵の命を奪うことになる。

 それに慣れないためにもミミリィには嫌悪を持っていて欲しい。僕も命を奪うこと嬉々としないことは矜持として持っていたいからね。」


「分かりました。太郎様が道を外しそうになったら諫言出来るよう、命を大切にすることをおろそかにしない様にします。」


「よろしく。」


「しかし、なぜ太郎様は領軍の半数を殲滅するような暴挙をなさったのですか。彼等はこれから太郎様が治めるべき領地の領軍ではなかったのですか。」


「まあ、名目上は領軍だけどね、実際はマゾーン帝国とウニ国の兵士なんだよ。あと、アンドレアソン公爵領の新街にいた住民もほとんどがね。

 取り調べている訳ではないから推測でしかないけど、彼等はウニ人をハニトラで送り込んだヴィークストレーム公爵領を橋頭堡として、ティヴァル王国に侵攻するつもりだったんだよ。

 ゆっくり時間を掛けて準備してね。

 ヴィークストレーム公爵を籠絡して潜入させたウニ兵やマゾーン兵士を「領軍」として雇い入れさせ経費はヴィークストレーム公爵に負担させる。

 アンドレアソン公爵領には「新街」に流民として潜入させ、経費はアンドレアソン公爵に領民保護の美名の下に負担させる。自分の懐は痛まずに潜入兵を送り込むことができて、かつ潜入後の経費は掛からない。こんな良い方法はないよね。

 そして、ヴィークストレーム公爵の反乱に紛れて、両地を制圧し領土とする計画だったんだろうね。

 今まではウニ橋しか交通手段がないから、ティヴァル王国にウニ橋を押さえられると大軍を送り込むことは出来ない。でも、ヴィークストレーム公爵領を手に入れば、ウニ橋は自由往来が出来て後は地続きになり、後詰め用と兵站のルートが確保出来る。

 肝心のウニ橋はヴィークストレーム公爵領都から離れているから、領軍ではなく第四師団が駐屯して守っているから、そのままではウニ国軍を引き入れることができない。

 そのため、国境警備の第4師団を娘婿にしてヴィークストレーム公爵の身内として引き入れ今回みたいに適当名理由を付けて任務放棄させる様に仕向け、どさくさに紛れてウニ峠を確保する。

 計画露見時はウニ軍とティヴァル国軍が争ったあと、あわよくばウニ国軍が勝てばよし、負けたら、ウニ国軍との戦闘で疲労したティヴァル王国国軍を領軍1万で排除するって事だったんだろうね。だから、ウニ国が敗走した後は追撃してきた第四師団とは戦わず領地に引き上げた。

 ティヴァル軍対応は「先兵として使い捨てにできるウニ軍を使う予定だった。」という感じなんだろうね、マゾーン帝国としては。ウニ軍4万は捨て駒、領軍の2,400も勿論捨て駒で本来計画のメインは今日のマゾーン帝国軍。今日の2,500人は先遣隊としてティヴァル王国に橋頭堡を作るのが役目。

 全軍で国を空けているいるウニ国なんて無人の野を行く様なものだからね。する気なら簡単に蹂躙できるさ。メリットがないからしないと思うけど。後はマゾーン帝国軍本体が出陣してウニ橋を渡り、ヴィークストレーム公爵領からティヴァル王国に出陣し内戦で国力の落ちたティヴァル王国を蹂躙するのが計画だったんだと思う。


 でも、今回はウニ人の行動を読み切れなかったのが敗因かな。我が身可愛さの余りティヴァル王国領に自軍を放置してウニ橋を後先考えず落なんて思いつかないからね。

 それで計画が頓挫したってことかな。

 そして、ヴィークストレーム公爵領に残された先遣隊はマゾーン帝国に戻るに戻れず、身の安全を図る為にも僕の赴任を邪魔したという感じだよ。多分。」


「それで、殲滅したと。」


「そう。これで喫緊の外敵排除は対応出来た筈。まあ、ちょっと北の方に残っているみたいだけど。

 ウニ橋が落ちたままだから、今ティヴァル王国にいるマゾーン帝国とウニ国の残党を片付ければ、当分の間は安心できるかなと思っている。ただ、エステルグリーン侯爵領にはまだ合法的に残留できるウニ人もいるからね。この者達は今のこところは何も手出しは出来ない。

 ましてマゾーン帝国とは戦争状態でなかったから滞在を拒否することはできない。

 これからは、違法状態として強制退去とするか自主的に退去してもらうかになるね。」


「根を下ろしている者もいると思います。その者達には酷ではないのですか。」


「まあ、そうなんだけど。ウニ人は本来入国禁止で、ヴィークストレーム公爵側室の係累だけの筈だから純粋に根を下ろしているのではないと思うんだ。

 それに、マゾーン帝国人も計画が頓挫している状態だと自主退去してくれるものと期待しているんだけど。」


「そうですか、家族同居でなければその意味合いが強いですね。でも、既に領民と婚姻している者もいるのではないのですか。それに、ウニ人は繁殖力がハンパないと言われてますよ。」


「可能性はあるよね。まあ、それは領都に着いてから考えるよ。実態が分からないのに議論しても仕方ないからね。まあ、遺児のことも。」ウニコロリン撒いちゃえばそれで終わりなんだけどな。やっぱりダメかな、”ウニモッコラーズ”でも作れば良いのだろうか。まあ、後で考えよう。


「太郎様の趣味で大量殺人を行ったのではないのことが分かりました。でも、命は大切にしてくださいね、他者も太郎様自身も。私の大事な旦那様を信じていますからね。」


「領民の幸せの妨げにならない様に頑張りますよ。」


「ちゃんと考えて下さいね。」






 二人でベッドに入る(勿論パジャマを着てるよ。)

 いつもの様にミミリィに腕枕され抱きつかれているのだけど、いつもよりキツく抱きつかれている気がしてちょっと息苦しいかも。


竹卓太です。

 まだまだ完結に至れず途中ではあるのですが、4月から転勤というか出向というか転職というか仕事が変わり、これからは週一の定期更新が難しくなりそうです。

 そのため更新は不定期になりますが、未練たらしくまだダラダラと続ける予定ですのでよろしくお願いします。 


 先日ネットで「関東地方でもっとも印象が薄い都県ランキング ワースト3。」というのがあったのですが”このランキングなんか意味があんのか!!”と思います。

 どう考えたって7都県しか選択肢がないんだから、北関東3県がワーストって当たり前でしょ。企画したヤツはバッカじゃないのかと思いました。


 誤字修正はこつこつ進めて行きます。 見直して更新した筈なのに改めてみるとまだある。

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