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第60話  第4章-第5話

20170701公開

4-5



 ベルト帯は、『ニューアマゾン川』で獲れる地球の鮎やマスに似た淡水魚と大きな沢蟹もどきを特産とする宿泊業兼リゾート業が盛んだ。

 温泉も湧いていれば完璧だっただろうが、さすがに湧いていない。

 どうでもいいが、温泉と言えばノースランド近郊の町で湧いていて、そこそこ栄えているそうだ。深雪たちが温泉に行きたがっていたので調べたから確かだ。

 そう言えば、富田様と根本様もいつか行ってみたいと話していたな。


 俺たちが泊まる宿は、ランクとしては上等な方になるだろう。構えも立派で、街道から玄関までの誘導路の手入れも行き届いていた。

 3階建ての旅館のエントランス前で、まず最初に『益獣ゴドルフィン』に騎乗していた深雪とレジっ4人組がそれぞれ身軽に降り立った。


 今回の訪問に合わせて、教団本部が5頭の『益獣ゴドルフィン』を貸してくれたのだ。

 元々、俺たち『プラント様が遣わした援徒』は、ファーストランドにとっては切り札みたいなものだ。いざという時の為の機動力として、教団は貴重な『益獣ゴドルフィン』を人数分揃えていた。

 俺たちも騎乗する機会が多い為に、3カ月も経った今日こんにちでは全員が乗りこなせる様になっている。

 しかも、新規に志願して来た高校生の分も教団が現在手配している程だ。

 まあ、俺たちを特別扱いする事で、『プラント様が遣わした援徒』との関係が円満だと信徒に訴求する大人の事情が有る事は否定しない。

 そうそう、新人4人組は引率役の松浦君と一緒に衛兵隊から借りた馬車に乗って来ている。素人がいきなり乗りこなせるほど、2本足で走る『益獣ゴドルフィン』の扱いは簡単ではないからだ。


 馬車から降りた俺たちを出迎えたのは、中年の夫婦とまだ若い息子夫婦、そして息子夫婦の3人の子供たちだった。

 どうやら、先触れの者が宿泊の予約を入れる時に俺たち『プラント様が遣わした援徒(「人類の守護者」という呼び名が出て来たせいで恥ずかしくなくなって来たから不思議だ)』が12人も混じっている事を伝えたみたいだ。

 大人たちからは『大獣災』の時のお礼を言われた。

 この近くで3頭の『災獣レックス』を討伐した事を恩に思っていてくれたからだった。

 そして小学生高学年くらいの兄弟は目をキラキラとさせて見上げて来た。少し年が離れている女の子はモジモジとしていたが、すぐに深雪たち女子高生組に囲まれて話し掛けられたり、頭を撫でられたりし始めた。

 佳澄ちゃんが引き金になったのだろうが、どうも深雪たちは小さな子供に甘いという気風が出来上がった様だ。

 久し振りの馬車の旅で凝った筋肉をほぐす為に、夕食前に富田様と大浴場に行った帰りに深雪たちとすれ違った。

 全員が〈戦闘装着セット(戦闘服2型)〉を着て汗ばんでいる。


「お兄ちゃん、もうお風呂入ったん?」

「ああ。そっちはもしかして鍛錬か?」

「うん、そうやで。ちょっと裏庭を借りて銃剣の形をなぞってたんや」

「熱心だな」

「1日サボったら、取り返すのが大変やからな。お兄ちゃんと違ってしっかりと身に付いてないしな」


 そういえば、日本に居る頃の深雪は休みの日も自宅でバットの素振りをしていた。

 地道な努力もする子だったな。

 

「夕食までちょっとしか時間が無いけど汗を流したらどうだ? 日本の温泉程では無いが、さっぱりするぞ」

「そやな、あと25分有るから、入ろかな? アヤッチも入るやろ?」

「シャワーで済まそうかと思ってたけど、入ろっか?」


 彩君の後半の言葉は後ろに居たみんなに向けられていた。  


「ハイ」


 ちょっと驚いた。

 いや、まさか、ここまで返事が揃うとは思わなかったからだ。 

 まあ、松浦君と西君の声が妙に浮いていたのは気にしたら負けだな。


 夕食は各自が宛がわれた部屋に配膳される方式だった。

 俺は富田様、松浦君、西君と一緒の部屋だ。

 どうせだからと、2人の仕事の悩みなんかを吐き出させようとしたが、意外と悩みが少ないらしい。

 強いて言うと、西君が若い女の子8人に対して男が2人しか居ないので、肩身が狭いと言っていたくらいだ。

 うん、それは分かる気がする。

 俺ももし同じ立場に立たされたら、同じ気持ちになるかも知れん。ましてや思春期真っ只中の西君だ。戸惑いの方が大きいのが当たり前だ。

 そう考えると、松浦君と同じ班にするのは正解だ。

 その話が終わると、漂着した知的生命体に話題が移った。

 意外と言っては何だが、富田様が面白い話をしてくれた。


「そういえば、みんなはディノサウロイドと言う言葉を聞いた事が無いか?」

「うーん、無いと思いますね」


 俺はあっさりと降参した。

 西君も首を傾げている。


「どっかで聞いた気がしますが・・・ あ、もしかすれば、恐竜人間ですか?」


 何かを思い出そうとしていた松浦君が答えると富田様が頷いた。


「そう、俗に言う恐竜人間だ。店長が知らないのは驚きだな。馬車の中でクレスポ1等教士に推測を言っていたのを聞いていたが、まるでディノサウロイドを知っているかの様に聞こえたからな」

「いえ、初耳ですね。あの時はホモサピエンスの進化を取り上げたテレビ番組でやっていた内容を思い出しながら答えていたんですけどね」

「なるほど。まあ、俺も詳しく知っている訳では無いが、テレビ番組で見た事が有って頭に引っ掛かっていたんだ。緑色した姿が妙に頭に残っていてなんかの拍子にググった事があるんだ。もし恐竜が絶滅せずに進化していけばもしかすれば人間みたいな姿になるかもという奇想天外な仮説なんだが、最初に聞いた時に頭に浮かんだな」

「見てみたかったですね。で、どんな姿だったんですか?」

「なんと言うか、恐竜っぽいぬいぐるみというか・・・」


 富田様が言いよどんだところで松浦君が助け船を出した。


「背中の甲羅の無い河童が近いですね」


 その言葉を聞いた富田様が噴き出した。しばらく息を整えた後で笑い過ぎて出た涙を拭いながら松浦君に文句を言った。


「確かに似てる気もするが、さすがに別もんだろ?」

「そうですね、もう1つ大きな違いがありました。頭のお皿も有りませんね」


 またしばらく富田様が戦線から離脱した。



 俺の頭の中では何故か日本酒を飲んでる異星の知的生命体の姿が思い浮かんだが、きっと気の迷いの筈だ。

 



お読み頂き誠に有難う御座います m(_ _)m



 書いている最中に思いましたが、今話は他の作品では『サービス回(お風呂場での女子によるキャッキャウフフな展開。ポロリも有るよ^^)』になる気がします(^^;)

 でも、何故か、男どものしょうも無い駄弁りって・・・

 とことん色気の無い作品で申し訳ございません m(_ _)m

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