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長編小説 4 『花纏月千(かてんげっち)』  作者: くさなぎそうし
第五章 『花纏月千(かてんげっち)』 阿紫花 志遠(あしばな しおん)編
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第五章 『花纏月千』 PART1

  1.

 

 花びらは天空を舞い、月の光は地上を照らす。


 花天月地かてんげっち、この言葉はどちらも存在するだけで美しいとされる代名詞だ。だが本質的には対極に存在するものでもある。


 一瞬の命しか持たないが無限に咲き続ける花。


永遠の光を放つが夜の闇の中でしか輝けない月。


 どちらも同じ世界に存在するものだけど、天と地に分けられる程、正反対の意味を持っている。


 昔から日本人は花と月を愛でてきた。それは昔の諺の多さにも比例している。


 花鳥風月。月に叢雲、花に風。花鳥諷詠。風花雪月。


 これらは全て自然を愛するがために出来た形容句だ。花天月地という言葉もそのうちの一つにあたる。


 しかし今の僕はこの言葉を聞くと必ず違和感を覚えてしまう。


 なぜなら花は地上で咲き、月は天にあるものだからだ。花びらは天に舞うけれど花自体は地上に住んでいるし、月の光は地上を照らすけど月自体は天にある。


 『逆』の方がしっくりきてしまうのだ。


 時として、言葉には逆に来る方が適応する場合がある。


 それはこれから始まる物語においても、いえるのかもしれない――。

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