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Arts hunter   作者: kiruhi
少年編ー序章ー
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第八話 火の街ロールライト 〜五〜

「ルーク!! おいっルーク、しっかりしろ!!」


 アードはぐったりとし全く動く気配のなかったルークを抱きかかえながら、何度も何度もその名を呼んでいたのである。

「マーシャル! どう言う事だ? 動かないぞ!」

 慌てているアードの姿を見ながら、セルビアとマーシャル顔を見合わせながらクスクスと手に口を当てながら笑っていたのであった。

「おい!!!」

「アードのこんな姿を見られるなんて、(わたくし)思っても見なかったわ」

「だよねぇ〜」


 呑気な二人の会話を聞き、アードはキィッと鋭く睨みつけるのである。

 なぜ、アードがこの坊やに執着しているか、マーシャルにはわからなかった。

 だが、大事にしたい。と言う思いはアードの姿を見て理解する事は出来、それはそれでまた大変珍しい光景だなと思っていたのである。

 これ以上あまり冗談の通じないアードをからかうのは、やめておこうと結論を出したマーシャルはルークの額に手を当て【月光のアーツ】を発動させて回復させていくのであった。


「どうだ、マーシャル?」

「……かなり衰弱しているようですが、大丈夫だと思うわ」

「そうかっ……」

「良かったね、アードちゃん!」

「あぁ………」

 ホッとしながらもアードは、ルークの頭を優しく撫でていたのである。

 その光景を目の当たりにしたセルビアとマーシャルは目を丸くしながら絶句していた。

 久しぶりに再開する友人アード。

 彼はクールで口数の少ない人物であった。


 なのに今、目の前にいる人物は自分たちが知っている人物と全く異なっていたのである。

 本当にアードなのか? と疑ってしまいそうだった。


 マーシャルは暫く互いが別々な道を歩み、その過程においてお互い成長する事が出来たのだな。

 と結論を出し、ルークとアードの姿を暖かく見守っていたのであった。

 だが、諦めきれずにいたセイントは再び『戒めの剣』を手に取り、背後からアードごとルークを突き刺そうと振りかぶってくる。


「やめなさい、セイント・イーザス。これ以上やるというのなら、(わたくし)は貴方を捕らえますよ」


 マーシャルの冷たい言葉にセイントは剣を震わせながらも、諦めたのか『戒めの剣』をゆっくりと手放し崩れ落ち泣きながら、セイントはマーシャルに訴えてきたのである。

「ですが! 支部長、総司令官!!! こいつは……こいつはぁ!! ルーク・ゼナガイアは、アルディスさんを!!!!」

 セルビアは知っていた。

 アルディスが弟のようにセイントを可愛がり、セイントもまたアルディスを兄のように慕っていた事を……

 だが、だからと言ってルークを『戒めの剣』で殺す訳にはいかないのである。

「セイントちゃんの気持ちもわかるわ。でも、ルークちゃんを殺したとしてもアルディスちゃんは帰ってこないし、喜びもしないと思いますわ」

「うっうぅぅぅぅぅう…………」


 静寂の中、セイントの鳴き声だけが響き渡っていた


 コツンコツン……


 ゆっくりと誰かが階段を降りてくる足音が聞こえてきたのである。



「その通りだな、流石支部長……よくわかっている」



 聞き慣れた声だった。

 死んだはずの、銀色の鎧を着た青年がそこに立っていたのであった。

 その場にいた者全てが、一同驚き声をあげるのである。


「アルディス!!!!」


 と……

 当の本人は、怪我一つなく何事もなかったかのように状況判断を降していく。

「まぁ詳しい話は、支部長室に移動してからにしますか。ルークもきちんと医者に診察してもらいましょう」

 アルディスはテキパキと行動し地下牢の傷ついた場所は修復され、鉄格子も修理されるのであった。




 ◆◇◆◇◆



 支部長室に移動した、当事者たちはアルディスに何があったのか説明して欲しいことを告げていたのである。

「あの時、俺は深手を追い医療班テントに運び込まれました。ですが、既に俺の意識はありませんでした。俺が生き残る事が出来たのは、ルークの【白のアーツ】のお陰ですね……そして、俺がテントで気がついた時にはルークは【黒のアーツ】の波動に飲み込まれ……まぁ爆発寸前でした………ね」


「その時、俺はアードの言葉を思い出したのです」

「俺の?」

 アルディスは頷き、話しを続けるのであった。

「『尻拭いはきちんとしろよ』と言ったアードの言葉を俺は思い出したんです。だから咄嗟に言葉が出たんでしょうね。【白のアーツ】と……そして、黒い波動が俺達を襲いかかる直前。俺たちは白の波動に包み込まれました」


 ふぅとため息をつき、一呼吸置いたアルディスは再び口を開きはじめる。


「気がつけばロールライトから1日ぐらい歩いた場所。海岸に飛ばされていました」

「という事は?」

「あぁ、その通りだよアード。ルークは誰一人殺しちゃいない。 俺の言葉は、届いていた。あの瞬間ルークは【白のアーツ】を発動し俺たちを、安全な場所に飛ばしやがった」


「そして……多分アーツバスターも別な安全な場所に飛ばしたでしょうね。無意識的に………」


 アルディスの説明にマーシャルは顎に手を当て考えていた。

 そして、ポンっとわかったかのように、閃き言葉にしていくのである。

「アルディス、ひょっとして(わたくし)達が倒したアーツバスターってひょっとして……」

「多分ルークが、飛ばしたアーツバスターでしょうね」

「漸く納得出来ましたわ! 戦闘訓練で遠征に出向いたら突然アーツバスターが目の前に現れたのよ! 何事かと思いながら撃退はしましたけど………」



「そして、俺達は急いでロールライトに戻り今に至ります」

「……わかりましたわ。アルディスちゃんよく無事に生きていてくれました。(わたくし)は……(わたくし)は……」


 セルビアは涙を堪えるのに精一杯だった。


 セルビアの喜ぶ顔に注目されている中、マーシャルは別な事を考え込んでいたのである。


 “アーツハンター協会の幹部達はまもなく到着する事でしょう。そして、話し合わられるのは当然【黒と白のアーツ】を持つ少年のこれからの事について……たまたま、この場にいる(わたくし)も参加をその話し合いに出席せねばならないようね……”


「ここに来たのも何かの縁なのかしら………」

 誰にも聞こえないような小さな声でマーシャルは呟いていた。


「所でアード、お医者さんはなんと言っていたのですか?」

「あぁ、疲労が激しいが大丈夫だろう。っと言ってたぞ」


 マーシャルはその言葉を聞き安堵していた。

 そして、ルークの寝顔を見ながらふとっある人物を思い浮かべるのであった。


「ねぇこの子誰かに似ているわよね、誰だっけ………」

 うーん、うーんとマーシャルは考え込みアードは、何事もなかったかのように答えるのであった。

「あれ? 言っていませんでしたっけ? ルークは、アルベルト・ゼナガイアの息子ですよ」


 マーシャル、セルビア、アルディスは同時に驚いていた。

「えっ? えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


「アードちゃんなんでそれを早く教えてくれなかったの?」

 と驚くセルビア……

「アルベルトさんの息子なのですか!!」

 と感心を示すマーシャル……

「!!!」

 なにも言えず絶句するアルディス……


 こうして激動の一日は終わりを告げるのであった。




 ◆◇◆◇◆



 次の日、アーツハンター協会の幹部六人のうち三人がロールライトに到着しアーツハンターギルドの支部長室へと入って行くのであった。

 マーシャルも幹部の一人として参加する事にしたのである。


 戦闘隊総司令官マーシャル・フォン・フライム

 政治専門館長スカンディス・カール

 訓練施設長シグルド・ソグン

 アーツハンター専門裁判長ヒルヤン・ゴッド

 この四名である。


「それでは、セルビア。説明をお願いします」

「はい……」

 セルビアの緊張は最大限まで高まっていた。

 それもそのはず、アーツハンターギルドに幹部たち四人が勢揃いする事など滅多にない事である。

 たまにふらりとマーシャルが顔見せに来たりするぐらい、平和な街であった。

 緊張はしていたが、マーシャルがいる事でセルビアは少しだけ気が楽になっていた。



「ーーーーと言う事です」

 セルビアは今までの事全て包み隠さず幹部たちに報告したのであった。

 報告を受けた幹部たちはセルビアの話を聞き終わると、しばらく沈黙を続けたのである。


 先に沈黙を破ったのはヒルヤン・ゴッドであった。

「確かにマーシャル殿が、運良くこの街に立ち寄ってくれて助かりましたな。貴重な【黒と白のアーツ】を失う所でした」

 ヒルヤンの言葉に反論するかのように机をバンッ! と叩いたのはスカンディス・カールである。

「しかし、制御が出来ないとなりますとこの先……危険ですぞ」

 スカルディスの発言も最もであった。

 この先ルークがアーツを使いこなせるのか……

 また今回のような暴走がちょくちょく起こるようであれば、街の人々は平和に暮らすのは不可能である。

 幹部たちの一番の懸念はそこにあった。


「セルビア、成長するにつれ制御出来そうですか?」

「今すぐは無理かもしれませんが、将来的には………きっと」

「セルビア、随分とあいまいな言い方だな。では制御できない今はどうするつもりだ? ここに住む者たちに、いつ暴走し消されてしまうかわからない日々を送れと言うのか? 納得いかない者も必ず出てくるぞ」

 セルビアの発言にシグルド・ソグンは厳しく追求してきたのであった。

「……ですので、異例ではありますが早急に訓練施設で生活をしてもらい、その中でアーツの制御を身につけて行くのがいいかと思うのですが………」

「本来は、十二歳で入学、十八歳で卒業だ」


「シグルド殿、戦闘隊総司令官から意見を言わせて頂きますが、【黒と白のアーツ】は貴重ですわ。将来我々の為にも早めに訓練施設での生活は必要かと思います」

 シグルドはしばらく考え込み……

「十歳からだ。それ以上は難しい」

「しかし、シグルド殿。それでは十歳になるまでどうしろと?」

「そこなのだよ、ヒルヤン殿」


「やはり十歳までは、監禁・拘束が一番安全なのでは?」


 そう言ってきたのは、スカンディスであった。


「そうだな」

「その方がいいだろうな」

 と言う声が幹部たち三人の中で議論が集約されていく中、マーシャルは反論の楔を撃つのである。


「皆さんはご存知ないかと思いますがルーク・ゼナガイア……彼はアルベルト・ゼナガイアの息子ですわよ」

 マーシャルがアルベルトの名前をだした途端、三人の幹部たちは表情を凍らせていく。


「はっきり申し上げますが(わたくし)は彼の息子にそのような事をしたくありません。監禁、拘束と結論を出すぐらいなら、(わたくし)は一思いに楽にいたします」

「!!!」

「その後の罪も全て(わたくし)が取りますわ」


「うむむむむむっ………」

 マーシャルの発言に幹部たちは、再び考えを巡らせる羽目になったのであった。

「ですから、監禁・拘束の件はやめて別な方法を取りましょう」

「例えばどのような?」

「それは、(わたくし)たち幹部が考えて導き出さねばならない事ですわ」

「うむ……そうだな」

 ヒルヤンはマーシャルの言葉に納得し、セルビアの方に顔を向け話し出すのであった。


「セルビア・フォン・タルト」

「はっ!」

「我々はこの会議が終わり次第すぐにここを立ちます。幸いここには幹部が四人います」

「はい」

「貴方もご存知かと思いますが、幹部4人で出した結論はどんな事があっても覆る事のない決定事項です。残りの2人が意義を唱えたとしても覆る事はありません。これもご存知ですね」

「はい!」

「今から、話し合い結論を出したいと思います。あなたは別室で待機していて下さい」

「はっ! わかりました! 失礼します」

 去り行くセルビアの姿をマーシャルは見つめながら『私に任せて!』とサインを送るのであった。



 支部長室から出てきたセルビアは、極度の緊張からの解放によって腰が抜けたかのようにその場で倒れこみそうになったのだが、側にいたアルディスが咄嗟にその身を支えたのである。

 支部長室の中で、どのような話し合いが行わられたのかわからないアードは、セルビアを見つめ話しかけて来たのであった。

「どうだった?」

「これから、幹部四人で話し合うそうですぅ〜」

「お疲れ様、セルビア。ひとまず今はゆっくりと休んで下さい」

「ありがとおぉ〜アルディスちゃん……」




 待つ事三時間……

 幹部の四人は支部長室から出てきたのである。

 セルビア、アルディス、アードが幹部四人を見つめる中スカンディス・カールは、セルビアに一通の封筒を渡して来るのであった。

「ルーク・ゼナガイアが目覚め落ち着いた時に、支部長であるセルビアがこの封筒を開け読み上げる事。それまでは決して開けない事、いいですね?」

「はっ! 心得ました」

「それでは、我々は帰ります。マーシャル殿はどうするのですか?」

「私も、一緒に帰りますわ」

「ではっ」

 と言い幹部たちは、その日のうちにロールライトを後にしたのであった。




 ◆◇◆◇◆



 どうやら俺は一週間眠り続けていたようだ。

 目が覚めた時には、まだ視界がぼやけてはっきりと物を認識する事が出来なかった。

 何度か目をこするのだが、しっかりと物が見える事はなかった。

「おっルーク目覚めたか!?」

 アードの声が聞こえてきたのだが、俺にはアードの姿はぼやけてしか見えていなかった。

「ルーク、どうした?」

「アードさん? 俺………アードさんの姿がぼやけて見えます……」

「!!!」


 俺の言葉を聞いたアードは慌てて出て行き、セルビアに医者を連れてきてもらうように頼んでいるのが遠くの方で聞こえていた。

 セルビアの要請でしばらくしてから医者は現れ、視界がぼやけて見える事を伝えたのである。

 俺の診察が終わったのを見計らってアードは医者に聞いていた。

「それで、ルークは?」

「……まだなんとも言えません。ルーク君の話しでは、気絶する前にはもう視界がぼやけて見えていたと話がありました。多分一時的なものかと思いますが…………」

 医者は言葉を濁し、はっきりとは言わなかった。

 だが、、アルディスは確信をつくように医者に質問したのである。

「一時的なものでないとしたら?」

「……失明します。」

「なっ!!」

 一同シーンと静まり返ってしまったのである。


「……『水の街ヴァル』にペリア・ヒーンという医者がいます。その方は確か【回復のアーツ】の【神アーツ】を持っていると聞きます。その方ならあるいは………」

「ペリア・ヒーンだな! わかった!」

 アード立ち上がり、俺の頭を撫で『必ず連れて来るからゆっくりと休んでいろ』と言い俺の前から、姿を消したのである。





 アードが『水の街ヴァル』に旅立つ為、大急ぎで旅の準備をしているとセイントが申し訳なさそうにアードの部屋を訪れたのであった。

「あの…………」

 アードは、セイントの姿をチラッと見てだけで目線を逸らし黙々と準備の続きを行っている。

「アードさん! 俺も一緒に連れて行って下さい!!」

「なっ……なんだと!?」

「俺のせいなんです。………俺があんな事をしなければ………だから!!」


 セルビアはセイントの処遇について明確な結論は出してはいなかった。

 アードは、セイントが自分の早とちりによって起こしてしまった事について、本人なりに責任を取ろうとしている。それだけは理解する事が出来た。

 だが、理解する事は出来てもそれでもアード自身はまだ許す事は出来ない。

 と言うのが本音ではあった。

 しかし、勝手について来られ怪我を負ったり、最悪死んでしまっては困ると思いアードは渋々セイントと共に旅立つ事を許したのであった。



 アードとセイントが旅立ってから更に一週間がたった。

 そんなある日、セルビアの元に一通の重要と書かれてある書類が届けられたのである。

「マッマーシャル……!?」

 その書類を確認した時、セルビアは唖然とし書類を床に落としてしまったのであった。


『ロールライトに赴いた幹部スカンディス・カール、シグルド・ソグン、ヒルヤン・ゴッド三名、アーツバスターに襲撃され安否不明。同日マーシャル・フォン・フライムの行方も不明になる」


「セルビア落ち着いて下さいよ。マーシャル殿ならきっとご無事です」

「アルディスちゃん、その証拠はどこにあるのですか?」

 セルビアは今にも飛び出しマーシャルの探索を開始したい思いを抑えるので精一杯であった。

 しかし、感情を抑え我慢しているようにしかアルディスには見えなかったのである。




 俺は、セルビアの家に世話になる事になった。

 毎日医者が俺の目の状態を確認し、包帯を巻きなにも言わずに帰って行く。

 そんな日々を送っていた。


「ルークちゃんの容体はどうですか?」

「はっきり申しますと、危険な状態です。まだ失明には至ってはいませんが、いつそれが………」

「そうですか………」

「セルビア様、ペリア・ヒーンはいつ到着するのですか?」

「それは………」


 セルビアと医者は30分程話し、家を後にしたのである。




 一方、アードとセイントには、会話と言う会話もなくただ黙々と旅をしていた。

 旅は順調で『水の街ヴァル』まで後半分以上過ぎた所だった。

 その日も遅くまで歩き通した二人は野宿の準備ををしていると、別な方向からアーツバスターの気配を察知したのであった。

 アードはセイントをここに残るように話し、気配を消しながら様子を見に行く事にしたのである。


「なっ!!」

 アーツバスターに襲撃されていたのは、幹部三人とマーシャルであった。

 アーツバスターによる凄まじい攻撃に幹部達は応戦一方だった。

 だが、アードの隙をついた行動によりなんとかアーツバスターを撃退する事に成功したのである。

 マーシャル達と合流したアードは、このまま別れるわけにも行かずセイントが待つ場所まで案内し、セイントは固まり、いつも緊張するのであった。

 そして、今からロールライトに戻るよりは『水の街ヴァル』に向かった方が早い。と結論を出し一緒に向かう事になったのであった。


 近場にあった村により場所を購入。

 幹部達を馬車に乗せた、アードとセイントは護衛しながら先へと進んで行くのである。

「すまんな、アード・フォン・ルフ」

「いっいえ、お気になさらず。ヒルヤン・ゴッド様。ただ不慣れな道なりの為、ご迷惑をおかけしてします」

「アード、出来ればもう少し急いで頂けます? シグルド・ソグンの傷、私の【月光のアーツ】では回復しきれませんわ」

「はっはい!」


 それから更に、一週間が経ち、アードたちは漸く『水の街ヴァル』に到着したのであった。




 『水の街ヴァル』にあるアーツハンターギルドでシグルドは、【回復のアーツ】を発動してもらい意識を取り戻していた。

 幹部たちと別れたアードとセイントは本来の目的であるペリア・ヒーンの事を聞き、その情報を手に入れる事が出来たのである。

 なんでも、ペリア・ヒーンはアーツハンターとしての仕事をしつつ、街の人達が傷ついた時には無償で回復をしているという人物。


 アードたちはペリアが来るのを、アーツハンターギルドで待つ事にしたのである。


 夜も更けアーツハンターギルドに来る者たちも少なくなった頃……

 金髪で腰まである長い髪、スラリとした体型杖を持ちアードの目の前に現れるのであった。

「貴方がアード・フォン・ルフ?」

「ペリア・ヒーンですか?」

「えぇ」

 アードは、ペリアに詳しい話を告げ急いでロールライトに来て欲しい事を伝えたのである。


「ここまで来るのにどれくらいかかりましたか?」

「えっと三週間ぐらいですね」

「そしてここから更に三週間かかる………」

 ペリアはブツブツと独り言をいいだした。

「このまま、三週間かけ着いたとしても手遅れです」

「つまり?」

 セイントは、恐る恐るベリアに聞いて見るのであった。

「私たちがついた頃には、その子は失明しています」

「!!!!」





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