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ワールド・エンド・ホライズン  作者: キツネ
第一章
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入学編6


魔人の一端―入学編


入学式の次の日から授業がある。


それは、ある種当然の事なのだが、湊の今の心情としては少し億劫ではあった。

昨日の一幕があっての次の日というのは精神的に良くないなと考えた湊だったが、それはそれ。


学校のカリキュラムは一人の青年ではどうする事も出来ないのだから当然である。

クラスに入るまで、つまり登校中の視線が痛かった。


好奇の視線は入学式とは比べられない程増えていて、湊の両足が無い事にも気付かれた様子だ。

上級生からの視線も多く不登校になろうか?と本気で考えてしまいたくなった。


「それにしても意外だよなてっきり授業も能力優先って感じだと思ってたんだけどよ....まさか初授業が歴史とは」

「あーそれ分かる!実技の授業が少ないもんね~。なんだか拍子抜けって感じかも」


唯一(?)の救いはこの目の前の二人が気を使ってくれているのか、やたら積極的に話しかけてくれている事だ。


「別に意外でもないだろう。現に二年からは実技を優先させて行くみたいだしな」

「え?そうなの?」


意外っと言った表情を浮かべた凛子に、苦笑を浮かべて頷いた湊。

と言うより、学校の入学前に渡されたパンフレットにもしっかりと載っていた事なのだが。

どうやら見ていない様だっと湊は理解した。


「あぁ。今は能力者を平等に育てる時代だからな。それに、歴史を学ぶのもある意味能力者にとっては重要だぞ?」


湊の発言に疑問を浮かべた様子の二人。

とは言え、そこまで凛子と優が頭が悪い訳では無い、と言うより其処に気付く方が変なのだ。

自分の感性が一般とずれていると感じている湊からすれば、どう説明すれば良いのか?っと多少頭を悩ませた。


「歴史ってそこまで重要?優はどう思う?」

「うーん。どうって言われてもなぁ....あーでも能力者について知るなら重要かもな」

(流石....精神力が少ないからこそか)


優を見ながら彼に対する評価を上げた湊。

相変わらず、見た目には何を考えているのか分からない湊だったが、内心では優を評価していた。


「優の言う通りだよ。能力者....特に能力について知るには歴史を調べる必要があるからね。

 と言ってもあくまで、能力その物、つまり能力の根幹が一体何処から来ているのか?と言う面ではある意味重要だよ」


「あ、そっか!確かにまだまだ謎が多いもんね~。実際、能力者と非能力者の違いについても分かってないみたいだし、どうやって能力者が生まれたのか?って部分も大元は分かってないんだもんね?」


「確かに....能力については、ゴールド・ルドルフって奴が発見したって言ってるけど、その部分も不自然な点が多いって言われてるしな~」


その通りだと湊も考えていた為に二人に賛同する様に頷く。


ただ、湊自身は少し発想は違っているのだが。


そもそも根幹が間違っていれば能力を向上させる事は不可能だと思っているのだ。


確かな証拠こそ無いが、今の現状、能力について殆ど技術的に向上出来ていないからこそ、そう感じているのだが。


「そういう事。まぁ現実問題、重要じゃ無いし、あくまで俺個人として、重要だと思ってるだけだ」

「人それぞれ考える事は違うって事ね。そう言えば、昨日湊君が相手した沙綾って人....もしかして樹さんの家族なのかな?」

「そうですよ....私の兄です」


不意に横から声が聞こえて三人共振り返ると、丁度クラスに入って来た所だった京極 沙綾が三人の会話に入り込んできた。


接触してくるとしたら、今日だろうと感じていた湊としては、特に驚く事でも無いのだが二人は少し驚いた様子で固まってしまった。


「こんにちは?話し込んでいる最中悪いんだけど....湊君、ちょっと良いですか?」


大分遠慮が無いんだなっと考えながら、湊は「わかりました」っと言って沙綾の方に移動する。


「少し込み入った話なので、移動しましょう」


込み入った話っと言う点も理解出来た湊としては確かに此処では不味いのかっと理解した。


「悪い、二人とも少し沙綾先輩と話してくる」

「あ、あぁうん。」

「お、おう」


固まった二人から出た戸惑いの声に思わず苦笑いを浮かべた湊だったが、特に気にする事でも無いと決めて沙綾の後について行った。


(さて、どうしようか)


心の中でこの後、十中八九起こるであろう問いかけを逃れる方法を考えていた湊であった。


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