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第48話  第3章-第9話

20170425公開


20170504彩セリフ一部修正「各自、装填!」→「了解!」

20170516役割一部修正 ソラ⇔ニュー

3-09


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

-14d5h21m11s  白石 玲奈 viewpoint



『お兄ちゃん、ちょっとマズイ事になりそうや。こっちにも7頭向かって来てるんや。これから迎撃するけど、ちょっとだけ急いで戻って来てくれるか?』


 深雪さんが店長さんに『ボイスパーティ』でこちらの状況を知らせた後で、衛兵さんにも声を掛けた。


「ニコラス中尉! お兄ちゃんの方は片付いたけど、こっちに北の林の方から7匹来てる! 馬車を動かす準備急がせて! お兄ちゃんには言ってある!」


 深雪さんの言葉にニコラスさんがギョッとした顔で深雪さんの方を振り返った。

 今まで、教団の人と町長さんと3人で話し合っていたみたいだった。


「ミユキ、本当か? 時間はどれくらい残っている?」

「もうそろそろ林を抜けそうや。すぐに城壁に取り付かれるで」


 この町は川を使った水運を考えて、低地になっていた川辺の密林を切り開いて造られていた。

 ただ、木材と薪、それに山菜と言うか野菜と言うかそう言う感じの食材を採る為に林に入って200㍍ほどは手入れがされていた。だから南も北も城壁から害獣対策用の緩衝帯の100㍍先は木が生えている。

 という事は、町まであと100㍍の距離まで来ている?

 町長さんが大慌てで北側の壁沿いに建てられた監視塔の方に向かって走り出した。


「車輪止めを外せ! 車輪止めを外したらさっき言った配置で全員乗車!」


 ニコラスさんが部下に命令を下すと衛兵さんたちが素早く動き出した。


「ニコラス中尉、ウチらは下車戦闘をするで! 馬車は南門の前まで移動して、北向きに方向転換。攻撃を180度に限定させよう。いざとなれば南北通りを北に移動して時間を稼いでや」

「了解した」

「ソラさん、ウチはファーストランドに報告するからしばらく『ボイスパーティ』の応答は任せるで」

「あ、ああ、分かった」

「アヤッチ、この子たちを馬車に乗せたげて」

「うん、分かった」

「おねえちゃん・・・」


 男の子が泣きそうな声を上げて、彩先輩を見上げた。

 妹さんは早くも男の子の服を握って泣き始めていた。声を上げていないのは性格なのだろうか?


「大丈夫だよ。あのお姉ちゃんは私たちで1番強いから、絶対に守ってくれるよ。私たちもこう見えて強いんだよ」


 そう言いながらしゃがんで、彩先輩は兄妹の頭を左手で撫でた。


「その証拠に、ほら!」


 彩先輩の右手に『ハチキュウ』が召喚された。

 思わず見詰めた兄妹の視線が、『ハチキュウ』と彩先輩の顔と何回か往復する。


「みんな、各自、召喚!」


 彩先輩の号令に、私たちも自分達の武器を一斉に召喚した。


「ね? 大丈夫だから、馬車に乗ろうね?」


 さすが、彩先輩だ。さっきまで恐怖と不安しか浮かんでいなかった兄妹の顔に安心感が混じった。

 馬車に乗る時には「みんながんばって」と私たちに手を振ってくれた程だった。

 これは、頑張らねば・・・・・

 

「林から出た!」

「了解!」

「ニコラス中尉、現状ではこの町からの脱出は不可能と判断したと伝えたで! お兄ちゃんたちが戻って来るまで逃げ延びて生き残るで!」

「了解した! こっちは移動する! 武運を祈る!」

「さあて、怪獣退治するで!」


 今居るところから南門までは20㍍ちょっとだ。

 『益獣サンプソン』に曳かれた4台の馬車がゆっくりと移動を始めた。

 北側から大きな音が聞こえたのはその時だった。

 思わず、そっちの方を見た。


「各自、『カメラシンク』を確認しいや。大物が1匹混じってるで」


 店長さんが先行して偵察機を急行させてくれたのだろう。さっきまでの上空から映した林の木々が流れる様な映像が変わっていた。

 7頭の中に1頭、他よりも頭一つ分大きな『災獣レックス』が居た。

 その大物が城壁にし掛かる様にしている姿が『カメラシンク』に映っていた。

 さすがに少し怖いという気持ちが湧いて来た。

 

「お兄ちゃんたちの戦闘を見てた限り、ウィンチェスター組は最初から2倍速で行くしかないな。ソラさんとアヤッチの2人は真正面から撃つ時だけは連射に戻して目を狙って。ウチは遊撃に専念するから、みんなはここで弾幕を頼むわ。アヤッチ、指揮任せるで」

「ミユキ、無理しないでね」

「アヤッチ」


 深雪さんは彩先輩の顔を見た後で、ニヤリとしか言い様の無い笑顔を浮かべた。


「ここで無理せんで、いつ無理するんや?」




 ヤバい・・・・・

 深雪さんがハンサム過ぎる・・・・・

 そう言えば、深雪さんの二つ名をもう1つ思い出した。


 アイアンミユキだ・・・・・

 最初聞いた時は今一ダサいと思ったけど、この瞬間は本当にカッコいいと思った。



 怖いという気持ちが引いて行った・・・・・





お読み頂き誠に有難う御座います m(_ _)m


 前話が思ったよりも進まなかったので、予定よりも早く第48話を公開しました。

 これで、やっと予定に追い付いた感じです。

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