13 一日の終わりに
誤字修正しました。
夕食後部屋に戻った。
これから入浴して寝る事になる。この階はフロア貸し切りであり風呂(風呂といっても蒸し風呂の風呂ではなく湯の方の風呂が完備されている。)も男女それぞれ設置されているが、このフロアで男は自分だけなので、一人貸し切り状態との事だった。
着替えとアメニティバッグ(コピー:原本はアイテムボックスに保管)を持って、そそくさと浴室に移動。
脱衣所で服を脱ぎ、引戸(お、引戸だ)を開けて浴室へ。スーパー銭湯の様な明るさはないが、温泉宿の浴室くらいの明るさで、風呂イスと桶はあった。さすがに蛇口はないけどお湯が入った水槽と手桶があり、このお湯で体を洗うようだ。
浴槽が六畳位かな、温泉でもないのに広い。この世界も温泉があるのだろうか、あったら行きたいな。草津温泉みたいな処もあると嬉しいな。
イスに座り、ぼーっと今日の事を考えていたら、脱衣所に人の気配を感じた。
気配感知、あミミリィさんだ。えっ、なんで、ここ男湯だよ。姿を見る前から真っ赤になってしまった。
「失礼します。お背中をお流します。」
って、バスタオルを巻いたミミリィさんが入って来た。
「あ、って、えっ」 目の置き場に困り、視線をずらす。チラ見でも鑑定どおりスタイルが良いのが分かる。
「太郎様のお世話を言いつかっていますので、お手伝いに来ました。駄目ですか。」
あ、大歓迎です。ついでに、バスタオルも取って頂けると、ってそんなこと・・言えないよな。
「あ、ありがとうございます。でも、身の危険を感じていただいた方が良いかと。今日会ったばかりの正体不明の男ですよ。」
ミミリィさんは何も答えず和やかに微笑んで自分の後ろに回ると、手桶からお湯を背中に掛けてくれた。
顔から蒸気が出そうだ。コミュ障童貞にはキツいぞこれ。耳まで赤くなってるんじゃないか? そうだ、お湯が熱いから赤いのさ、大丈夫ミミリィさんは後ろだから見えてない。筈
「あ、そうだ。これを使ってくれますか。」とボディソープとゴシゴシタオルを渡す。
自分だけだと思って、元世界の物を持ってきちゃっていたので、まあいいやと諦め渡す。液体石鹸ってこの世界には多分ないよな。
「これは何ですか?」
「石けんとタオルです。ここを押すと泡が出る液体が出ます。そのちょっとゴワゴワしたものに、お湯を掛けてから液体を付けて下さい。少しもむと泡が出ます。」
後ろを振り向かずにミミリィさんに説明する。
「グンマーのものなのですね。初めて見ました。 あ、ほんとに泡が立ちますね。」
ミミリィさんは丁寧に背中を洗ってくれた。
「では、他の場所も」と言われたので、煩悩を理性で抑え丁寧にお断りしたが、やはり煩悩は押さえられなかった。
「じゃ、ミミリィさんも後ろを向いて下さい。」
「えっ?」
「お背中を流します。」
「いえいえ、そんなこと。」
「普段相手にしてばかりで、自分はされたこと無いでしょ?」
「えぇ、まぁ」
「では、早く後ろ向いて。」と急がすと、ミミリィさんは諦めたようで、後ろを向いてバスタオルをはだけた。
わっ、綺麗な背中だな~。肌も綺麗で女性の曲線というのはこういうのって感じだ。見とれそうな自分を現実に戻し、ミミリィさんをゴシゴシタオルで優しくなでる。女の人の肌ってこんな感じがするんだ~。お湯を掛けて見とれていた。このまま、後ろから両手で抱きしめて、両手で豊満な胸を・・・邪な妄想から膨らむ。
勇気を振り絞り、声に出す。
「すみません、僕の他の所も洗ってもらっていいですから、ミミリィさんの全身を洗っちゃダメですか。」
「はい、駄目です。」即断、秒殺だった。
「じゃあ、せめて髪だけでも洗わせて下さい。お願いします。いい香りのするシャンプーがあるんです。」
「シャンプーとは何ですか?」
「髪を洗うための石鹸です。キシキシしなくていい匂いがします。」
ミミリィさん、ちょっと考えていたが、OKしてくれた。
ミミリィさん髪を櫛で梳いてから頭にお湯を掛け、少しなじませてからシャンプーを手に取り少し泡立ててから頭皮をマッサージする様に優しくもみながら、泡を万遍な行き渡らせる。泡がやはり少ないので、一度お湯で流して2度洗いしてみたら、しっとりした感じになった。
ここでリンス!この世界には多分存在していないと思うので、今回はちょっと多めに丹念に塗りつけてみる。後はお湯で流してお終いっと、手桶を持って頭にお湯を掛けようと中腰になったら、ミミリィさんが腕で押さえている胸が目に入り「視線釘付け」状態となって、ちょっと近づいた拍子に若干制御から離れ始めていたものが、背中に当たってしまった。
この時になって初めて腰タオルもしていない事に気づく、これは他人が見たらやばい絵だ。気まずい。ミミリィさんも気づいた様で耳が赤い。ええい煩悩退散!
「ミミリィさん、終わりました。」
何事も無かった様に伝え、そそくさとミミリィさんからちょっと離れて、自分の体を自分で洗った。
ミミリィさんも後ろ向きで自分を洗っていた。
洗い終わった後に湯船に浸かる。「ふぅー」と、息をつく。
バスタオルを巻いたミミリィさんが、すぐ横に入ろうとしてきたので、僕はこう言ってやりました。
「ミミリィさぁん、湯船にタオルを入れては駄目なんですよ。 これは、グンマーでは常識で最低限のルールです。」
ミミリィさんはちょっと困った顔をしたので、
「目を瞑ってますから、入っちゃって下さい。ちょっと離れれば見えないですから。」
と、言いながら、「心眼」スキルを有効化していなかった事を悔やむ。
ミミリィさんは、湯船のちょっと離れた処に入った。
「済みません、僕はこの国の常識を知らないのですが、蒸し風呂ではない「お湯」に浸かるのは普通なんですか?」
「毎日お湯に浸かるのは、貴族とか大商人といった方々だけですね。普通の人は体を水で拭くだけが多いです。もっと南の方の水が潤沢にあるところとか、温泉が涌く処は普通みたいですけど。それから、蒸し風呂はあまり見かけませんよ。」
温泉があるのか、やったー。グンマーだとちょっと車で走れば日帰り温泉に行けたからな・・もう出来ないけど。
「ミミリィさん達もそうなんですか?」
「お屋敷勤めは、お風呂がありますから使用人も入ります。使用人が多くお風呂も狭いので毎日とはいきませんけどね。暑い季節は水をかぶって済ませることが多いですね。」
そうすると、湯上がりのすべすべぷにゅぷにゅの姿を見られる機会もあまりないのか。
心眼失敗!!
「何か疚しいこと考えてませんか?、身の危険を感じた方が良いですか。」
「はい、身の危険を感じていただいた方がよろしいかと。普段はあまり湯に浸かることがないとのことなので、ミミリィさんの湯に浸かってすべすべぷにゅぷにゅの姿を拝し奉る千載一遇のチャンスを一刀両断され、それをミスミス見送る自分の不甲斐なさを嘆いていた処です。」
でも、背中は堪能したのだから諦めよう。
「往生際良く見送るんですか?」ミミリィさんが悪戯な笑顔で微笑む。
「え、え、はい、断腸の思いで見送ります。が、万が一ミミリィさんがお望みとあらば吝かではありません。今すぐそちらにお伺いして、目の保養をさせていただき、二度と消えることの無いよう記憶に焼き付けを生涯の家宝とさせていただきたく。」キリ!
「望みません。」キッパリ。
「あ、ありがとうございました。」撃沈。
勿論、ボディソープはグンマー産第○石鹸のローズボディソープです。
シャンプーとリンスはh&○ですが、これはグンマー産かどうか怪しい。
ちなみに、主人公の給料ではグンマー産の絹を使った100%シルクボディタオルは買えないので100均のナイロンタオルです。