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第52話  第3章-第13話

20170513公開


20170516一部役割修正ソラ⇔ニュー

3-12


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

-14d5h25m58s  白石 玲奈 viewpoint




 私たちが馬車まであと数㍍という所まで走って来た時に、北の方から連続した発砲音が幾重にも重なって聞こえて来た。

 店長たちだ!

 予想よりも早いけどきっとそうだ。 

 停車中の馬車の前に2列で並びながら、ソラさんが解説してくれた。

 もう、『解説者』という職業に就いても良いくらいだ。ギャラは無いけど。

 発砲音はまだ続いている。


「城壁前の緩衝地帯で一気に殲滅しようとしているみたいだな。なるほど、確かにその方が早く合流出来るか・・・」


 途中で待ち伏せするんじゃなく、この町の城壁前の奥行100㍍の空き地で迎え討つ事にしたみたいだった。その方が早く私たちと合流出来るからみたいだ。

 それと左足の被弾で身動きが取れなくなっていた筈の『災獣レックス』は、東西南北メインストリートが交わる位置に在るちょっとした広場を越えて、町の南側までやって来ていた。

 出血が響いたのか、さすがにもう身動きは取れないみたいだけど、その執念は凄いとしか言えない。

 よっぽど私たちを食べたいのだろうか?


 彩先輩がチラッとソラさんを振り返って、頷いてから馬車の方に声を掛けた。


「ニコラス中尉! あと少しで店長たちが戻って来ます! あと少しの辛抱です!」

「了解した!」


 更に彩先輩は私たちの方に顔を向けて勇気付けるかの様にちょっと笑顔を浮かべてから頷いた。

 そして、今度は前を向いて指示を出した。


「最初の『災獣レックス』は身動き取れないけど、新たな2頭が来る! 追い払うだけで私たちの勝ち! 油断だけは禁物! 分かった?」

「はい!」


 今度は全員の声が揃った。

 私の左に居るニューさんも今回は揃える事が出来て、ホッとしているのが雰囲気で分かった。

 ニューさんって、私よりも背が高くて年上なのに、偶に子供の様な雰囲気の時が有る。

 でも、ニューさんって意外と背中が広い事に最近気付いた・・・

 マンガなんかでヒロインとかが、ふとしたことで男子に異性を感じる時に使われる表現方法だけど、私にもそんな感性が有ったとは新鮮な驚きだ。

 まあ、別に、この遠征前に言われた事が原因では無いんだろうけど・・・


 『カメラシンク』の画像を確認すると、中央広場手前まで進んだ2頭の『災獣レックス』が何かに気付いたかの様にこっちに顔を向けた。


「さあて、来るよ! ソラさんと私はヤツラの目を潰すから、みんなは先頭、もしくは左側のヤツの右足を狙って。構えて・・・・・」


 彩先輩とソラさんがしゃがんだ。

 『カメラシンク』の画像では、2頭は中央広場に顔を出している筈だけど、身動きが取れなくなっている最初の『災獣レックス』が邪魔で肉眼では見えない。


「みんなは見え次第射撃開始・・・」


 どうやら彩先輩の位置からも余り見えていない様だ。

 『カメラシンク』の画像に意識を向けたけど、まさか・・・

 2頭の『災獣レックス』は最初の『災獣レックス』の陰を利用して近付いて来ていた。

 2頭はメインストリートの端を、家屋や商店に沿う様に縦に並んでゆっくりと近付いて来ている。

 まずい・・・ まずい・・・

 全身が見える様になる頃には、40㍍を切っている!?

 彩先輩とニューさんが発砲を始めたが、見切り発車なのか、散発的だ。

 あ、店長たちの発砲音が聞こえなくなった。と同時に『ボイスパーティ』で話し掛けられた。


『彩君、当たらなくても良いから牽制の為に射撃をしろ。頭を出させるな。すぐにそっちに行く』

「は、はい。みんな、聞いたわね? 全員射撃開始!」


 言われて気が付いたけど、確かに全部命中させる必要は無かった。

 これまでは当てる事に夢中だったけど、言われないと気付けないくらいに私たちは素人なんだ。 

 とにかく、弾幕ってやつ? その為に全員で撃ち始めた途端に2頭の『災獣レックス』が動いた。

 並びはそのままに縦に並んでいる。低い姿勢で向かって来る、前に居る『災獣レックス』に銃弾が集中するが、その後ろに隠れる様にしている『災獣レックス』は無傷だ。

 私もだけど、みんなも焦っているのか、弾はバラバラの場所に当たっている。

 これでは、止められない。もう、20㍍を切った、切ってしまった・・・

 命に危険が迫っているせいか、頭の中が急加速した感じがする。

 ここで阻止しなければ、後ろの馬車が危ないから何とかしなければいけないのに、ドンドンと近付かれている。

 どうする? どうしたらいい?

 彩先輩も迷っている気がするけど、視線を『災獣レックス』から外せない。

 覚悟! 覚悟だ! 今は、私に出来る、最高の速さでひたすら撃つ事に集中しなきゃ。

 突然、初めて聞く様な大きな銃声が響いた。

 と同時に、後ろの『災獣レックス』が血をまき散らしてよろめいた。

 え? なに? 

 更に、懐かしくて、頼もしいロクヨンの銃声が重なって聞こえ出した。

 銃声がしている方向は斜め左だ。

 ちらっと見たら、自衛隊部門の人達がメインストリートに面した屋根の上を走りながら射撃をしていた。

 ホッとしたけど、もう『災獣レックス』は目の前に居る。

 さっきと同じ様に『災獣レックス』が右手を振ろうとしている。


「退避! みんな、避けて!」


 遂に彩先輩が命令を出した。

 2度目と言う事も有って、身体がスムーズに動いて、後ろ向きに跳べた。

 弾丸が装填済みだったので、この角度なら見える弱点の腹に撃ち込む余裕も有ったくらいだ。 

 私の右側に並んでいた亜里沙ちゃんと里璃亜ちゃんも私とほとんど同時に後ろに跳んでいるのが分かった。これなら、『災獣レックス』の左手の薙ぎ払いもみんな避けられる。

 彩先輩とソラさんは敢えて、右手の薙ぎ払いの下を掻い潜っていた。あれなら左手は届かない。

 


 迷彩服がひとつ、何故か、私の左前方に見える・・・

 そこに居てはいけないのに・・・・・


 ニューさんだけが逃げ損なっていた・・・・・・・



お読み頂き誠に有難う御座います m(_ _)m

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