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ワールド・エンド・ホライズン  作者: キツネ
第一章
7/14

入学編7

―――――――――――


湊が沙綾に案内された場所は生徒会室であった。


昼休みと言えど、この時間に生徒会に居る者はおらず、二人だけの状況は健全な高校生であれば耐えがたい物ではあった。


だが、湊は別に沙綾の事を女性として見る気は無く、寧ろ、前日の一幕で警戒すべき対象であった為に表面上は気にする素振りを見せていなかった。


それが、沙綾にとっても変な警戒心を持つ必要が無く、湊に対して普通に接する事が出来て話しやすい状況だった。


「ごめんなさい。昼休みに呼び出したりして、実は幾つか確認したい事があります」

「いえ、構いません....それで、確認したい事とは?」


淡々とした口調で湊が問い返すと、少し困った表情を浮かべた沙綾。

本人としても聞きにくい事だと自覚しているのか、もしくは、あり得ない事だと自分でも理解しているのか。


「えーっと....その前に、驚かないのね?兄の事」

「良く似ていますから....昨日の時点で何となく察してました」


似ているっと言う発言に、一瞬ピクっと反応は見せたが特に気にする素振りは見せずに沙綾は笑顔を浮かべた。

顔写真位であれば、少し調べれば出て来るからだ。


「兄の事を知っているんですか?って言い方が変ですよね。兄と会った事が湊君はあるんですか?」


それでも沙綾はある種、好奇心で聞いてみた。

兄、京極 樹と面識があるのか?と。

それに対して、表面上、残念そうに首を横に振った湊は否定した。


「いえ、樹さんの事は同じ能力者として尊敬していますが、会った事は残念ながらありません。地上戦最強であり、破滅の使徒である樹さんには一度会って見たい....とは思っているのですが」


心底残念そうにしている湊ではあったが、これは社交辞令であった。

それは沙綾にも理解出来ていたので、特に思う所も無い。

とは言え、それ以外の部分については思う所はあったようだ。


「分かりましたその旨、兄に伝えておくわ。授業の方は順調ですか?」

「ありがとうございます....そうですね、まだ実技を行っていないので、何とも言えないですがレベルの高い授業だと思います」

「そう。一年の内は実技は少ないですからね....ですが、湊君なら大丈夫でしょう」


大丈夫とは一体?っと不思議には思ったが口には出さず適当に相槌を打つ湊。

正直、早く要件を言ってくれないか?と考えている湊だったが、此処でそれを言っては彼女に失礼だろうと表情にも出さない様にしていた。


「湊君は新入生では異例のステージ4ですからね、先生方からの期待も大きいでしょう、勿論、私も期待しています。ですが、あまり緊張しないで努力を惜しまない様にしてくださいね?」


「えぇ。肝に銘じます、ですが、期待....は少々言い過ぎでは?自分はコレですし」


視線だけを足元に移しながらコレと称した。


自分で自分を卑下するのも....と沙綾は考えたが、それよりも少しだけ気になった事があった様子。


(....自分?)


湊の一人称が先程、同級生と話していた際と違っていた事に多少の違和感があった。


自分と呼ぶ人をもう一人知っている沙綾は尚更気になったのだが、頭の片隅に瞬時に追いやって苦笑いを浮かべた。


「それは、仕方ないでしょう?現状、能力が優先される現代なら不利でも無いし....そう言えば、彼女達は知り合いですか?」


「いえ、不利ですよこの体は。....凛子と優は昨日知り合ったばかりです、何か気になりましたか?」


「ううん。そうじゃありませんよ?只、随分仲が良さそうでしたので気になっただけですよ。....っとすいません、本題に入りましょうか」


(やっと本題か)


沙綾が漸く本題を切り出した事で、湊もホッとした様な、疲れた様な感覚だった。

このまま本題に入らず話し続けられれば、下手な事を言ってしまうと湊は考えていた。


現に、先ほど癖が出てしまった時に『しまった!』と無表情ながら、内心慌てていたのだ。


「要件は二つ程あります。その前に、昨日の演武について生徒会を代表して謝罪させてください」


沙綾が深くお辞儀をして謝罪する。

これで、湊は自分の考えが合っていた事を確信したが、同時に彼女も本意では無かった事が分かった。

笑顔を浮かべながら、労う様な視線を向けて沙綾に手でお辞儀を止める様に合図した。


「構いません。それに、今の学生を見れば何となく意図は理解していましたから」

「そうでしたか、そう言って頂けると嬉しいです。やはり、演技力は無いですね私は」


演技力....と言う面では寧ろあったと言わざるを得ないだろう。

湊は昨日の彼女を見て違和感を感じた事と、内容から意図を理解したのだ。


「いえ、そうとも限りませんよ....現に、知り合いは、腹黒いっと言っていましたから」


昨日の笑みは、挑発する為の演技だと理解出来た者は少ないだろう。

だからこそ、頭が良いと湊は評価したのだから。


「腹黒い...ですか。初めて言われましたよ....それで、続きですが、昨日も言った様に湊君は生徒会に入る事が可能ですが入りますか?」


この学校に置いての生徒会は重要な意味合いがある。

それは湊も充分理解していた。


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