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167 着任挨拶


 目が覚めたらミミリィは隣で寝息をたてていた。いつ見ても可愛い。可哀想だけど起こして「朝練に行って来る。」と告げると、当然の様なディープな儀式が・・・。

 終わった後は「いってらっしゃいませ。」と笑顔で送り出してくれた。


 玄関ではいつも通りスヴェアとカミラが待っていたので、「じゃ、走ろうか。」と二人を連れて玄関を出たら、昨日のメイドさんが箒をもったまま呆然としていた。


「おはようございます。」と声を掛けたら。 ハッと気付いた様で

「おはようございます、若旦那様。昨夜はありがとうございました。おかげさまで先輩達に怒られずに済みました。いただいたカレー?は、皆で美味しくいただきました。ウチのシェフも絶賛していました。」と和やかに笑顔を返してくれた。


「どういたしまして。」と微笑むと


「あ、あのぅ、すみません。こんな建物・・ここに建っていましたか?。」


「昨日案内された別館だから、前から建っていたんでしょ?。」


「え、えぇ。確かに此所には別館があったのですが、私が此所に勤めてから昨日までの建物と違う感じがするんです。でも、その前がどんな建物だったか思い出せなくて。でもやっぱり違います。」


「昨日僕たちが掃除したからじゃないの。流石に建物を建て直すなんでできないよ。」と、笑いながら手を振って、3人でジョギングを始める。



「え、でも昨日までは、放置され蔦に搦まれていて月1回くらいしか掃除しないボロボロだった建物だった気がするんだけど・・・。」と気になったが、「仕事しなきゃ」と思い返し庭の掃き掃除を再開した新人メイドさんでした。




 一度、屋敷の周りを一周してから街中を走る。良く整備された道で、早朝にも関わらず、まばらではあるが人通りがあり生きている町なんだなと実感する。

 少し足を伸ばし城壁近くまで走ってみたが、いわゆるスラム化している所はなかった。低所得者が住んでいるであろう平民街はあったけどそれでも著しく衛生状態が悪いという感じはしなかった。アンドレアソン公爵家の治世が上手くいっているということなんだよね。

 これを引き継ぐのか・・・、荷が重いな。このままでいいんじゃないのか?


 屋敷に戻り、何時ものルーチンワークをしてから別館に戻ったら、もう朝食はできていた。

まあ、イヴァンネとミミリィがいるから何の心配もしていないけどね。


「ご主人様、豆パンの他、お預かりした根菜類等でトマト味のスープ、ソーセージの用意はできましたが、生野菜がないのでサラダはできませんがよろしいですか。」とイヴァンネが事務的に質問する。

『これじゃ淋しいからなんか出してよ。トマト缶はミミリィ様には「良く分かりませんがグンマーのものだそうです。」で押し通してあるから、ちゃんと話を合わせてね。『イタリア産』て書いてあったけど、ミミリィ様には読めないから大丈夫よね。』

 

「ありがとう。そうだよね、生野菜のストックなんてないものね。じゃあ、ポテトサラダを出すよ。あと、ヨーグルトでも足そう。」

 と、アイテムボックスから出発前に「こんなこともあろうか」とポチった業務用袋入りポテトサラダとコーン缶、ベーコンを取り出す。

 あと、スパゲッティサラダとマカロニサラダとカボチャサラダの業務用袋入りがキープしてあるさ。ゴボウサラダもあるけど、ちょっと辛いから晩酌用にちょっとずつ出してつまみにしてる。

 緊急時対応用だかグンマー産じゃないけどね。

 あと、一寸後ろを向いて、デザート用にスマホを弄ってダノ○ヨーグルトをポチった。


 食器はアイテムボックスの引っ越し荷物から取り出して並べ、○ノンヨーグルトは一つずつ小皿に移し替えたよ、プラ容器はこの世界のものじゃないからね。

 人数分をセットし準備が終わる頃には、皆ぞろぞろと食堂に集まって来て、朝食となった。


 一応今日は、何時ものグンマー産高○ハムの「桜香○ソーセージ」じゃなくて、その名も「○崎シリーズ」の「あらびきポークウインナー高○」、ベーコンだって同じ「○崎シリーズ」なんだよ。すこし奮発したんだから許してよ。アンドレアソン公爵家で自炊するとは思わなかったから、ストック用に十分な食材ポチって無いかったんだからね。

 (まあ、昨日王都から戻ってミミリィの部屋でポチれば良かったんだけど、そんな雰囲気じゃなかったからね。太郎様分(精気?)吸い取られた後だから、気力がなかったんだよ。)

 ダ○ンヨーグルトはミミリィとイヴァンネだけだったから緊急避難的に厨房でポチちゃったけどったけど、他にはバレてない筈。ちなみに、ダ○ンもグンマー産なんだよ。


 アルベルティーナが夕べの公爵家晩餐と比べたのか「質素」という表情をしたけどイヴァンネが微笑んだら直ぐに元に戻った。 イヴァンネには弱いのね。

 それでも食べ始めてしまえば、いつも通りニコニコしながら食べていたよ。王女様でも満足?。これで贈答用谷川○シリーズだったらもっと喜んでくれるのかな。

 今度、機会があったらポチってみよう。





 食後まったりとお茶を飲みながら今日の予定確認をした。


 第一班(仮称:赤城班)

 自分、エレオノーラ、ティルダ、クラーラ    行政庁へ挨拶

 第二班(仮称:榛名班)

 ミミリィ、イヴァンネ、スティナ、スヴェア     第一市内散策班

 第三班(仮称:妙義班)

 アルベルティーナ、カミラ、エディット、マルギット 第二市内散策班

 として、一日自由行動。ずっと馬車に乗りっぱなしでつまらなかっただろうから自由に過ごしてもらうことにした。勿論お昼も自由に食べられるようにお小遣いもあげたよ。


 各班はそれぞれ、スヴェアとカミラは護衛担当を兼ねてもらい、ミミリィとアルベルティーナをリーダー扱いとした。(一応年長者だからね。言葉にすると後が怖いから言わないけど。)

「班名が必要なのか?」、「どう言う意味なのかと」いう質問は、グンマーの基本で押し通した。「3班以上の場合は」と聞かれたので、当然、「浅間・白根・武尊とかになる!」と伝えた。


 榛名班に後片付けを頼み、赤城班と妙義班で掃除などの雑務(元王女ズにもやってもらったよ。)をこなしてから、それぞれ出発することにした。


 ティルダ、クラーラにはメイド服しか渡していないので、白いブラウスとビシッとした上下黒のスーツ(タイトスカートも魅力的だけど、今日はスラックスだよ)で秘書感を漂わせる様にコーディネートして同行してもらった。

 行政庁までの歩いて行ったけど、エレオノーラも流石に地元でベッタリはできないみたいで、適当な間隔を開けて歩いて来たよ。


 ティルダ達は服装はこの世界のものではないので浮きまくっていただけど、街行く男性達には綺麗なボディラインが魅力的だし、女性達には「知的な女性秘書」感を醸し出していた様で、羨ましそうな視線を受けていたよ。

 ふと、行政庁に着いてから、「歩かなくても馬車に乗ってくれば良かっただけじゃない?」と思ったことは内緒にしておく。





 エレオノーラの先導で行政庁に入り、責任者のエレオノーラの叔父、マテウス=アンドレアソン伯爵。フレードリク=アンドレアソン公爵の弟さんに挨拶をした。

 公爵は基本王都詰め状態なので、領地は「家令」としてのマテウス卿に全権委任されていてアンドレアソン公爵領の実質トップだった。


「初めまして。エレオノーラの夫となりました間橋太郎=アンドレアソンです。」

 

「マテウスです。太郎様。昨日はこちらにご足労いただいた様で、不在にして申し訳ない。年度が替わる時期でしてな、歓送迎会を行うため定時で全員退庁してしまったのだ。とは言っても、飲み会のために閉庁したわけではないのでご心配なく。窓口は基本、午後3時までなので領民には迷惑は掛かっていない。まあ、その代わり飲み会開けだというのに、今日は朝早くから皆出勤しているということなのですがな。」


 あ、会計年度って、今からなんだ。ニホンみたいなんだな。

 あれ、エレオノーラの卒業って2ヶ月以上前だよな、何で2ヶ月も空くんだろう。まあいいや後で聞こう。


「いいえ、こちらこそ事前の連絡もせず突然の訪問でしたので、致し方ないことです。旧ヴィークストレーム公爵領・改めエステルグリーン侯爵領の領主代行を拝命しましたので、御挨拶に参りました。これから色々とお世話になりますが、よろしくお願いします。」


「いえいえ、太郎殿にはアンドレアソン公爵領の領主代行も兄から託されていると聞いておりますから。」


「はい、そのように申しつかっております。しかしながら、アンドレアソン公爵からの命令は、「エステルグリーン侯爵領と同様の繁栄を」とのご下命です。現状を鑑みるにアンドレアソン公爵領以上の繁栄を誇る都市はないと思います。偏にマテウス卿のお力とお見受けいたします。つきましては現状に於いて私がアンドレアソン公爵領でなすべきことは何もありません。エステルグリーン侯爵領と同様を目指すとすればレベルダウンになりますから。」


「太郎殿にはそのように写るのか。この街も色々と問題は抱えているのですがな。」


「それは、どの領地・都市であったも同じです。しかしながら明らかな問題が顕現していないのはマテウス卿のお力かと。」


「まあ、筆頭公爵家領で問題が発生するようでは、兄に沽券に関わるからな。それなりにやっているとことではある。」


「私もこれからエステルグリーン侯爵領を治めるに当たり、マテウス卿の治世を参考とさせていただきたく、エレオノーラと此所にいる私の秘書クラーラを残し勉強させたいと考えております。お手数をお掛けしますがよろしくご指導いただきたいと存じます。」


「何を言うのかね、此所はそもそもエレオノーラの領地であって、私は兄の不在領地を守る「家令」に過ぎんよ。何の問題もないさ。」


「ありがとうございます。私の秘書クラーラは法理に明るいので領地経営の参考にさせていただきたいと考えておりますので、こちらで治世についてのご教授をよろしくお願いします。」

 クラーラは促されるままにお辞儀してみたが、頭をあげる時に理解したみたいで蒼い顔で睨まれた。



「高崎」シリーズはグンマーのスーパーでは見かけるのですが、ネットでは出て来ませんね。新聞記事が1件あるだけでした。

 おもいっきりローカルネタになっちゃいました。


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