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Arts hunter   作者: kiruhi
少年編ー序章ー
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第五話 火の街ロールライト 〜弍〜

 俺を背負っているセルビアに対して、銀色に光る鎧を着た青年が近づいたきた。

「お怪我もなく、ご無事でなによりです。さて、支部長今までどちらへ?」

 ギロリと俺を睨みながら、その男は優しくセルビアに話しかけて来ていた。


「アルディスちゃん、野暮な事聞かないでよね〜デ〜ト〜に決まっているじゃない♩」

「左様でございますか………では奥で詳しいお話を、お聞かせ頂けますか?」

 アルディスという男、セルビアの性格を知っているのか、淡々と受け答えていた。


 セルビアは、俺をそっと降ろした。

「ルークちゃん、またね〜ん♪」

 と言いながら奥の方へと歩いて行ってしまった。


 一人ポツンと立っていると女の人達が輪になり、俺を囲い出した。

「僕、お名前は?」

「ねぇねぇ! 支部長と、どこに行ってきたの?」

「かわいいぃ〜」

 と言いながら女の人達は、俺を触ったり、抱き上げたりしてもみくちゃにした。


「ルーク!!!」

 女の人達にもみくちゃにされていた、俺を聞き慣れた声が呼んでくれた。


「アードさん!?」

「無事で良かった!」


 アードは、女の人達に俺がアードの連れである事を話し、これから宿を取り休む事を伝えるとまたね〜と言ってあっさりと去って行った。


 俺は、アードにここで待っていろと言われていたのにセルビアと一緒に行動してしまった事を素直に謝った。

 アードは怒る事なく、逆にすぐに出てこれなかった事を謝ってくれた。


 アーツハンターギルドに入り、事後報告をしていると、緊急度Aの依頼が入って来た為、アードに引き受けてくれないかと話があったようだ。

 しかし、アードは人を待たせているので無理だと最初は断ったのだが、緊急度A以上の依頼を受けれるアーツハンターは、既に過半数以上が依頼に出かけており、今この街に殆ど残ってはいない状況だった。

 断りきれなかったアードは、無理矢理行く事にしたのである。

 すぐに出発してしまった為、俺に言う事は出来ず今さっき帰ってきたと話ししてくれた。


「ルーク悪いんだが、報告だけしたいんだ。もう少しここに座って待っててくれないか?」

「はい!」



 椅子に座りしばらく待つ事にした。

 待っているとアードに会えた事にホッとしたのか、急に眠くなってきた。


 こくんっこくんっ


 と頭を上下に揺らしながら、アードを待っていた


「ルークお待たせ」

 俺は、眠たい眼を擦りながら……

「ん〜〜っアードさん……」

「眠いのか?」

 眠気に負けて返事が出来ない俺をみたアードは、俺を抱きかかえてくれた。

「ごめんな、すぐ宿に行こう」

 くたぁ〜ともう俺は、すでに寝てしまっていた。


 アードは俺を抱きかかえたまま、アーツハンターギルドから出て行こうとドアを開けた所で、アルディスに呼び止められていた。

「アード・フォン・ルフ待て」

 アードは、嫌々振り向き少し睨みつけていた。

「話がある、支部長室に来てくれ」

「……………」

「ルークを取り敢えず宿に連れて行き、休ませる。 それからまた来る、それでいいか?」

「ダメだ、今すぐこい。因みにその子供、今はここから出る事を禁じる」


 アルディスは返事を聞かぬまま、支部長室へと入って行った。

 アードは、仕方がなく事務局の人に俺を預け、奥の方で寝かせてもらう様に頼み支部長室へと向かった。




 ◆◇◆◇◆



 アードは、執務室のドアを開け中に入ると、四人のアーツハンターが座っていた。

 支部長のセルビア・フォン・タルト

 副支部長のアルディス・ミリシア

 会計のミラ・ラーニヤ

 事務局長のヒョング・ゼノア

 火の街ロールライトのアーツハンターギルド支部の重役達が揃っていたのであった。


「アードちゃん、ここに座ってね!」

 セルビアは空いている椅子をアードに進めて来た。

 進められるがままアードは椅子に座り、早速アルディスが話を始めた。


「アード・フォン・ルフの事前の報告により【黒と白のアーツ】は復活した。との事だが……しかし、それは本当に本物なのか?」

 アルディスはアードみながら聞いて来た。

「あぁ、本物だと思う」

「ではアード、君に問うがあれが本物だと言う証拠は?」

「それは報告書にも、書いただろう?」

「君の報告書だけでは今いち信憑性がない」

「では、どうしろと?」

「専門の人間をその発見場所に、派遣し調査をしようと思う」


 アードは思わず、目の前にあったテーブルを思いっきり叩いた。

「アーツバスターから守れず壊滅した村に調査に行くだと? ルークは、泣きながら全てをそこに置いてきた。アルディスさん、あんたならわかるよな? ルークと同じ体験をした事のあるあんたならこの意味が!? ………これ以上あの村に迷惑をかけるな」


 アルディスはなにも言えなくなり、黙り込んでしまう。



「派遣の件はひとまず置いておくとして、アードさん」

 今度は事務局長のヒョング・ゼノアが口を開いた。

「仮に【黒と白のアーツ】が本物として、暴走とかしないのかな? あの子供に制御しきれるの?」

「ヒョングさんその件ですが、はっきり言って今はまだ無理でしょうな。まだ幼い事もあり制御は出来ていません。しかし、制御や暴走は大人が側についておく事で問題ないと思っています」


 アルディスは立ち上がり、怒鳴り出す。

「それが危険だと言っているんだ! 今すぐ【黒と白のアーツ】の使い手、ルーク・ゼナガイアは監禁、拘束すべきだ!」


 今度はアードが怒り出した。

「ふざけるなっ!まだ五歳の子供の自由を奪うというのか!?」

「この世界の平和の為だ!!!」

 アードとアルディスは、興奮し激しい言い争いをはじめた。


 会計のミラ・ラーニヤと事務局長のヒョング・ゼノアはなにも言えず、二人の口論を聞いているだけだった。


「二人とも座りなさい」

 ずっと黙っていたセルビアは口を開いた。

 普段はあまり怒らないセルビアだったが、低く冷静な声を聞きアードとアルディスは我に帰り口論を辞め、椅子に座り黙り込んだのである。


「確かにあのアーツは【黒と白のアーツ】だと、(わたくし)も思います。現に街の奥にある花畑を浄化し、元の形にする事が出来ました。あれは、きっと【白のアーツ】のみできる事なんでしょうね」


 口々におぉ〜あの水が復活! と言う声が聞こえてきたが、セルビアにまた怒られたくなくすぐ黙っていた。


「もう一つ、【黒のアーツ】あれは、使い所を間違えると大変危険なアーツですね。世界が消えてしまいます。」


「でっですよね!!!」

 セルビアの言葉に反応したアルディスをセルビアは睨む。


「ですが、だからと言って、ルーク・ゼナガイアには【黒と白のアーツ】を制御できないのか? と聞かれるのでしたら(わたくし)は、今はまだ結果を出すべきではないと答えます」


「ようするに、もう少し様子をみたいと?」

 会計のミラ・ラーニヤは、セルビアの回答を確認するかのように聞いてきた。


 ニコリと笑い

「はい、(わたくし)としてはもう少し様子をみて、そこでルーク・ゼナガイアには制御不可能と判断した場合。その時は可哀想ですが監禁、拘束しその後の事はアーツハンター協会に委ねるべきかと思います」


「わかりました、支部長の判断にお任せします」

 アード以外の皆が全てセルビアの判断に従った。

 アードは納得が出来なかった、ルークのこれからの人生、【黒と白のアーツ】のせいで身動きの取れない人生など過ごしてほしくはなかった。


「アードちゃん?」

「俺がこの場で、どうのこうの言った所で、何も変わらないのはわかるよ。だから支部長の判断に任せるよ」


 アルディスは再び口を開いた。

「では、しばらくの間あの小僧は俺と共に行動してもらおう!」

「…………好きにしろ。支部長取り敢えず今日は、宿に連れて帰ってもいいですよね?」

「いいわよ〜ん♪」


 アードはアルディスには聞かず、セルビアにワザとらしく聞き椅子から立ち上がった。

 そして、部屋から出て行こうとした時、ドアの前で一度止まる。


「アルディス、これだけは忠告しておく。確かにルークはまだ子供だ、だがな………気をつける事だな」

 とだけ言って出て行ったのである。



 という話しを俺が寝ている間に行わられていたらしい。

 そして、この話はアードから知らされる事はなかった………




 支部長室から出てきたアードは、寝ている俺を背負いアーツハンターギルドを出て行く。

 辺りはもう暗く、どこの宿も満席だった。


 アーツハンターには専用の宿が用意されてはいるが、アードは行きたくなかった。

 今、この街のアーツハンター達にとってルークは珍しい者。

 アーツハンター専用の宿に行けば、必ず目立つ。

 好奇心で話しかけて来る者、罵倒する者等色々いる。

 アードがいる時はすぐに助ける事が出来るが、目の届かない所でなにかあればどうしょうもない。

 と考えこんでいたアードは、街外れまで移動し野宿をする事にした。




 ◆◇◆◇◆



 焚き火にあたりながら、俺は熟睡していた。

 しかし、熟睡はしていたが悪夢を見ていた。



 俺は生まれた村に立っていた。

 父さんや母さん、村の皆は生きていて楽しく生活していた。

 夢はそこでは終わらず必ず、【黒のアーツ】が勝手に発動し、村の皆を皆殺しにしてしまうの夢へと変わり目が覚める。



「!!!」

 ガバッと起き上がる。

 あの夢に俺は、毎晩うなされ起こされてしまう…………


 “宿に向かったはずなのに、何故野宿を??”


 と思ったがアードは寝ていた為、聞かない事にした。

 そっと横になり空を見上げる。


「ルゥ〜クゥちゃん!」

 後ろから抱きつかれた。


「セッ!!」

 思わず叫びそうになったが、セルビアが俺の口を手で塞ぎ口元でシィ〜とやる。

 俺は、コクンコクンとうなづくとセルビアは離してくれた。

 小声で、

「セルビアさん何故ここに?」

「ルークちゃんに会いたかったのぉ? ダメ?」

「………」


 セルビアは焚き火の火が、消えないよう木を入れながら俺の隣りに座り話しかけてきた。

「そういえばルークちゃん、うなされていたけど大丈夫?」

「………」


 俺は、セルビアに夢の内容を話した。

 セルビアは俺の頭を撫でながらしばらく黙っていた。


「ルークちゃん、夢の中で【黒のアーツ】が発動する夢をみちゃうのなら、【白のアーツ】も発動する夢にしちゃえばいいのよ♪」

「えっぇぇぇぇえ!!!」

「ルークちゃんなら、きっと出来るわよ♪」


 “また、無理難題言うし…………”


 その後、俺はセルビアに色んな話をした。


 一時間程話し込むと、セルビアは立ち上がり。

「さて、(わたくし)はそろそろ戻りますわ。また、アルディスに怒られちゃう〜♪」


「ルークちゃん、良い夢を♪」

 とだけ言ってセルビアは帰って行くのであった。


 “夢の中で【白のアーツ】を発動ねぇ〜”


 まぁ無理だろうと思った。


 でも、セルビアと話ししたおかげで、すっきりしたのだろう。

 妙に気持ちが落ち着き、俺は再び眠りにつく事が出来た。






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