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試作
理篇が通う高校は、家から自転車や電車などの交通手段を駆使して一時間強で着くぐらいの距離にある。
一分一秒でも学校に居たくない理篇にとってはいかにギリギリの時刻で教室に滑り込めるかが重要な鍵となっていた。
そんな彼が計算し、独自に編み出した時間通りの電車に今乗っている。
地方ローカル線。なんてのが型にはまっているこの電車は需要量が低く、朝のこの時間帯には大体チャラい格好をした同高校生しかいないのである。
しかし今日は違った。
理篇が異変に気付いた時にはもう遅かった。
そういえば本日は全公立高校一斉入学式。
やってしまった、と理篇はつくづく思う。
ああ、ついてないな、と。