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ワールド・エンド・ホライズン  作者: キツネ
第二章
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テロの脅威編 日常の一幕

この物語はフィクションです。

この世界と似た架空の世界であり、実在の人物、団体、国家、宗教、その他固有名称で特定される全てのものとは、一切関係ありません。

日常の一幕



能力者は能力者同士との間にしか生まれることは無い。

それは、現代においては、常識であり、当たり前でもあった。

だが、例外は起きる。

非能力者と能力者の間に産まれた少女、七海 茜が唯一の例外であった。

これは世界的にみても問題であり、研究材料として貴重な人材だと思われたが、事はそう上手く行かない。


確かに彼女は能力者である。


では、此処で言う能力者の定義とは何なのか?それは精神力だ。

精神力を使える者は能力者である。


だからこそ、彼女は能力者なのだが、肝心の固有能力を持っていなかった。

故に、世間的には公表されず、密かに生活を送っていたのだが、世界の誰も知る筈がない。

彼女は現代能力者の中で異質で異常で特異の存在である事をまだ、誰も。


入学して一週間も立てばある程度グループは出来上がってしまう。

友人達で固めたグループに突如割り込めば自己中心的だと思われて苛めの対象に選ばれてしまう事もある。


だからこそ、孤立してしまう。


少女もその一人だった。

元々、人に馴染むのが極端に苦手で、奥手な少女はクラスでも一匹狼と認定されてしまった。

自分の性格が酷く冷めた人だとは自覚していても、それはある種他人から逃れる為の防御であり、仕方ない事だと割り切っていた。

時々話しかけてくれる同級生の女の子は居ても、自分から話し掛ける事はしない。

だからこそ、馴染めないのだ。


(なんでこんな所にいるんだろうか)


一人で次の授業の準備をしながら少女、茜は考えた。

そもそも彼女はこの学校に入る気などサラサラ無かった。

だが、特殊であり、特異である彼女は半ば強制的に入学する事になったのだ。

其処に本人の意思は全く無いのだ。


「やっほ~!茜ちゃん、次の授業の準備?」

「え?、あぁうんそうだよ」


隣の席に腰かけてきた少女から声を掛けられて咄嗟に返事をする茜。

話しかけてきた少女、凛子は茜に唯一話しかけてくれる貴重な存在でもあった。

それが、本人としては嬉しいのだが、口調は冷めている為にそう感じないのも事実だった。


「あはっ!次の授業って数学だっけ?」

「うん。そうだよ」

「ありゃ~、私数学って凄い苦手なんだよね~。なんかこう....あれよ、数字見てるだけで眠くなるって言うか、イライラするっていうか」

「そう....かな?」

「そうなの~。はぁーあ....ん?茜ちゃん怒ってる?」


ゲッと声が出そうな様子の凛子に慌てて首を振る茜。

確かに、見た目、かなり眉間に皺を寄せていてしかめっ面をしている彼女は見た目は怒っている様に見えた。


(怒ってない....というより、申し訳ないと思ってるんだけどな)

「ううん。怒ってない....ごめんなさい」

「そっかー良かった!....ってなんで謝るの?」


首を傾げて本気で不思議そうに尋ねる凛子に茜は内心戸惑いながらジッと凛子を見た。


「その、怒ってる様に見えたみたいだし」

「あー、ううん。てか、何となく茜ちゃんの事分かったから気にしないで」

「?」


今度は茜が首を傾げる番だった。

相変わらず屈託のない笑顔を浮かべながら茜を見る凛子は、ビシッと指を茜に向けて指した。

茜は、ビクッと体を震わせながら、差された指を両目で戸惑いながら見る。

横から見たら随分穏やかに見えない光景だが、本人達、特に凛子は愉快な気分だった。


「茜ちゃんって、人付き合い苦手でしょ?」

「え!?....えーっと、そうかも」


戸惑いながら茜が肯定するとニコニコと笑顔を浮かべて、じーっと眼を見詰める凛子。


「でしょ!、感情を表に出すのが苦手っぽいし....でも優しいでしょ?」

「優しい、かな?」

「うん。女のカンって奴だけど、あ!優、丁度良い所に来た」


パッと横を向いた凛子が近寄って来た青年、優に声を掛けると肩を窄めながら凛子に呆れた目を向けた。

優は、これから言われる事の検討が付いているようだ。

寧ろ、今までの行動パターンを知っている優にとっては凛子の考えは手に取る様に分かってしまう。


「結論から言うぜ。課題は本来自分でやるもんだ」

「えー!良いじゃん!ケチ!」

「ケチで結構、つーか、凛子、お前周りから見たら虐めてる見たいに見えたぞ?」

「ふーん。後で覚えてなさい!....違うわよ、茜ちゃんとは友達だもんね~」


不意に話が振られて思わず頷いた茜。


(あ、あれ?友達....だったんだ)


困惑した様子の茜を見る優は同情した様子で茜を見た。


「わりぃな。コイツかなり強引だから、滝澤優、優って呼んでくれ、何か困った事があれば力になるからよ」

「よろしく。えっと七海 茜です」

「おう、よろしくな」

「もう!割り込み禁止だよ!あれ?そう言えば湊君は?」


態々凛子は辺りを見回した。

近くに居ない事は見れば分かるのにそれを行った。

理由は単純に、湊が何故か茜に接触しようとしないからなのだが、凛子はそれを過剰に意識していた。

他人の色恋沙汰に敏感な所は乙女チックだが、当人は否定している。

だからこそ、凛子が余計に騒いでいる事を湊は知らない。


第二章は少し長くなりそうです。

今回ようやく戦闘シーンが書けそうですがどうなる事やら。

注意事項ですが、この小説は主人公が二人います。

ですので、基本は二人の視点で進んでいきます。

ブクマ、評価ありがとうございます。

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