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Arts hunter   作者: kiruhi
青年編 ー序章ー
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第六十六話 憂鬱な日々

 念願? のアーツハンターになってから、半年が経った。

 その間やった事と言えば、FランクとEランクの依頼を交互に達成させながらアーツハンターランクを上げていた。


 その殆どは簡単な採取系ばかりで期待感に溢れていただけに、物足りなさに正直ガッカリしてた。


 それでも我慢だな。と自分に言い聞かせながら今日もアーツハンターギルドに赴き、俺の出来そうな依頼を選ぶ。


『いやし草 10個納品。期日は明日まで、依頼人 道具屋』

『鉄の採取 15個納品。期日は明日まで、依頼人 防具屋』

 とまぁ……選ぶと言っても、いつも通りのラインナップしかなかった。


「何、そんなつまらなさそうな顔をしているの? ルーク坊」

 俺に話しかけてきたは、受付嬢のシュエだった。

「いや、魔物討伐とかやりたいな……と思って……」

 シュエはクスクスと笑っていた。

「速くランク上げる事ね」

 といつも通りの返答しかしてこなかった。

 確かにランクを上げれば、もっと魅力的な依頼があるのはわかっている。

 でも、今の状況は俺にとって苦痛以外何者でもなかった。

 それでも、ランクアップの為にも依頼を受ける事にしたのである。



 いやし草10個納品。それはいつもやっているやり慣れた依頼だった。

「これにします」

 カードと依頼書をシュエに渡すと、早速手続きをしその後は、笑顔で行ってらっしゃぁいと見送ってくれた。



 セルビアは支部長室で相変わらず書類確認に没頭し、アルディスも忙しそうだった。


 家でのセルビアは良き母だ。

 アーツハンター支部では見せない顔を俺に向けてくれる。それだけで満足してしまいそうだった。

 しかし、セルビア曰く。俺にもっと甘えてきて欲しいらしい……

 15歳……いやもうすぐ16歳になると言うのにいつまでも甘えているわけにはいかないだろ?

 自立しないと……

 一人暮らしをしたいと思った事もある。

 だが、それは秘書のパトレルに止められた。


「ルークおぼっちゃまの気持ち確かにわかります。ですが、もう暫く我が家にいて下さいませ」


 と言われてしまった。


 まぁ確かに帰ってきたばかりで、またすぐに一人暮らしをしたいと言うのも何の為にロールライトに帰ってきたのか疑問に思われてしまう。

 なので、依頼で稼いだ少額のお金をセルビアに渡したら、涙を流しながら拒否された。


「ルークちゃんのお小遣いにしなさい」


 俺としては、生活費として受け取って欲しかったのだが……

 これも、パトレルの助言を俺は求めた。

 生活費として受け取ってくれない以上それでも、俺はセルビアに何か形のある物を贈りたいと。

 するとパトレルは、セルビアが幼き頃から欲しいと思っている物を教えてくれた。

 それがまた結構いい値段で、そう簡単に買える値段ではなかった。

 最低ランクのFである以上いつ貯まるかは全くもって未知であったが、俺はお金を貯めセルビアにそれをプレゼントする事にした。

 パトレルに買いに行ってもらい驚かせようと企み、俺は毎日のように少額のお金を渡し続けていた。



 家では母の顔をしているセルビアも、アーツハンターギルドに行けば母から支部長の顔へと変わる。

 これは、アルディスに何度もケジメはつけろ。と言われ続けていたからだと思う。

 アルディスは俺には厳しかった。家でもそうだけど……

 ことわるごとにあれはこうすべきだったとか、こうしなければならない。と俺にきつくあたっていた。

 一緒に旅をしていた時は全く見せなかった一面に少々驚いてしまった。




「ふぅ、いやし草10枚見っけえ。後はこれを道具屋に持って行くと……」


 いやし草を集めながら考え事をしていたら、いつの間にか規定の枚数は集まった。


 今、俺は草原にいる。

 ロールライトより街道を南に歩くと、草原がありこの草原には草系が豊富に採取される為、毎日のように俺はここに赴いていた。

 手っ取り早く依頼を完了させるには、この草原は以外といいのだ。

 その結果、自然と色々な冒険者と出会う事が出来た。




「よぉルーク。今日もいやし草の採取か?」

 そう話しかけてきたのは、ハヴァ。

 彼は俺と同じFランクのアーツハンターで【炎のアーツ】使い手だ。

 年齢は、俺と同じ15歳。

 同い年という事もあり、ハヴァとはすぐに仲良く慣れた。

「うん、今ちょうど終わったところ。ハヴァは?」

「俺は、ウッド退治に来た」

「えっ!?」

 驚く俺にハヴァは自慢気にカード見せつけてきた。

 カードにはEランクと記載されていたのだ。

「あっあぁぁぁぁぁっ!? ハヴァ、ランクアップしたの!?」

「おうっ、ついさっきね。それでDランクの依頼を受けてきた」

「へぇ〜」

「ルークだって、もう少しだろ?」

「いや……俺は後、5.6回やらないとランクアップはしないかな〜」

「そうか……まぁ頑張れ! Eランクになったら一緒に依頼受けようぜ」

 俺の肩をポンっと叩きハヴァは嬉しそうに行ってしまった。


 “いいなぁ〜”


 と思いながら、俺はハヴァの背中を見ていた。

 そして、はぁ〜と深いため息をつきながらロールライトに戻り道具屋に向かう事にしたのであった。




 道具屋にいやし草を納品すると、受領印を押してもらう。

 それをアーツハンターギルドへと赴きシュエにカードと共に渡すと依頼は完了となる。

 これを後、5.6回繰り返さなければならないのだ……


「ルーク坊、ご苦労様。まだ昼過ぎだけどもう一つ依頼して行く?」

「う〜ん、どうするかな……」

 いい加減飽きてきた。というのが本音ではあった。

 だが飽きたとはいえやらなければ、ランクアップする事はない。


 “やるかな……”


 再び掲示板の方へと赴き見上げる……

 FランクやEランク依頼は、本当に地味な物ばかりだ。

 Dランク依頼は魔物討伐とか、魔物から出る戦利品の採取などある。

 実に羨ましい限りだ。


 だが、今日は少し違っていた。Eランク依頼の中に一つだけ変わった依頼があったのだ。

 それは、ダンジョンの中に入り鉱石を採取してくる簡単な物だった。

 鉱石を採取してくるだけならFランクである。

 だが、ダンジョンが絡んでくると必要ランクは上がってくる。

 本来ダンジョンなどは、魔物が多く消息する為危険度を考え殆どの依頼はDランクからである。

 それが俺にも出来るランクで出るのだ、これはやるしかないでしょ!?

 と思い手に取りシュエに渡す。


「この依頼をやるのね」

「はい」

 シュエはやはり見つけ出したか……とそんな顔をしていた。

 俺の予想通りこの依頼は本来Dランクの依頼だった。

 だが、依頼人が成功報酬を出し渋りEランク依頼となってしまったらしい。

 でも他のFランクアーツハンターに任せるより俺に任せた方が、安心出来るとシュエは言っていた。

「黒と白のアーツハンターがそう簡単に死ぬわけないわよね」

「……」

 決めつけられても困るが、まだ死にたくないし……

「頑張ります」

 と答えた俺は支部長室へと向かう事にした。



 これも本来なら、低ランクのアーツハンターが支部長室に行く事など言語道断な行動である。

 だが、ここにいる人たちは俺の事を良く知っていてくれる。

 だから行く事に何も不思議には思わず、当たり前のように俺は支部長室へと行く事が出来るのだ。


 コンコン……

 とドアを叩きながら支部長室へと入って行く。

 中央の机には支部長であるセルビアは書類整理に追われ、副支部長のアルディスは来客用の椅子に座りながら優雅にお茶を飲んでいた。


 いいのだろうか?? とも思ったが、セルビアやアルディスの仕事の事で俺が何か言えばすぐアルディスに、ああでもない、こうでもないとお説教タイムが始まってしまう。セルビアには悪いが、ここは敢えて触れないでおく事にした。


「おうっ、ルークどうした?」

「えっと……」


 俺はアルディスにこれから、依頼の為ダンジョンに行く事を告げた。

「あぁ、Eランク依頼で一軒だけダンジョンに赴く依頼があったな」

「はい」

「まぁ、気をつけて行け」

「はい」

 やはりアルディスは、素っ気ない。

 アーツハンターになった時、確かにアルディスは『部下と上司』と言ってはいたが、それでも少し寂しいなと思ってしまう。

「……あの」

「なんだ?」

「アルディスさんは……」

 と言った瞬間、ミニ竜巻が俺の顔面の横をすり抜け壁に激突。壁には渦がくっきりと残ってしまっていた。

「なんだって?」

「……副支部長、なんでもないです」

「そうか、ならばさっさと行け」

「はい……」

 言いたい事も言えずに支部長室を後にしようとすると、セルビアはさりげなく俺に手を振っていてくれた。

 それだけで、ここに立ち寄ってよかった。と単純ながらも思ってしまった。




 シュエに場所を再確認し、俺はロールライトを今度は西の街道を道なりに進む。

 15分程歩くと、傾斜のゆるやかな丘が見えてきた。

 丘の下には、洞窟の入り口があった。


 ここが今回の依頼でもあるダンジョンだ。この洞窟は鉄以外の鉱石が取れる事が有名で武器職人たちに人気のある場所の一つでもある。

 主に銀が大部分を占め、奥に行けば行くほど金やプラチナなどが取れるらしい。


 ダンジョンか……

 パラケラルララレ学校で合宿した日が懐かしいな……と思いながら俺は洞窟の中へと入って行くのであった。



 洞窟の中は、ゴツゴツとした岩で出来ていた。

 落盤しないのかな? と天井を見上げながら先へと進む。


 依頼の鉱石は、銀の塊。

 そして、大きさによって報酬額が変わってくるとの事だ。

 銀を探しながらキョロキョロと周りを見渡しながら魔物に注意を払う。

 シュエ曰く、銀は洞窟に入った最初の大広場で取れるから魔物に遭遇する事はない。

 だから、その先は変な好奇心を出さないで銀を採取したらすぐに戻るようにと念を押されていたのだが、銀がないのだ……

 先に進むしかなかった。


 ダンジョンで一番魔物に出会わず確率が高いのは曲がり角。

 死角から、ヒョコと魔物の攻撃が直撃して死亡。なんてザラにあるらしい。

 なので、警戒は緩めないで行く……


 案の定モールベアに遭遇した。

 モールベアは、身長は大体1mぐらいでモグラみたいな顔、クマ並みの力を持っている事からそう呼ばれている。

 ブンブンと片腕を回しながら俺に接近してきたので、黒のアーツを発動しながら片腕を受け止めモールベアを消し去る。

 次に出てきたのは、ひっかきモール。

 モールベアと同様にモグラの顔をして長い爪で俺を引っかき殺そうとしたので、遠慮なく消し去った。


 余裕だね。と思いながらも銀の鉱石を探す……

 中々目的の物がないのでどんどん奥へと進むと、いつの間にか行き止まりについてしまった。

 どうやらここは、この洞窟の一番奥のようだった。


「着いちゃった……」


 まぁ着いてしまったものはしょうがないので、広場の壁を歩きながら鉱石を探すが金やプラチナばかりで目的の銀はどこにもなかったのである。


「なんでないんだよっ!」


 独り言のように怒ると、突然俺の身体が宙を浮かせた。

「!?」

 地面に両足をつけたのと同時に中央付近に目をやると、そこには二足歩行で真っ赤なマント。色々な鉱石がマントからはみ出しながらも身を包まれている亀みたいな魔物が現れた。


「確か、こいつは……」


 タートルジェネラル、討伐ランクはA。


 本来なら、Fランクの者なら対時しただけで即死も言い所だ。

 でも俺には関係なかった。

 タートルジェネラルから放っする殺気はドランゴに比べれば赤子同然。

 俺には怖くもなんともなかった。


 タートルジェネラルは、両手を俺に向け両手から生やしてきた鉱石を投げつけてきた。

 おっこれは金だなとか、小さいけど銀だ! とか思いながら余裕でよけ続ける。

 よけた鉱石は壁に突き刺さって行く。


 “後で回収しなければ!”


 そんな事を考えながら、俺はタートルジェネラルに近づいていく。

 黒のアーツが触れる距離まで近ずくと、タートルジェネラルは大きな口を開け炎を吹き始めた。


「!?」


 一瞬驚いたが、黒のアーツを発動し炎を消し去る。そして思いっきり顔面を殴りつけた。

 殴りつけた場所からタートルジェネラルは消えて行く……

 そして影も形もなくなったのであった。


 なにか物足りなさを感じながら、俺は一番大きい銀の鉱石を探し出し洞窟を後にしたのであった。




 ◆◇◆◇◆



 洞窟から外に出ると既に夕暮れだった。

 取り敢えず依頼は完了しているので、そのまま真っ直ぐアーツハンターギルドへと向かい報告する事にした。

「……」

 シュエは俺の持ってきた銀の鉱石を見て目を丸くしていた。

「……ルーク坊」

「はい?」

「あなた奥まで行ったでしょ?」

 別に隠す必要もないと思って素直に俺は頷き、タートルジェネラルを倒した事も付け加えた。

 すると、ギルド内が一瞬静まり返ってしまった。


「兄ちゃん! 嘘は良くないな。Fランクのガキンチョがタートルジェネラルを倒せるはずがねぇ!」

 と俺に絡んできた男の声に皆、納得し『そうだよな……』との声が響き渡り静まり返ったギルド内は再び賑わい始めたのである。

 反論してもよかっのだが、アルディスに『ランクの高い者に対してそれなりの礼儀と態度を示せ』と言われている以上、反論しないでおいた。

 他の皆は信じなくともセルビアだけは、信じてくれる。俺にはそれだけで十分なのだ。


 依頼を達成した俺は、報酬を受け取りながらセルビアはもう既に家に帰っている事を聞きつけた。

 今日はアルディスのおかげで早く帰る事が出来たんだな。と思いながらアーツハンターギルドを後にしセルビアの待つ我が家との戻る事にしたのであった。






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