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Arts hunter   作者: kiruhi
少年編 ー火の街ロールライトー
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第六十三話 幹部重役会議 ②

 ガーゼベルトに着いた馬車は、真っ直ぐアーツハンター協会へと目指していた。


 アーツハンター協会に到着すると、スキンヘッドの男は俺を幹部大会議室へと連れて行き、目の前に現れた女の人に一礼をしていた。

「ユンム様、ご命令通り連れてまいりました」

「うむ」

 ユンムと呼ばれた女の人は、俺を見下ろしながら手枷の紐を引っ張る。

 冷たい視線と興味の視線を感じながら、円卓の真ん中に俺は立たされたのであった。

「不審な行動をすれば、即セルビアを殺す」

 俺の耳元でユンムは、俺にそう忠告をしてきたのである。


 “なぜ、セルビアさんを?”


 問いただそうとしたのだが、既にユンムはセルビアの側まで歩いていた。


「セルビア、お前の悪運も今日で終わりを迎えるわ」

「あら、そんな事はなくてよ?」

 ユンムの嫌味に動じる事なくセルビアは、俺の真横に立つ。

 そして、ニコリと微笑んでいた。



 ドアの開く音と共に、ギルド会長ローラ・フォン・ミステリア。

 幹部である六名

 警備兵連隊長ユンム・ラブウム

 アーツハンター協会副会長シドニー・ラーニア

 戦闘隊総司令官マーシャル・フォン・フライム

 政治専門館長スカンディス・カール

 訓練施設長シグルド・ソグン

 アーツハンター専門裁判長ヒルヤン・ゴッド

 が勢ぞろいし、俺を凝視していた。



「それでは、重要人も到着したようなので、あの時の会議の続きを再開したいと思います」

「……」

 訓練施設長シグルドは、そう言い俺にこれまでの経緯を簡単に説明してくれたのだ。

 それは、セルビアが話していた事と大体同じ内容だった。


「……という訳です。理解出来ましたか?」

「はい……」

「では、アーツハンター専門裁判長ヒルヤン。よろしくお願いします」

「了解した」


 裁判長ヒルヤンは、席を立ち中央へと歩いてくる。

「覚悟はいいですね?」

「えぇ……」

 そして、セルビアの心臓辺りに手を当て始めたのであった。

「それでは始めます。【断罪のアーツ】発動……」


 見る見る内に、セルビアの首を固定していく。

 そして、その上方には斜めになった鋭い刃が待ち構えていた。

「!!」


 “セルビアさん!? 俺、こんなの聞いていませんよ……”


「なっ何これ……? これは、まるでセルビアさんの処刑の準備じゃないですか……?」

「そうですね。あなたが奴隷だと分かれば、直ちにセルビアの首は落ちます」

「なっ!?」

「それが、我々があなたの帰還を待つ事にした唯一の条件です」

「っ……!!」


「大丈夫よ、ルークちゃん」

「セルビアさん……」


 セルビアは全てを受け入れていた。


 “だから、今生の別になるとあの時……言っていたのか……”


 裁判長ヒルヤンは、警備兵連隊長ユンムの方を向きなおす。

「警備兵連隊長ユンム、準備は出来ました。尋問を……」

「裁判長ヒルヤン、了解した」

 警備兵連隊長ユンムは、ゆっくりと俺の目の前に歩み寄ってくる。


「まず、名前を聞こうかしら?」

「……ルークです」

「いい名前ね……」


「我々は、もう何年も待たされ続けているので、回りくどい質問は省きます」

「……」

「単刀直入にお聞きします。あなたの背中には、奴隷の焼印あるわよね?」


「ないです」

「嘘はつかない方がいいわよ? セルビア死ぬわよ?」


 “そうなのかな? なんか違う気がするけど……”


「嘘はついていないですよ」

「本当に……?」

「えぇ……っと言うか、そこまで疑うのでしたら手枷外して下さいよ」

「?」

「手枷されたままだと、服脱げませんしね。それとも手枷を外すのが怖いのですか?」


 警備兵連隊長ユンムは、俺の手枷を外してくれた。

 反抗する素振りを一瞬でも見せれば、すぐ様この場で殺す……

 そんな殺気をマーシャル以外の幹部からと、真後ろに立っているスキンヘッドの男からヒシヒシと伝わってきた。


 上着を脱ぎ、鎖帷子を脱いで行く。

 俺は背中を幹部たちに、堂々と見せつけたのだ。

「!!!!」



 この場にいた者、誰もが俺の背中に注目していた。

「そっそんな……馬鹿な……」

 警備兵連隊長ユンムが一番驚きを隠せなかったようだ。


 俺の背中には、奴隷の烙印はない。

 白黒の勾玉がくっきりと幹部たちの目の前にある。

「これでもまだ、俺を疑いますか?」

「なっなぜ、鎖帷子を!!」

 そう聞いてきたのは、政治専門館長スカンディスだった。

 彼も俺の背中には奴隷の焼印が、あると思っていたのだろう。

 動揺が隠し切れていない。


「旅は結構きつかったですしね、自分の身は自分で守る……俺はアーツハンターではありませんが、基本ですよね?」

「くっ……警備兵連隊長ユンム、背中を触ってみろ!」

「?」

「これがつい最近押し付けたものだとしたら、立っている事など不可能だ!!

 皮膚も柔らかく、触った途端激痛が走るはずだ!」


 政治専門館長スカンディスに促されるがまま、警備兵連隊長ユンムは俺の背中を触ってくる。

「!!」

「どうだ?」

「政治専門館長スカンディス……これはつい最近出来たものとは思えない……

 肌は硬く……残念だが、定着している……」

「なっ!!」


 “回復の札、使っていてよかったぁ……”


「俺への誤解は解けましたよね? セルビアさんのアレ解除して下さい」

 俺の一言に幹部たちは反応しなかった。


「まだよっ!」

 警備兵連隊長ユンムは食い下がってきた。

「ルークなぜ、あなたの心臓の鼓動はそんなに激しいの?」

「……」

「心臓の音が聞こえる私の前で嘘は無意味よ!」


「嘘をついているわよね?」

「いえ……そうではありません。

 あなたみたいな美人のお姉さんに背中を触られてしまったので、緊張したみたいですね。」


「俺も男なので……一応」

「ぐっ!」

 俺の言葉に幹部たちは何も言えなくなっていた。

 でも誰一人、【断罪のアーツ】を解除すると言う者はいなかった。


「セルビアさんは、この場で殺されるうな事をしたのですか!!」

 少し強めの口調は、大幹部大会議室内に響き渡って行く……



 アーツハンター協会長、ローラはゆっくりと口を開いてきた。

「セルビアに対する疑惑は解決したと私は思うのですが? まだ疑問を持つ者はいますか?」

 ローラの質問に誰も何も言わなかった。

 沈黙という形でローラは判断を降した。

「裁判長ヒルヤン、セルビア支部長に対して発動している【断罪のアーツ】を解除しなさい」

「はっ!!」

 ローラの言葉と共に、セルビアの処刑台は解除され自由の身になって行く。


 ホッと胸をなでおろしている自分がいた。


 “良かったぁ〜”


「これでいいかしら?【黒と白のアーツ】を持つ少年」

「あっはい……ありがとうございます」

「アーツハンター協会長として、最後に質問をしたいのですがよろしいですか?」

「はい」

「あなたはこれから、どうするのですか?」

「!?」


「我々としては、アーツハンターとなって最前線に立って頂きたいのが本音なのですが……」


 ローラの質問の答えを俺は既に用意している。

 セルビアの顔をチラッと見ながら、再びローラの顔を見る。

「俺はアーツハンターになりたいです。ですが、最前線に行くつもりはありません。 ロールライトで俺は生活をしたいです」


「なっ!?」

 幹部の皆が意外そうな顔をして俺を見ている。


 政治専門館長スカンディスが声を張り上げ、反対意見を出してきた。

「なにを、馬鹿な事を!! それだけの力を持っていて、なぜ!?」

「……」

「ロールライトに帰ると言うと事は、最低ランクのアーツハンターとして始めるという事になりますわよ?

 最前線に行けばそれだけで、Cランクアーツハンターですわ」

 政治専門館長スカンディスの話を補足するかのように、マーシャルは説明してくれる。

 それでも俺の意思は変わらない。

「最低ランクで構いません。もう決めた事です」

「意志は変わらないのですね?」

「はい」


 その一言にローラはニコリと笑い、俺に一通の書類をマーシャルを通じて渡してきたのである。

「これは?」

「アーツハンター認定許可証です。ロールライトに帰還後、受付に持って行けば手続きしてくれるわ」


 “へぇ〜”


「訓練施設長シグルド、他に何か今ここで話し合う事は?」

「御座いません……」

「では、(わたくし)も仕事が溜まっております。そろそろ終了させて頂けますか?」

「ははっ!!」


 コホンッと咳払いをしつつ訓練施設長シグルドは、俺とセルビアの顔を見ながら……

「そっそれでは本日の会議は終了とする。解散!!」

 会議終了を宣言したのであった。




 取り敢えず幹部たちが全員出て行かないと、下っ端の俺や支部長のセルビアは会議室から出る事を、許されないらしい。

 入り口のドアに立たされ、セルビアと共に一礼しながら見送る……

 内容を問わず、幹部会議を招集した事態大問題との事だ。

 だから、会議が終了後その当事者は、幹部たちを見送らなければならない。

 と規約に書かれている。

 と、ボソリッとセルビアは教えてくれた。



 会長のローラは、俺の目に立ち頑張ってね。

 とだけ話し退室して行った。


 そして、幹部たちが次々俺に話しかけてきたのだ。


 まず最初に話しかけてきたのは、政治専門館長スカンディスだった。

「それだけの力を持って………お前、後悔するなよ」

「はい、ご忠告ありがとうございます」

「ちっ……問題児が!!」

 吐き捨てるようにそう言っていた。


 “俺はいつから、問題児になったんだ?”


 次に俺の目の前に来たのは、訓練施設長シグルドだった。

 もし『ラグナロク』に行っていたとしたら、俺は彼の世話になっていた事だろう。

「正直に申し上げると、『ラグナロク』で基礎を積ませて上げたかった……

 だが、それももう無理のようだな」

「はい……申し訳ございません」

「気にする事はない……学びたい事があれば、『ラグナロク』に来なさい。

 わかる範囲で教えてあげよう」

「はい、ありがとうございます」


 裁判長ヒルヤンは、俺ではなくセルビアの方に話しかけていた。

「【断罪のアーツ】を解除したとは言え、二年以上心臓に負荷を与え続けていた」

「はい」

「今はもう違和感はないかもしれない。だが、暫くは休養をするといいだろう」

「お心遣い感謝したしますわ」

「でも……俺がもう少し早く帰って来ていれば……」

「いや、お前のせいではない。

 俺があの時、セルビアの言葉を信じてやれなかった……

 ルークよ、恨むなら俺を恨め……」

「……」

 裁判長ヒルヤンはそう言い会議室を後にしていた。



 警備兵連隊長ユンムは、まだ納得出来ないようだ。

「なぜ、なぜだ……?」

 ブツブツと独り言を言いながら、アーツハンター協会副会長シドニーに連れられて俺とセルビアに一礼を見ながら会議室を後にした。


 マーシャルは、何も語らずウィンクしながら笑っていた。


 “なんだょ〜”


「フゥ〜これで終わりですか?」

「うん」

 スキンヘッドの男たちもいなくなり、俺とセルビアだけが残っている。

「よし、さっさとロールライトに帰りましょう。セルビアさん!!」

「ロールライトに着いたら、早速手続きしないとね!」

「はいっ!!」

「張り切っているわね、ルークちゃん」

「だって嬉しいですもん!」

 セルビアは何も言わなかったが、俺にはもとても嬉しそうに見えた。



 かなり荒療治ではあったが、取り敢えずなんとかなった。俺の疑惑は解決された。

 ロールライトに帰れば、俺もアーツハンターになる事が出来る。




 ガーゼベルトに来る時は、連行という事だったので馬車で連れて来られた。

 しかし、帰りは勝手に帰れよ。

 そんな感じだった。

 アーツハンター協会から出て来た俺たちに帰りの馬車は、用意されていなかった。

「さてとこれからどうしたいかしら? ルークちゃん」

「と言いますと?」

「折角ガーゼベルトに来たのですから、一泊して明日帰りますか?」

「……いや、でもセルビアさんは……」

「??」


 “ガーゼベルトに長居したくないのでは?”


 セルビアの過去を知っているだけに、そんな事を考えてしまう。

 しかし、そんな思いを感ずいたのかセルビアは俺の頭をくしゃくしゃと撫で回している。

「大丈夫よ。そんなに気にしないで♪

 少し街中見て回りましょう。どのみち今からロールライトに行く馬車はないわ」

「はい、わかりました」


 俺とセルビアは商店街ではなく、職人街を歩き始めた。

 職人街の方が珍しい物……

 いわゆる掘り出し物が流通しやすいとの事だ。

「ルークちゃんは今、欲しいもの何かあります?」

「ん〜特にないかも〜」


 派手派手だけど、セルビアが用意してくれた服は結構立派である。

 だから服は今すぐ必要だとは思わない。

 ならば、剣だろうか?

 折角、パラケラルララレ学校でギレット爺さんの元で剣の訓練をしてきた。

 それにそのうち剣の聖地『ウイッシュ』にも行かなければならない……


「セルビアさん、俺……剣、みたいです」

「いいわよ。オススメの所案内するわね」

 そもそも俺の剣は、あの時……

 山賊たちに、奪われたまま何処かに行ってしまった。

 俺の成長の剣と父さんの形見でもある剣……

 いつか探し出したいな……



 セルビアが案内してくれた所は『グラディウス』と言う剣専門のお店である。

『土の街グランディ』より優秀な職人ではないが、それなりに腕はいいそうだ。

 また、掘り出し物を探し出す目利きも素晴らしいとの事だった。


「これはこれは、セルビア様……ようこそおいでくださいました!」

 店内へと入ると、すぐに店員がよってきたのだ。

 セルビアが常連だからか?

 いやいや、ガーゼベルトには本当に必要な事がない限りこないはずだ。

 ならば何故、きちんと名前を覚えてもらっているんだろう?


「お久しぶりね」

「いえいえ、ロールライトに行商に行った際にはセルビア様のお陰で安全な商いが行えています。

 我々としては大変助かっておりますよ」

「そう、それは良かったわ」


 “なっなるほど!!”


 その会話で俺の疑問は全て解決してしまった。


「本日はどのようなご用件で?」

「この子の剣を探しておりますの。何かオススメなのありまして?」

「なるほど、では適当に見繕ってまいります。暫くお待ちください」


 そう言うと、定員は奥の方へと入って行くのであった。


『グラディウス』の店内は、短剣・大刀等に分類された木箱の中に所狭しと入っていた。

「色々な剣が置いてあるんですね」

「迂闊に触ると怪我するから、気をつけてね」

「はーい」


「お待たせしました、セルビア様。こちらへどうぞ」

「ルークちゃん」

「あっはい」

 セルビアに呼ばれるがまま定員の元に慌てて行くと、定員は持ってきた三本の剣を説明してくれた。

「まず、一本目。これが、一押しですね。『土の街グランディ』から仕入れた物です」

 一本目の剣は『土の街グランディ』で作られた物だけあって、いい剣だと言うのは見てすぐにわかった。

 だが、桁が高すぎる。

 他の二本目、三本目も同様に説明してくれたのだが、今ひとつピンとくる物はなかった。


「う〜ん……」

「気に入らないのですか?」

「はい……」

「坊やの年齢になるとこれくらいが妥当かな?

 と思って持ってきたのですが、お気に召しませんでしたか?」

「みたいね」


「あの……もしセルビアさんに勧めるとしたら……どんな剣を持ってきてくれますか?」

「ふむ、セルビア様にですか……?」

「はい、俺が扱えるか扱えないかは別として……」

「それなら、これをお勧めしますね」

 そう言って定員は一本の剣を俺の前に差し出してきたのだ。

 定員が差し出してきた刀身は、曇り一つなかった。

 更に職人の手により、よく研ぎ澄まされ切れ味も素晴らしいと見ただけですぐにわかった。


「これは、流石に高すぎますわ」

 駄目出しをしたのは俺ではなく、セルビアであった。

 注文の多い奴らだな? と思われたかも知れないが、この定員セルビアからお金をむしり取ろうとしているのが、見え見えだった。


「ですが、この剣はとてもいい剣ですよ?」

「見れば、そんな事(わたくし)にもわかりますが、ハッキリ申し上げますと……

 ぼったくり価格ですわ。(わたくし)も、ルークちゃんにもそのような剣、必要ありませんわ」


 売れ残りを押し付けんなっ!! と言わんばかりに、セルビアは少し怒っていた。

「もっもうしわけございません……」

「ルークちゃん、他の場所行きましょ!!」

「あっはい……」


「お待ちください! セルビア様!」

 慌てて定員は、セルビアに詰め寄ってくる。

 セルビアの機嫌を損ねると、ロールライトで行商を出来なくなる可能性もあるし。

 慌てるのは当然か?


「こちらの剣は如何でしょうか? 結構お手軽な値段になっております」

 定員は刀身が黒い剣を差し出してきたのだ。


「これは、元々銀白色で強い金属光沢がある鉱石から作りを出されています。

 それを、職人が何千回も炉で溶かし……

 鍛えて行く内に黒色に変化していった珍しい剣でございます」

「ふぅーん」

 もうすでにセルビアは、この店自体に対して関心を示していなかった。

 でも、俺にはちょっとかっこよかったので気に入ってしまったのだ。


 大剣とまではいかないが、刀身は普通の剣よりも幅は広く長く作られ、カッコ良かった。

 セルビアに言わせれば中途半端な剣……

 だそうだ。


「セルビアさん、でも俺……この剣気に入りました」

「……本当に??」

「はい!」

「まぁ……ルークちゃんが、気に入ったのなら(わたくし)は何も言いませんわ」

 と言いながらセルビアは黒い剣を購入してくれた。


 “わーい!”


 黒い剣、名前がなかったので適当につけて見た。

『ブラック』と……

 セルビアはクスクスと単純ーっと話していた。

 だけど、いいのだ!

 単純でっ!!


 セルビアに買ってもらった剣……

 大事に使おう。


「でも良かったわ」

「えっ?」

「ルークちゃんにアーツハンターになったお祝いをプレゼント出来て♪」

「あっ……」


「ありがとうございます、セルビアさん」

 頬を少し赤くしながら俺はセルビアにお礼を言い、それを聞いたセルビアも嬉しそうにしていた。


「さて、そろそろ宿屋に向かいますか?」

「はい!」

 いつの間にか荷物は山盛りになっていた。

 あの後セルビアは、あれも必要だ。これも必要だ。

 と言いながら日頃の鬱憤を晴らすかのように買いまくっていた。

 セルビア自身の物ではなく、全て俺の物だったけど……

 それでも、まだ買い足りなさそうに、店頭に飾られている物を見ていた。


 そんな俺たちの目の前に一人の住民が、呼び止めたのであった。






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