18 2日目の夜
食堂に集まり昨日と同じ席に座ろうとするが今日は様子が違う。テーブルの真ん中にフェリシア様、左右にミミリィさん、スヴェアさん、カロリーネさん。反対側真ん中に自分、左右にベルタちゃん、アルヴァちゃんとなっている。う、囲まれている。
「明日は王都に着くので今回の旅最後の夕食となる。お疲れ様。あと一日頑張ろう。」
スヴェアさん? さっきと口調が違うような・・・。
「すみません、今回は席が違うみたいですが。」
「あまり気にするな。太郎様がただの護衛から仲間に昇格しただけだ。」
スヴェアさんが、ニヤニヤしながら答える。
「はぁ。」
「王都に着いてからも、私の友達でいて下さると約束して下さいましたから。」
フェリシア様が小さな声でつぶやく。あれ、そんな約束したっけ。
「未婚の女性が自ら、未婚の男性宅を訪ねると言うのは親しい友人でしょ。昼間の訪問、それだけなら責任を取れとは言われませんが。」 ミミリィさんが冷たく言い切る。
「だって、お昼ご飯”だけ”って言われてませんから、夕飯を頂きにいってもいいんですよね。そのまま朝食を一緒でもいいんですよね。」
あ、やられた。言質を取られたか。
まぁ、こんな可愛い女子高生が友達でいるというのは悪くないから良しとしよう。
食事内容は、あまり変わり映えはしなかった。材料は違うみたいだけど構成や味付けはあまり変わり映えがしない。グンマーの温泉旅館と比べるのは酷か。イヴァンネ様もこれと比べると豪遊しちゃうのも仕方ないか。
フェリシアちゃん達からは、今日もグンマーのこと料理のことを聞かれたので、当たり障りのない範囲で答えておいた。 美人揃いの中、全員の視線を一身に受けて食事なんてコミュ障にとっては地獄だ。
食事が終わり、スヴェアさんは明日の打ち合わせがあるとのことで、自分だけ先に部屋に戻って来た。
ふと、窓の外を見ながらこれからを考える。
スヴェアさんがあれほど欲しがるのだから、他の子の分も用意して置いた方がいいよな。
スマホでネット通販するのは画面が小さくて嫌なんだけど、PC出す訳にもいかないので諦め、ワイヤレスブラの上下を各色5セット、少女達用に寄せブラとショーツを淡い色系で各色5セットとスポーツブラとショーツのセットを5セット用意した。サイズは鑑定してあるから分かるが、一応知らない振りをして前後サイズも併せて無難にポチる。 パジャマも色違いを何点か用意しておこう。
女性下着はよく分からないからCMでやっているメジャーどころのシンプルなものにした。
女性用下着を大量に持ってるって、元世界ではただの変態だよな。
うんでも商売だから。あくまでも商売なんだからね、収集癖なんかじゃないからね。
スヴェアさんが帰って来る気配がしたので、スマホをしまう。
このフロアは、お風呂が一つしか無いとのことで、自分が先に入ることになったそうだ。
自分が風呂から出たら、スヴェアさんがフェリシア様達を呼びに行くらしいので、迷惑にならない様さっさと浴室に向かう。
昨日の宿よりちょっと大きいけど、作りは同じ浴室だった。
お湯をかぶり一息ついたら、扉が開く音がして、振り返るとタオル1枚で前を隠しただけのスヴェアさんが入って来た。
「ちょっと、待って下さい。 どうしたんですか。 まだ、入ったばっかりですよ。」
「お世話をさせてもらいに来ました。いけませんか。」と前屈みで上目遣いでのぞき込まれる。
え、もちろん、そりゃーもう大歓迎ですよ・・・じゃない、駄目でしょうスヴェアさんミミリィさんの友達じゃないんですか。
「ミミリィさんと同じで背中を流しに来てくれた『だけ』ですよね。」
「それ、以外は駄目?」と、上目遣いの左8度でつぶやく。
もちろん大歓迎に決まっているじゃないですか。って違う。
「はい、駄目です。」欲望を理性で抑える。一部押さえられなさそうな所を懸命に押さえる。煩悩退散!
「じゃ、先ずは背中だけね。」 ”先ずは”ってなんだ、嫌な予感しかしないが・・・疑念を抱えたまま、ボディシャンプーとゴシゴシタオルをアメニティバッグから出してスヴェアさんに渡す。
「一度このゴワゴワしたタオルにお湯を掛けてから、この瓶の石鹸、あ、中身は液体なんですけどね、上を押すと出てきますよ、を付けて泡立ててから洗って下さいね。」
「わ、本当に泡が一杯立つのですね。では、背中”から”洗わせて頂きます。」とスヴェアさんが後ろから声を掛ける。
左手を肩において、右手で自分の背中をゆっくりと洗ってくれる。うん、左手が肩、右手が背中ってタオルは?背中の後ろは生おっぱいか。 あ、マズイ落ち着け自分。落ち着け特に一部。
「終わりましたよ、お湯を掛けますね。」スヴェアさんがお湯を掛けてくれた。
「ありがとうございました。じゃ、後は自分でやりますから。」ちょっと前屈みのまま、スヴェアさんにお礼を言った途端に、「あ、ご免なさい。ちょっと滑っちゃった。」とスヴェアさんが背中から腕を回して被さって来た。柔らかい物が背中に当たっているし、顔が肩の上にある。マズイ、もっと前屈みが必要な状態になった。
「太郎さんは、」と耳元で囁いたと同時に、勢いよく浴室のドアが開き。「スヴェア何しているのかな~」と声がしてミミリィさんが入ってきた。振り向きたいけど肩にスヴェアさんの顔があって動けない。
「え、ミミリィと同じことしてるだけよ。太郎様のお世話よ。」
「私はそんなことまではしてないし、バスタオルを巻いていたわよ。スヴェア、もう、目的の物は譲ってもらって目的は果たしたんでしょ。そういうことしなくていいから。」
「まだ、背中を洗っている途中よ。」 って、何処で洗っているんだよ。
「だから!、もう、いいから。フェリシア様が入れないでしょ。」
「「え、フェリシア様」」
ミミリィさんの後ろからバスタオルを巻いたフェリシア様が顔を出す。
「お邪魔でしたか。」
「お邪魔というか、えぇ~。ダメでしょう男がいる浴室に入って来ちゃ。」
目の置き所に困る。
「ちゃんとバスタオル巻いてますから。」
「いや、そういう事ではなくて。ミミリィさん、ちゃんと教育してる?」
「フェリシア様がどうしてもと言うので、私が立ち会いことで了解しました。でも、これは想定外です。」
「僕だって想定外ですよ。」
「スヴェア。先ず、太郎様から離れなさい。」
「はい、はい。 もう少しでいい雰囲気になれたのに。」
「ベルタ、バスタオルを持って来て。」
「え、ベルタって、来てるの?」と、振り向いたスヴェアさんが驚く。
「はい、この際ですので、全員で来ました。その方が後ろめたくないですから。」
この、前屈みの醜態を全員に晒すのか。落ち着け一部、自分の指揮下に戻ってくれ一部。頼むから。泣くぞ。
「太郎様、どうしましたか? スヴェアが何かしましたか。」ミミリィさん聞かないで。
チラっと見たら、バスタオルを巻いた美女が6人って、どんな罰ゲームだよ。
「いえ、いえ、何でも無いです。僕、ちょっと端っこに行ってますから、ゆっくりどうぞ。」
タオルを巻いて立とうとすると、「ダメですよ。皆、太郎様にシャンプーしてもらうのですから。」と、フェリシアちゃんがボソッという。
「え、何の話。」
「だから、昨日私にしてくれたみたいに、シャンプーをお願いします。フェリシア様がこの髪を気に入ったので同じ様になりたいと申しています。」
「「「「「よろしくお願いします。」」」」」
全員で左8度の上目遣いって、ミミリィさんどういう教育してるの!!
結局シャンプー&リンスをすることになった。全員はできないので使い方を教えながら、組になってそれぞれ洗ってもらった。自分はフェリシアちゃんとミミリィさんを担当したけど、未婚の貴族令嬢の肌に触れて良かったのか? 後が怖い感じがする。 忘れずに、本当は自分一人だけで洗える事はしっかりと伝えた。
その後、端っこに行って、自分の体を洗い先に湯船に入り、そそくさと出て部屋に戻った。
スヴェアさんが一緒に湯船に入ろうとするのは、ミミリィさんに押さえてもらった。
ボディシャンプーとゴシゴシタオルは自分が使ったものでよければどうぞ、と浴室に残して、後でミミリィさんに持って来てもらうことにした。
ふぅー 風呂に入ったのに何か疲れた。
「かさねかさねてく」を見てると女性は怖いと思います。