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ワールド・エンド・ホライズン  作者: キツネ
第二章
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テロの脅威編 日常の一幕2


「あー、湊なら今、先輩に呼び出し食らってるぜ」


だが、今回は凛子の意図とは違い、本当に用事があったようだ。

それが、気に食わないのか面白く無さそうな顔を浮かべた。


「なーんだ。先輩ってことは....沙綾先輩か、大変だね~成績トップは」

「だよなぁ~。あ、そう言えば、聞いたか?湊の親の話し」

「親の話し?何それ....茜ちゃんは知ってる?」


思い出した様子で優が問いかけると、訝しげな様子で凛子は茜に話を振った。

茜は、何となく湊の親には見当が付いていたので、曖昧に頷いた。

曖昧に、というのは、茜自身それが本当の事か知らないからなのだが。


「うん。神楽君の親って....多分神楽優菜さんだと思う」

「え!、ちょ、ちょっとそれホント!?」

「こえでけーよ。まぁ、当人から聞いた話じゃねぇーけど....そうらしーぜ」


肩を窄めて優が茜の答えに肯定する。

凛子は、余程驚いたのか二人に詰め寄って交互に目線を交えると茫然とした様子で「うわ...まじなんだ」と驚嘆交じりに呟く。


「まさか、戦乙女とか呼ばれてる優菜さんの息子だったなんて....やっぱ湊君って凄いわ」

「だよな~。そりゃ、成績トップにもなるだろーし、七海さんの言う様に『学生の域を超えている』っての納得できるつーか」


茜は二人のやり取りを聞いていて、疑問に感じた様子で優の顔を見た。

優も茜の視線に気付いて言いたい事が分かった様子だ。


「あー七海さんが入学式の日に呟いてたの凛子が聞いてたんだよ」

「え?....あーあの時。そっかうん確かに言ったね」

「いやーごめんね?つい聞えちゃったから....でも湊君の精神力の使い方ってさ、無駄が無い感じがするよね。ぜーったい、来年には沙綾先輩に勝てちゃうでしょ」

「いや、それはねーだろ。だって京極先輩は水系統能力者だぜ?火系統能力者の湊には分が悪いだろ」

「そうかなー?精神力が上回れば分からないよ?」


二人の湊に対する議論を重ねている所を冷静な表情で眺める茜は静観しながらも、湊の事を考えていた。

湊にこの前暴漢から助けて貰った事がある茜は、目の前で能力を見て確信めいた物を感じていたのだ。

それは、茜だからこそ知る事が出来る茜の異能だ。


「ね?ね?茜ちゃんはどう思う?」

「はい?....そうだね。多分だけど、神楽君は京極先輩を超えると思うよ」


曖昧に返事をした茜だったが、決して本心を口にしなかった。

湊が何故か力を隠している事は理解出来た茜にとっては、此処で事実を告げて厄介事に巻き込まれるのは避けたかったからだ。


「お!...へ~?やっぱり、湊君って~カッコいいもんね~?」


(なにを言ってるんだろう?)


ニヤニヤしながら凛子が茜を見た。

何故、そこでカッコいいと言う言葉が出たのか分からない茜は首を僅かに傾けて凛子を只、黙って見つめた。


「む?....ありゃりゃ、茜ちゃんって鈍感か....こりゃ沙綾先輩と上手く行っちゃうと...うん」


対する、凛子は茜の様子を見て、聞こえない様にボソッと言うと、いつも通りの笑顔を見せて誤魔化す。

(何故か貶される様な気がするけど....気のせいかな?)

無表情で茜は考えるが目の前に居る凛子は其処まで悪い人では無いだろうと考えて、気のせいと思い込んだ。


「ていうか、湊も大変だよな....そう考えると」

「そう考えるとって何がよ?」


同情するように肩を竦めた優に、凛子は訝しげに見つめる。

凛子は分かっていない様だっと優は理解し、こういう所は凛子も鈍感か、と一人納得する。


「いや、そりゃ決まってるだろ。だって、一年生トップの能力者だぜ?それに優菜さんの息子って事は期待値半端ないって」

「期待値って....それを言ったら私と優もでしょうが....まぁ私達とは比べられないけど」


自分達もっと言った凛子は途中で尻すぼみの口調になる。

それは、自分と優の場合は過去系だったからだ。

正確に言えば、優は現在も希望はあるのだが、それはある意味神頼みであった。

親から子へ遺伝が百パーセント受け継がれたならどんなに良かったか、と二人は小さいころから絶望を味わってきた。

だが、同時に落胆され、落ちこぼれのレッテルを両親から暗に言われた今と周りからの期待では重圧が違うし、本人の精神的にも大分違ってくる。

当時、その両方を味わった凛子からすれば、どちらが辛いのかは良く理解出来ていた。


「だろ?てか、能力者ってだけでも、差別されるし、湊の場合は戦力として、この国の未来のために能力を向上させるって重圧はあるだろうよ」

「うん....それに、確か、湊君は生徒会断ったんだよね?だとすると、もう卒業後の進路も決まってるって言うより、多分強制だよね?」

「そういう事だろうな。まぁ俺らも言えた義理じゃないけどよ....そう言えば、七海さんは卒業後はどうすんの?」


感慨深げに話していた二人をジッと見守っていた茜だったが、いきなり話を振られて一瞬戸惑った表情を浮かべた。

まさか、自分にも卒業後の進路を聞かれるとは思ってもいなかった様子だ。


「え?....うん。まだ特にこれと言って決めてないけど」

「決めてないのか?ていうより、親はなんて?」


(なんで、卒業後の進路で親が出て来るんだろ?)


不思議そうに茜は思考するが、茜自身が特殊な環境だった為に知らなかっただけなのだが、本人は気付いていなかった。


「特に何も言って来ないけど?」

「え!?そうなの?....うわー、良いなー。それって自由に将来決めて良いって事だよね?」

「あぁ俺も羨ましいぜ。俺達はある意味好きな仕事なんて絶対に就けないからなぁ」


羨ましそうに見つめる二人に居心地が悪くなった茜はバツの悪そうな顔をして無理やり笑顔を浮かべる。

こういう場合なんて言えば正解なのだろうと頭の中でグルグルと考え込むが全く思いつかない様子の茜。


「そう...かな?でも、自由って程でも無いと思う。だって、一応能力者だし」

「一応って、この学校に居る時点で立派な能力者でしょうに、まぁでも確かに能力者ってだけである程度進路は絞られるから強ち自由って訳でもないか」


(自由じゃない....その通り、と言うより私もある意味皆と同じだよね)


茜は二人を見ながらそう思考した。

事、能力者の中でも特殊だと言われている茜は特にそう感じた。

進路が例え自由であっても、過去の自分と比べれば自由ではない。

(それに....私は半端者だし)

自傷気味に思考した茜だったが、ふと目線を凛子に合わせると不思議そうに顔を覗き込む姿が目に映った。


「どうしたの?なんかすっっっっっごい暗い顔してたけど?」

「あ、ううん。何でもない」

(良く見てるんだなぁ)


慌てて取り繕うように笑みを浮かべて否定すると前から気になっていた事を聞こうとした。

というより、最初から気になっていたと表現する方が正しい事だったのだが。


「二人は神楽君と何時から知り合いになったの?」


湊と二人の接点が全く分からなかった茜としては最初から疑問だった。

そもそも彼はあまり人付き合いが得意ではないと茜は思っていた。

それは、自分と似ている雰囲気を感じたからなのだが、二人と湊は良く話しているのを見かけているので特に気になったのだ。


「あー、それね。まぁ私は便乗したって感じだけど、きっかけは優だよ」

「そう。まぁ俺も偶々、入学式の日に話してそれからって感じか」

(あぁそういう事か)


一人納得した様子の茜。

それは、二人の性格を考えれば何となく理解出来た。

知り合ってそんなに時間は経っていないが、自分みたいな人に話しかけるくらいだから人見知りなんてしないのだろうと茜は考える。

それは、事実であり、凛子と優は人見知りという概念がそもそも無いのだ。


「ま、そういうこったな.....お!湊の奴、漸く解放されたみたいだぜ?」

「あ!ホントだ。おーい!湊君こっちこっち」


ニヤニヤと何かを企んでる様な笑みを浮かべながら二人が湊を呼ぶと、湊は一瞬だけ頬を引き攣らせて元の無表情で近寄る。

(大声で呼ばなくても....ここ教室なのに)

それを茜は内心不思議に思いながらボーっと成り行きを見守る事にした。


「....なんだ?」

「あ!ちょっと反応が変!絶対めんどくさいとか思ったでしょ」

「あぁそれは俺も思った。てか、また生徒会の勧誘か?」


ヤレヤレと小さく首を横に振った湊は一瞬だけ茜を見た後、直ぐに大げさに肩を竦めた。


「気のせいだよ。....で、お察しの通り生徒会に入ってくれないかって勧誘を受けた。俺は何度も拒否しているのにな」

「それは災難....あ、そう言えばあの暴漢事件どうなったの?」


暴漢事件?っと一瞬不思議そうに首を傾げた湊だったが、直ぐに思い出した様に頷く。


(暴漢事件って私が襲われた時の?)

「あぁ。丁度、七海さんも居る事だし話しておくか。とはいえ、特に言うべき事は無いが....そう言えば七海さんは前にも暴漢に襲われた事があるのか?」


このタイミングでようやく茜をジッと見つめた湊は誰にも悟らせない様にしながら、目線だけは鋭く尖らせる。


「えっと....あれが初めてだったけど。あ、えっと....改めて、この間は助けてくれてありがとう」

「この前も言ったが、お礼なら凛子に言ってくれ。で、この前が初めてか....なら何時も通学はあの通りを使うのか?」

(何か気になる事でもあるんだろうか?)


茜や、凛子、優も気にはなったが、特に追求する事無く湊の様子を眺めた。

とは言え、湊は相変わらずの無表情だったので、眺めても特に何か分かる訳では無いのだが。


「そうだけど」

「そうか....わかった。まぁ暫くは凛子や優と一緒に登下校した方が良いだろう」

「あぁそれなら心配ないぜ!俺はともかく、凛子が合わせてるからな」

「ちょ!ちょっとそれ禁句!」

(合わせてる?)


疑問に思って凛子を見る茜だったが、凛子はバツの悪そうに苦笑いを浮かべて目線を宙に向けていた。

その様子を見ていた湊も何が何だか分からずにジッと凛子と優を眺める。


「ま、良いじゃねーか。それに、湊の話しが無くてもそうすべきだろーよ。七海さんは今日から俺達と一緒に帰ろーぜ」


ニコニコと笑いながら優が話しを誤魔化して茜に提案する。

茜自身は、何が何だかサッパリ判らなかったが、一緒に帰るだけならと思い頷く。


「じゃあ私も一緒に帰る!」


バッと勢いよく手を上げた凛子を生暖かい目で見つめる優だったがその意味に気付いたのは凛子だけだった。

実の所、ここ最近茜を守ると言う名目のストーカー行為をしていた女性がいたのだが、それを知っているのは当事者と優だけだ。


「よろしくおねがいします」

「そんな畏まんなくても良いって」

「そうだぜ....あ、勿論湊も一緒だよな?」


話しをふった優は妙に企んでいそうな表情をしていた為、一瞬断ろうとした湊だったが、なんとか思い留まって頷く。

この時点では、まだ湊が何を考え、何を思っているのかを理解している者は只一人も存在していない。



この小説を読んでいる方はなんとなく気付いているかも知れませんが、パソコンのワードエクセル?で書いた文章を載せています。

一章と二章で分けてはいますが、基本的に改行なしで一気に書いたものをこちらにコピーして改行して乗せているので改行が少し難しい....ですが、出来る限り読みやすく仕上げる様にしていきますのでよろしくお願いします。


あと、次で戦闘シーンいける....かもしれないです。

中々納得の行く戦闘シーンが書けない(笑)

出来るだけ早く更新出来る様に頑張ります

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