7 制裁
前回に引き続きのやや重い内容です。描写も少し激しいのでご注意ください。
***
俺はレイプされた女の名前を聞くのを忘れたことに気付いた。
しかし聞いたところで答えないだろう。
俺は男が逃げたと思われる方へ走ってきた。どこまでも単調な道が続く。路地もない。海と煉瓦の壁に覆われた道だ。
あの女の居た場所は煉瓦の一部分がくり抜かれていた。そこから先はこの単調な道が続きそして行きつく先は・・。
行き止まりだ。
行き止まりの壁にはこう落書きが書いてある。
「ここは天国。後戻りはできない。」
他にも落書きが色々書いてある。ゲイのクラブのような怪しい広告。電話番号もあった。
俺はさり気なく写真を撮った。その他色々と一種のアートのようにも見える。
もしかしたらアーティストの作品なのかもしれないか・・・芸術の国だから。
それにしても、このコースは一人でトレーニングするには危険なコースだ。
俺はこのコースを走ってみて改めて分かった。
もしあの女がこのコースをトレーニングしていたのなら一人ではないはずだ。
そして今日もその相手と待ち合わせをしていたなら、ここに来る理由も分かる。
それにあの女の居た一角だけは煉瓦の壁がくり抜かれていた。
車が一台止められそうなスペースだ。いつもはそこに車を停めて待ち合わせをしていたかもしれない。
相手は男か女か?
あの女はスカートを履いていた。白いブラウスとストール。
相手が女の場合はこんなところで待ち合わせはしない。待っている間に襲われるかもしれない。
となると、待っていても安心な相手は男ということになる。
男だとしたら・・どんな男か?その男が襲ったのか?襲う必要はないだろう。
それとも、もしかしたら普通に会えない人物かもしれない。
なんであれ、もう一人いた線はある。
その一人と犯人は同一人物ではない。犯人とのつながりがあるかどうかは別として。
あの女が苦しんでいるときその相手は見ていたのかもしれない。
このシチュエーションを意図的に作り出したヤツがいた可能性は高い。
高見の見物と言う言葉がある。
真犯人つまり、このシチュエーションを意図的に作った人物がいたならこの現場を見逃しはしない。
一部始終を見ていた場所があるはずだ。
俺はどこまでやるか・・・。あの女は自分をレイプしたヤツを殺して欲しい・・そう言っていた。
それなら、その真犯人を殺る必要はない。しかし、そのレイプしたヤツが死んだとしてもその真犯人は
また他の男を使いこの状況を楽しむかもしれない。
俺はどこまでやるか。事の真意をハッキリ見たいが俺も時間があまりない。
今俺は何をやるべきか。
今の俺のやるべきはただ一つ。例の男を殺る。それだけだ。
しかしこのコース。単調過ぎる・・。
初心者向きかもしれない。平坦でストレートの道。
なんにせよ、上手く走りぬけたとしても行き止まりだ。
万が一この辺に女が逃げたとしても、男の手にかかるというわけか・・。
一種のワナみたいなもんだ。
しかし、もし相手がいなかったとすると・・。女は気晴らしにこの辺に来ただけかもしれない。
そういう可能性もある。俺はあの女に詳しく状況を聞かなかったことを後悔した。
仮に一緒に行く相手がいなかった・・・となると。犯人はどうやってあの女がここに来ることが分かったのか?
この場所は人通りが少ない。犯人はどうやってここで女を襲おうと思ったのか。
ターゲットがここに来ることを予めわかっていないでもない限り時間を無駄に過ごすだけだ・・。
俺はもう一度注意深く辺りを見回した。行き止まりだったと思われた煉瓦の壁に細い隙間があった。
人が一人通れるスペースだ。こんなところに・・・。俺はこの細い路地を歩くことにした。
風が吹いている。船の上で感じた風とは違いどこか寂しく冷たい。
俺は、少しゾクッとした。この感覚は初めてだ。
こんなところ誰も通らないだろう。細い道にはゴミがたくさん落ちていた。
なぜゴミがあるのか。それは人が来たからだ。何等かの理由でここに誰かが来ている。
変なにおいがする。ここはヤバイ。本能で分かる。それでもあの女の苦痛に比べれば大したことではないだろう。
塀があり隣は廃工場のような建物がある。
なんとも風情があるな・・。ここで何等かの集まりがあったはずだ・・例のクラブなのか?それとも・・・
もしくは・・。誰かを嵌める。
あの船からの距離・・絶妙ではないか・・。
俺を嵌めるためにあの女はレイプ被害者を装ったとも考えられる。
しかしもし俺を嵌めるのなら、あの場所で俺に何等かの行動をとるだろう。
俺がどういう人間というのを分かってあの男を殺させるのであれば今回の芝居は成功だったかもしれない。
それとも俺に同情をしてもらい何等かの理由があるとか。
もし俺に同情をさせようとするのならもっと俺に自分の情報を話すはずだ。
そして俺を嵌めるならそれはプロだ。俺を知っている人間・・となると範囲は意外に狭いかもしれない。
俺は苦笑いした。俺を嵌めるのにこんな方法はしないはずだ。
こんな・・・。
現時点でのあの女は白だ。どっちにしろ、レイプのしやすい場所かもしれない。
その特徴の男が犯人にしろないにしろ、あの場所でああいう事件はあるだろう。
女は本当に怯えていた。あれがもし演技だとしたらそれはアカデミー女優級の演技力だろう・・。
今はあの女を信じよう・・。次に犯行理由だ。誰でも良かったのか?
誰でもいいわけはないだろう・・どんな犯罪でも必ず理由がある。
襲う相手にしてもそれなりのリスクを承知でやるのだから。
しばらく歩くと小さな店があった。店内には明かりが灯っている。
カフェなのか・・怪しい店なのか分からない。ともかく店のように見える。小さい文字で売出し中と書いてある。
この物件を売るのか、何を売るのかは分からない。
あの付近に車がなかったということは、犯人はここに立ち寄ったかもしれない。
この店を境に道が少しずつ拓けている。そして車が一台停まっている。辺りは建物も何もない。古びたドラム缶があり、燃えカスのような黒い物が落ちている。あたりは雑草が生えており、本当にここがフランスなのか忘れてしまうくらい寂れている。樹木はあるがやせ細っている。その他屋根のない建物があった場所が跡を残している。
洋服のちぎれた破片、クツ、長靴は片方・・とにかく燃えないゴミが転々としている。
ここで人を殺したところで恐らく目撃者はいないだろう・・・浮浪者が一人くらいいるかもしれないが。
そうして証拠をあの古びたドラム缶で焼き、遺体をどこかに遺棄する。
この区間に一体くらいあってもおかしくない・・そんな雰囲気の場所だ。
もし俺が犯人ならどうするか。もし・・。
俺なら闇雲に狙わない。好みの女をどこで探すか。ネットはアテにならない。
やはり、どこかで観察する。どこで?
俺はカフェの建物を見た。カフェは小さい。その隣の廃工場は大きい。
あの道は廃工場から見下ろせる場所があったはずだ。あの場所がもし通れるのなら物色も可能だ。
廃工場の中に入ってみた。廃工場は水たまりがあり、変なニオイがする。しばらく行くと階段があった。
階段を俺は上っていく。階段は3Fまであった。そこから上は階段が壊れかけている。
俺は3Fまで行き、そこから窓のある方へ行ってみた。
窓からは何が見えるだろう。
ここからもし、あの道が見えるとしたなら、ここでトレーニングする女を見ることができる。
俺は窓の近くに歩いて行った。窓の外を見た。窓からはあの道が見えた。窓付近は広くなっていて
あの道をほとんどみえる広さだった。他は老朽化していると言うのに、この窓付近の床部分は頑丈だった。
犯人はここで女を観察するために補強をしたのかもしれない。まさか・・考え過ぎだろうか。
しかし・・俺なら、この通りをここで見る。そして女を物色するだろう。
トレーニングする時間帯、曜日をチェックする。確実に狩るために綿密に計算する。
当日は何をするだろうか・・舞台設定はできている。
逆の道から車で来て、このカフェ付近に車を停める。そして、その時間帯にあの狭い道から出て待ち伏せをする。
待ち伏せの場所はあの女の倒れていた、車庫のような場所だ。そこで待ち伏せをする。
女が来たら予定行動をとり、そして犯行後、行き止まりの所まで走り狭い路地を歩く。
女はダメージが強くとても走って追いかけては来れない。もし来たとしても素早く脇道に逸れれば分からない。
そして留めのあの行き止まりの落書きだ。それで衝撃を受けるだろう。立ち上がれないほどの。
そして満ち足りた後あの小さな店でリラックスする。恐らく写真のコレクションを持っているはずだ。
自分の記録を取っている。これが初めての犯行ではない。何人も・・・。
最初は加減が分からず一人くらいは殺している。この周囲にその遺体がある。
この説が正しければ、犯人はあの小さな店にいるはずだ。
今いなくても、一度は行っている。
俺は革の手袋をはめた。俺は廃工場を急ぎ足で出て小さな店に来た。なんの店なのかわからない・・。
こんなところで営業して客は来るのか疑問に思った。この場所・・特定の人物が利用する特別な場所だろう。
いささか風俗のような臭いのする場所だな。俺は吸い込まれるように中に入った。
店内は薄暗くお客は一人いた。カウンターがあり、窓際にはテーブルが3つあった。
窓際に小太りで頭が禿げあがった男がいた。暗くて顔は見にくい。
カウンターの中に小さな男が下を向いて立っていた。俺に何も声をかけない。
ややしばらくして小男が見た・・いや見ていない・・目は瞑っていた。顔を向けたのだ。
小男は目が見えないようだった。小男は店員なのか・・。
俺は禿げあがった頭の男の方を見た。男の左頬には黒子らしきものがあった。ビンゴかもしれない。
特徴が一致した。俺はその男の近くの席に座った。
先ほどの小男がカウンター越しに低い声で言った。
「ご注文は・・」
この場合・・カフェということでいいのか・・。俺は恐る恐る注文をした。
そしてこの小男がマスターなのか。
「コーヒを一つ・・」
小男は分かったともなにも返事をしないで、準備を始めた。
静かな店だ・・。恐らく客は1日に一人くらいだろうか。
近くの禿げあがった頭の男がこっちをジロジロ見ていた。俺も男の顔を見た。
男はニヤリと笑い、俺の席に来た。俺はゾクッとした。本能で分かる・・。コイツだ・・。だが間違いかもしれない。
「なぁ・・アンタ・・・どうしてこんなところに来たの?」
「通りすがりですよ・・」
「ここはね・・看板も出していない変わった店なんだよ・・どうしてここがわかった」
「トレーニングする道を探していたもんでね。できたら休憩できるような場所も探そうと思ってね・・
そういうあんたは?」
俺はこの男からまさか話しかけてくるとは思っていなかったので驚いた。
「トレーニングねぇ・・あの横の道は行き止まりでしょ。普通はそこで折り返すよ・・よくここが分かったね。
ふふふ・・アンタも、もしかして?・・フフフッまぁ・・いいや・・。
俺はね・・このあたりがお気に入りの場所なんだよ・・。静かで・・うるさい観光客の来ない場所で気に入っていたんだ」
うるさい観光客か・・。人気の観光スポットならそういう悩みもあるかもしれない。しかしこの区域は・・。
「・・悪いね・・アンタの縄張りに入って」
「いや・・いいよ・・。アンタ・・どこかで会ったことないかな・・何回も会っている気がするんだ・・なんでだろうな不思議だ」
「・・・俺も・・アンタ・・他の人間とは違うものを感じるよ・・」
俺はさっきから感じている奇妙な空気を感じた。
「へぇ・・どんな?・・俺はこの通りの冴えない中年だよ・・アンタみたいな男がこんな俺にどんな特別なモノを感じるんだ・・?」
「わからないか?・・感じてきたんだ・・・少し外に出ないか?」
「どこに・・何もないところだ・・。俺はトレーニングなんかしない・・。」
「天国に行きたくないか?」
「・フフフッ・・へえ・・アンタって見かけによらず・・フフフ・・これは面白い・・」
「行かないか・・マスター悪い・・コーヒー代ここに置いておく。」
小男は無口だ・・この手の人間が出入りするのかもしれない。黙って金を受け取って俺の顔を見なかった。
目が不自由なのかもしれない・・これは好都合だ。恐らくこの男もそれが気に入っているのだろう。詮索されなくて済む。
俺はドアを開けた。あの男は立ち上がった。モタモタ俺の後とついてくる。
「行ってもいいけどさ・・俺は・・ノーマルだよ・フフフッ」
「ノーマルでも色々あるだろ・・。さぁ・・」
「・・アンタ・・イイオトコだな・・俺はそっちの趣味ないけど、アンタなら考えてもいいよ・・フフフッ」
俺は寒気を感じながらも男に笑いかけた。そして男の肩に手を回した。
「・・聞いてもいいかな・・アンタの好きなタイプ・・」
「俺はさぁ・・フフフッ・・なぁ・・誰にも言わないか?」
「言わないよ・・俺も似たようなもんだ・・」
「・・俺はさぁ・・20代くらいの金髪の女が好きなんだよ・・。ムチムチしててさぁ・・走ると揺れるんだよね・・。
誰でも言いわけではないよ・・顔の好みもあるし・・なかなかいないんだよね。
」
「・・至って・・ノーマルじゃないの・・それは。普通の男なら・・特に中年になるにつれてその好みに走る」
「だろ・・ノーマルなんだよ・・俺は・・だけど知り合う機会は全くない・・仕事は外仕事が多いがね・・そんな若い女と話す機会もない。声もかけられないしね。」
「どうやって物色するの?そんな状況では出会いはないよね」
「このあたりはさ、若い女結構走りに来るんだ。モデル志望の女もいるしダイエットに真剣な女も来る。
最初は見ていたんだ。そしてある日一人だけ挨拶してきた女がいた。挨拶と言っても手を振るようななんの変哲もない
ものだった。でも俺は思った・・。俺を意識している女がいるということだ。」
「なるほど・・失礼だけどアンタは結婚しているの?」
「ああ。ガキもいる。普通のパパなんだよ」
「それじゃ・・相手を探さなくてもいいんじゃないか?」
「年上なんだよ・・。それにもう離婚したんでね・・色々あって・・・だからさ・・・」
「なるほどねぇ・・それで若い女を求めてしまうというのか。それは普通だろ・・」
「そうだろう・・。アンタ話が分かるね・・良い物見せてやるよ・・俺のコレクション」
男はスマートフォンを出し写真を見せようとした。
俺はその写真を見た。
20代の女達のレイプされた後写真撮影したものだった。
かなりの数だ。この男があの女をレイプした犯人でなくても、俺はコイツを殺す。予定外だが。
「フフフッかなりのもんだろ・・俺・・。みんな美人ばかりで・・。俺は幸せだったよ・・。
特に逃げる時の表情がたまらないんだ。すがるような目で見てくる・・。
ほら・・女が捨てないでってすがりつくような・・。モテる男にすがるようなあんな感じだよ。
アイツらはイヤがっているけどさ・・イザとなると・・その快楽に目覚めるんだ。
嫌がりながらもさ・・・。俺を求めてくるんだ・・・。非日常的な物を人間は欲しているんだ・・
それを・・理性と概念で自ら否定している・・俺は解放してやっているんだ・・あの女たちをね・・
日常を縛っている理性とか倫理とかいう地獄から天国にね」
この男なりの理論があるわけか・・。非日常的なもの・・俺は既に存在が非日常だからこの感覚が分からない。
つまりこの男は自ら危険を冒してまで女たちを性の解放に貢献していると自慢しているわけか。
男がスマートフォンの画像タップしていく。最近の写真が出てきた。
その中にあの女の写真もあった・・。体の一部一部がアップで写されている。
決まりだ・・。
俺は吐き気がした。虫唾が走るほど・・ムカムカする。この男の目に・・。
どうやって始末しようか・・。この男にふさわしい死に方・・。
俺は気分が高騰してきた・・。久しぶりに殺るか。この男なら躊躇いもなく殺れる。
この男に相応しい死に場所は・・俺は辺りを見回した・・。誰もいない・・・カフェからも離れている。
「ん・・?どうした・・何をキョロキョロしているんだ?」
男は俺の顔を覗きこんだ・・。俺は男の顔を見て笑った。
「・・アンタとしたくなってね・・俺、アンタみたいなタイプ好きなんだよ。・・ダメかな?」
俺は一生言えないセリフを言いきった。助演男優賞でも貰いたいくらいだ・・。
男は困惑した。顔が赤くなっている。こんな顔をすることもあるんだ。
「・・そんな急に言われても・・それにここは・・野外だし・・でも・・アンタが言うなら・・」
おいおいおいおい・・・普通は引くだろこれは・・アッサリOKとか。
俺は男にモテるのか・・複雑な気分だ。だが、今はこれを利用させてもらう・・。コイツを始末するのは今しかない。
次は警戒して狩る場所を変えるかもしれない。
俺は禿げた頭の男の顔を両手で挿みこんだ・・。
「ありがとう・・優しくするから・・・」
「・・・ドキドキしてきた・・あの女たちとは違う・・もっとドキドキする」
男は目を潤ませながら俺の顔を見つめている・・・。虫唾が走る・・。
いつもの俺ならヘッドロックをかけて即死させるが今回は我慢した。
こいつに相応しい死に方が必要だ。
後ろには壊れかかった物置があった。こいつに自分で死への扉を開けさせるんだ。
「そのドアを開けてくれないか・・そこで今すぐしたいんだ」
俺は上目使いに男に懇願した。
男は目を潤ませながら言った。
「いいよ・・でも・・俺は・・少し怖い」
「天国にいかないか・・俺がアンタが感じているのを分からないとでも思っているのか?」
「フフフッ・・・感じているよ・・。最初に会った時から感じていたよ・・。俺が女なら良かったのにってね・・」
男はドアを開けた。
物置には信じられないほどマネキンが置いてあった・・。俺はギョッとした。
こんなところに・・誰の趣味か・・洋服屋の物置なのか・・
その中心に小さなイスがあった。持ち主はここに座り何をしていたのか。
俺は・・・男をそのイスに座らせた・・男は目がうつろになり口は既に俺を求めている。
俺はこの男の吐き気のする唇にキスをした・・。
男の顔は女のような表情をした。
「アンタのせいで・・世界が変わりそう・・・」
男はハァハァ息遣いが荒くなっている・・・。男の体臭が鼻についた。
俺は男のベルトを外す・・。ズボンの上から男が興奮していることがわかった。
男は自分でズボンを下した。
後ろに回り上着を脱がせる・・。
耳を撫で・・首筋を撫でる・・。男は汗をかき下半身はブルブル興奮して震えている。
俺は・・男のベルトを持ち素早く男の首に巻きつけ後ろから締め上げた・・・。
「なぁ・・・自分でしてみろよ・・それからだ・・天国は」
「あああ・・こんなこと・・こんなところで・・恥ずかしい・・」
男は・・手を素早く動かした。
男は呂律が回らなくなりうめき声をだした・・。
「・・・いきそうか?」
男は首を振った・・・。
「アンタ・・を思い出し・・。アンタ・・あの看板の・・モデル・・?」
「そうだよ・・俺だよ・・。俺がじきじきにアンタを選んだ・・。嬉しくないか?」
「・・うれし・・い。」
俺はベルトを持ち上げ締め上げた。そして一瞬緩め気絶させた。首の動脈をチェックする。
俺は男が気絶している隙に落ちているロープの破片で両手を後ろで縛った。
そして両脚をイスの足に固定した。男は口からよだれを出している。
「簡単には死なせないよ・・あの女たちの苦痛をお前も味わうがいい。」
俺は行き止まりのあったゲイクラブの電話番号の写真を見て男の上着のスマートフォンを出し男の指で電話をした。
電話をすると相手が出た。
「・天使ちゃん・・ヤリたいの?」
「ヤられたい・・。大勢とね・・もう俺は準備している・・。
海沿いの廃工場近くの小屋にいる・・メチャクチャにしてほしい。」
「私たちの天使がそっちに向かいます。」
「・・は・・はやく・・。」
俺は通話を切った。
俺は男のスマートフォンから被害にあった女性の写真のうちあの女の写真を削除した。
俺は男の服の上着の内ポケットから運転免許証を見た・・。名前・・住所・・俺はスマホのカメラで写真を撮った。
そして俺は物置きに丁度あったフックにベルトをかけた。
ベルトについた俺の手袋の指紋をふき取りベルトをフックにかけ、男の頭をもう一度乗せて男にベルトを掴ませた。
状況からいって一人でお楽しみ中の災難といったところか。現場証拠から行ってレイプ犯ということは免れない。
ショッキングなニュースになるので紙面は小さな記事になるだろう。
そしてフランスらしいウィットに富んだ記者が因果応報などと記事を書くかもしれない。
この男の妻は離婚しておいて正解だったかもしれない。
辺りは夕暮れになりつつあり閉鎖的なこの空間はさらに異質な空間になった。
俺はぐるりと周りやや遠回りをして自分の車についた。
疲れた・・。性の解放か・・。そういえばしばらくしていない。というか俺はあの男よりも少ないような気がする。
俺は車のエンジンをかけた。俺の好きなタイプはなんだろうと考えた。
ないね・・特に・・。しいて言えば、小柄の女か。顔は・・美人に越したことはないが・・。
それも特にないな・・。性格・・・。キツくない女がいい。
総合してみると・・・。普通の女が俺のタイプということか。
となるとエルザは俺のタイプということにもなるのか。最初会った時は何も感じなかったというのに。
しかし・・・。死んだかもしれないからな・・。
それにしても、あの物置のマネキンには驚いた。あのマネキンの持ち主もやや異常な性癖をもっているかもしれない。
翌日近くの洋服屋がマネキンを運ぼうと物置を開けたところ死体があり大騒ぎとなった。
複数の男からのレイプと首にかけていたベルトが致命的となり窒息死。
警察は状況証拠を分析し、辺りの状況から事故死と判断した。強姦した犯人の特定はできず捜査は難航。
しかし、この男のスマートフォンからレイプ画像を分析、レイプ後遺体で発見された被害者についている体液と
この現場にあった体液がDNA鑑定の結果一致したため警察は被疑者死亡のため強姦容疑でこの男を書類送検した。
裏付け調査を行い近くの店にも問い合わせたが既に抵当に入っており営業再開はない。
抵当に入る以前は4年前までは通常営業していた。
その企業も業績不振のため倒産・負債整理のため事実上管理していない物件となった。
マネキンを出していた洋服屋も閉店のための準備に取り掛かろうとしていた。
この通りは以前から人気がなく犯罪が多いため誰も近寄らなくなっていた。
このニュース記事は大き目の記事になり取り上げられた。
その日のニュースが少なかったためこの男の顔写真も載った。
ニュース後の影響でこれまで人通りが少なかったこの通りは一時的な観光スポットとなった。
その中に金髪の若い女性も何人かいた。彼女達のほとんどは体を震わせて新聞を握りしめていた。
その中の一人が看板の前に立っていた。
女は看板に向かってウィンクした。
「ありがとう・・・ヤノさん」
表情は暗く体は震えていた。事件後から数ヶ月経過し、この女は以前よりも太っていた。
女は新聞を握りしめ、その場所を走リ去った。
看板は設置からわずか数ヶ月なのに海沿いのせいか腐食が激しくそのモデルの顔は分からなくなっていた。
次回の更新は少し遅くなります。




