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俺ん家でランチって?!前編

ソファでそのまま寝入ってしまったようで、目が覚めた時には体中がバキボキいってた。

頭も二日酔いでズキズキしている。


それでなんかちょっと空気が焦げ臭い・・・?


「ぎゃっ?!」


唐突に悲鳴が聞こえた。


(・・・ぎゃっ?・・・誰かいるのか?)


一人暮らしで時々兄貴が来るぐらいだから、その兄貴かと思ったが、それにしては声が高い。


キッチンからのようで、とりあえず覗いてみることにした。

万が一の時のために手近にあった突っ張り棒で武装する。

いや、別に武器とかなくても俺は強いけど。なんとなく。


でもキッチンを覗いてみて拍子抜けした。


・・・なんでいるんだよ弓弦。




「・・・おい」

「っはい?!あ、瀬名さん!おはようございます!」

「・・・おはよう?ってか、お前なんでいるんだ?」

「あれ?覚えてらっしゃらないんですか?」


首をかしげて不思議そうに言う弓弦。


「・・・ごめん。何にも覚えてねぇわ」


なぜか謝ってしまった。え?でも俺なんか悪いことしたか?


「昨日、電話で瀬名さんのお家を教えてくださいって言ったんですが、瀬名さんの反応がどこかおかしくて・・・。心配になって、ユージさんに相談して来ちゃいました、てへ」


人ん家に勝手に入っておいて、てへ、で済ます弓弦に俺はため息を禁じ得なかった。

まー、心配してくれたってのは有難いことなんだろうけどさ。


「来ちゃいましたって、お前それ二回目・・・。鍵とかどーしたんだ」

「えっと・・・。それもユージさんから・・・」

「教えたのか、アイツ・・・」


俺は玄関ドア横の植木鉢の下にスペアキーを隠している。


「あの!ユージさんは悪くありません私が無理に頼んだから」

「いや、別にいい。で?ここで何してんの?」

「朝ごはんでも作ろうかと、思っていたんですが・・・」

「朝飯?」


キッチンの惨状からはそうは思えなかった。

何かしらのテロ行為が行われていたかのような状況だ。


「もしかして、全然料理したことない?」

「あ、の。・・・はい」

「この黒焦げで異臭を放ってるのは?」

「卵焼き、のつもりでした・・・」

「火傷はしてねぇな?」

「・・・っはい。大丈夫です。ごめんなさいお台所汚してしまって」

「仕方ねーよ。気持ちだけ受け取っとく。・・・この泡だらけな物体はなんだ?」


シンクの中に泡にまみれた白い物体がザルに入っているのが見えた。


「あ。それは今洗っていたお米です。でもなかなか泡が落ちなくって」


米を洗うと泡なんか出たか・・・?

でも一つだけ可能性が思い浮かんで、俺は恐る恐る尋ねる。


「え。もしかして食器用洗剤とか使った・・・?」

「洗うってそういうことですよね?」


・・・予想が当たっちまった。


しかも弓弦はあっけらかんと聞き返したので、俺は焦って訂正する。


「いやいやいや!口に入れるもん洗剤で洗ったらダメだ!!水洗いでいい。とぎ汁が薄い白っぽくなるまでで。・・・聞いたことあるけど、マジでこんなことする奴がいるとは思わなかったぜ」


二日酔いとも相まって、頭痛がした。


「う・・・。ごめんなさいぃぃ」


弓弦は半泣きだ。

泣いている弓弦に怒ったりとか、追い討ちかけるみたいなことはできなかった。

代わりに慰める。・・・これも惚れた弱み、か・・・?


「慣れないことするとそーなるよな。でも、そんなに俺、昨日おかしかったか?」

「おかしいっていうか、どことなくぼんやり上の空って感じで・・・元気無さそうだなと思ったので・・・。でもごめんなさい。ご迷惑かけてばっかで・・・来なかったほうが良かったですね・・・」

「メーワクは・・・まぁかけられてるから否定はしねぇけど・・・でも気にしてくれたんだろ?ありがとう。悪かったな。昨日はちょっと、・・・嫌な日だったんだよ」


ついでだから一緒に飯でも食うか?と誘ってみる。


すると、さっきまで半泣きだったのが嘘のように目をキラキラさせて弓弦は頷いた。



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