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ワールド・エンド・ホライズン  作者: キツネ
第二章
13/14

テロの脅威編 現実の世界

ブクマ、評価ありがとうございます。

凄く励みになります。


さて、初めて戦闘らしい戦闘をしますが、これは俺が乗せるかかなり迷ったストーリーです。

感想、評価、ブクマお待ちしております。



少年は戦場を闊歩する。

一人の少年は、魔人となり、怪物に成り果て闊歩する。

だが、同時に騎士でもあった。


ワールドエンドであり、破滅をもたらす者。

敵、味方双方とも、彼を人外であり、物理法則を完全に無視した存在を神の使徒と認識する事は容易かった。



――――――――――――



爆炎と同時、数コンマの狂いも無くやって来た爆風に身じろぎをする者は誰もいない。

この場に生存する二人は絶え間ない攻撃の中、熱気と砂ぼこりに顔を僅かに歪めるに留まり、すぐさま次の攻撃手段へと移っていく。

少年は全身を炎の鎧に包み、能力の派生系である刀身をこの場で初めて呼び出した。

と、同時に、少年と戦っている初老の男性も笑みを浮かべながら能力を行使して歪な鉄の剣を創造した。

「随分と悪趣味な剣を作ったな」

「そうかい?だが、君程度....これで十分だとは思わないか?」

軽口を叩きながらも一切の隙を見せず、対峙する二人だったが、先に動いたのは少年だった。


炎を槍状に変形させたそれを同時に10本投擲する、それも正確に彼の急所目がけてこれで勝負を決めに行くかのような攻撃。

だが、それは少年にとっては只の牽制にしか過ぎず、即座に身体をバネの様に大きく伸縮させると跳躍した。


物理法則を超越した動きで宙に舞うと本来出来るはずの無い、炎を宙に出現させそれを足場に不規則な動きを見せながら男に接近する少年対する男は当然の様に、だが、何処か面倒くさそうに炎の槍を見詰めるだけ。


あまりの槍の速さに、この場に誰か別の兵士が居たならば、男が槍に貫かれる幻視を見たに違いない。

だが、現実は違っていた。

男が何もしていないにも関わらず、男の目の前には突如として土と石で出来た壁が一瞬の内に形成され、槍はそれに吸い込まれる様に突き刺さり、一瞬で消滅する....と、同時に空か接近していた少年の刃も延長線上に出現した壁により阻まれ、そのすぐ後に一瞬、瞬間移動したと錯覚するほどの速度で回り込んだ男が少年の首元を正確に狙って、歪な剣を振りかぶる。


だが、少年は予知していたような動きで炎の壁を出現させる。


通常であれば意味は無いのかもしれない行動だが、彼は別次元の存在であった。

男性の腕は確かに振り切った。

だが、男性の持つ剣は根本付近から溶けて無くなり、同時に少年の首には傷一つ見受けられなかった。


「ふむ。陽動にしては随分粗末だ」

「だが、随分と焦ってるようだな?ルドルフ....俺に攻撃の一切は効かない事がまだ分からないのか?」


チャンスを逃すまいと、声を掛けながらも灼熱の鎧を纏った足で蹴りを繰り出す。

それも、ルドルフと呼ばれた男性は軽く肩を竦めながら驚異的な身体能力で回避すると、同時に少年の背後から氷柱を幾つも出現させると迷わず打ち込んだ。


だが、それには、一切の反応を見せない少年は煩わしそうにそれらを一瞥すると、無視して男性へと剣を突き立てる。


当然、ルドルフは余裕を持って避けたのだが、少年は氷柱の全てを背中で受け止めた。

通常であれば速度と氷柱の鋭さを鑑みれば致命傷を受けて当然なのだが、少年の鎧には傷一つ付いておらず、氷柱はまるで最初から無かったかのように、その姿を消していた。


「全く....三流のくせにその鎧、どうやら自然法則すらも完全に捻じ曲げるのか」

「そうだ。というより、さっきから言ってるだろう?」

「ホントにめんどくさい能力だ....だが」


不敵に笑いながらルドルフは悠然と少年に近寄る。

それは、この戦闘に置いての勝者は自分だと主張するかのようだった。

その悠然とした態度に内心イラついた少年だったが表情には出さず隙を虎視眈々と狙う。

何方が動いたかは、分からない、ただ同時に相手の動きを読んでるかの様なタイミングで動き出す。


――――と同時にルドルフの足元が急激に熱を帯び爆炎を上げる。


――――そして同じタイミングで地面が急激に盛り上がり少年を挟み込むかのように猛スピードで迫っていく。


それは、二人が先の戦闘中に罠を仕掛けていた事を意味するが、二人とも顔色一つ変えずに回避すると一合、ニ合と剣を打ち合う。


綺麗な金属音を響かせる筈の打ち合いにも関わらずそれは一切起きなかった。


少年の持つ剣にルドルフの作り出した剣が触れる度に溶けて消滅してしまうからだ。

にもかかわらず、ルドルフは打ち合いにこだわり、剣が消滅した時には既に新しい剣を作り出して迎え撃つ。

訝しげに眉間に僅かに皺を寄せた少年が「なんのつもりだ?」と打ち合いの最中問いかけるがルドルフは一切の発言をせずに、剣を振るった。


「ふむ....そういう事か」


漸く口を開いたルドルフの発言に何故か冷たいモノを感じた少年。

何かある。

そう感じたが、自分の優位は変わらない。


俺には一切の攻撃は効かないのだから、と一瞬感じた恐怖を打消し再度ルドルフへと剣を袈裟懸けに振るう。

今迄の行動では、ルドルフは意味の無い剣で受け止め、消滅した瞬間に瞬間移動級の回避をする筈。


それは突如として響いた。

消滅する筈のそれは確かに存在していた。

金属音を響かせたそれは、紛れも無く自分の剣とルドルフの持つ剣だった。


此処で、初めてルドルフの殺気を感じた少年は即座に飛びのき大きく距離を取った。

それはルドルフの殺意を初めて受けた少年の自己防衛本能だ。


―――――と、同時に理解した。


(さっきまでのは、本気じゃ無かった!?)


初めて焦りの色を見せた少年は眼を大きく見開いてルドルフを凝視した。

相変わらずの余裕の表情を浮かべるルドルフだったが、そこには確かに何度も体験した殺意が感じ取れた。


「勘違いしていた事に気付いたか?」


「勘違いだと?」


空を切りながらルドルフは先程少年の剣を受け止めたそれを肩に担いだ。



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