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Arts hunter   作者: kiruhi
少年編 ー土の街グランディー
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第四十二話 再会

 小路から出て、商店街のメインストリートを歩き街の入り口近くにある、臨時司令官室へと向かう。

 しかしそこには、既にマーシャルの姿はなかった。

 どうやらアーツバスターが襲撃してこない限りここは使わず、今マーシャルはアーツハンター支部にいると見回りをしていたアーツハンターは親切に教えてくれた。


 アーツハンター協会支部の場所を聞くと、アーツハンターは商店街の更に奥にある空高く伸びている岩の麓にあると教えてくれた。

「あの岩を目指して道なりに行けば着く事が出来る」

「はい、わかりました」

 見回りのアーツハンターにお礼を言い、支部に向かう事にしたのである。




 支部に着くと玄関先には、鉄仮面を被ったアーツハンターが一人立っていた。

 頭を少し下げ中に入ろうとしたのだが、鉄仮面のアーツハンターは退けようとはしなかったのである。

「えっとマーシャルさんに会いに来たのですが、中にいますよね?」

「今、マーシャル総司令官殿は取り込み中だ」

「あっそうなんですか? 取り込み中ってディアルスさんと話し中って事ですよね?

 なら、俺も中に入れてください」

 そう言うも俺の目の前にいるアーツハンターは、道を開けてはくれなかった。

 鉄仮面をかぶっている為、表情は全くわからなかったが目つきだけは鋭く俺を睨んでいた……

 睨まれる理由は全くないのだが……

「俺は、お前を通すつもりはない」

「何故ですか?」

「そもそも、お前の存在が気に入らない」

「ぬっ!?」

「何故、お前みたいなガキンチョがマーシャル総司令官殿と仲がいいんだ! 俺は絶対認めない!!」

「!?」


「というわけで、俺と勝負しろ!!」

「はぃ?」

「こっちだ! ついて来い!」

 そう言いながらアーツハンターは有無を言わさず、無理矢理俺を支部の裏側にある訓練施設と思われる広場へと連れ出したのである。

 広場中央まで歩くと鉄仮面のアーツハンターは、俺目掛けて木刀を投げて寄こしてきたのであった。


 コロンコロンッ………


「‥……」

「拾え!」

 目の前にある木刀を拾い上げながら、アーツハンターを見上げる。

 そして……

「俺……あなたと戦う理由ないんですけど……」

「俺にはある!!」


 “どんな理由だよ!!”


 アーツハンターは街灯と月明かりしかない中央広場で、

「いくぞっ!」

 と言いながら有無を言わさずに俺に飛びかかってきたのであった………

 気は進まなかったが、怪我したくなかったし仕方がなく俺も木刀を構え迎撃体制に入る事にした。



 アーツハンターが振り下ろしてきた木刀を、スウェーで避け空振りにさせる。

 そして、アーツハンターの木刀が地面に食い込まさせている間に俺の木刀が、アーツハンターに向かって振り下ろす。

 だが、アーツハンターは下からすくい上げるように俺の攻撃を受け止めてきていた。

 互角の鍔迫り合い……

 力は五分と五分のようだ。


 ガツンガツン!!


 と互いの木刀がぶつかり合う音だけが、静寂な夜に響き渡っていた。

 アーツハンターの攻撃を受けながら、ふと一つ疑問に思った事がある。


 “この太刀筋何処かで……”


 そう考えながらも……


 “次は頭めがけて横に振って来る……”


 俺の予想通り、アーツハンターは木刀を横に振ってきた……

 なので、しゃがみ込みその攻撃を避ける事にした。


 “誰だったかな……確かに記憶にはあるんだけど……”


 アーツハンターの攻撃は、全て俺の予想した攻撃を尽く繰り返していた。

 そして、アーツハンターも俺の反撃の攻撃を、全て避けながら受け止めていた。

 少しイライラ気味になっているのを感じ取れる中、アーツハンターが木刀を強く握り締めているのが手に取るようにわかった……


 すると、突然アーツハンターの剣が何重にも見え始め、風が肌を突き刺さる中一瞬自分の目を疑ってしまった。

「!!」


 気がついた時には、両腕の激しい痺れと共に木刀は空高く宙を舞っていたのである。

 そして、アーツハンターの木刀は中段の構えから真っ直ぐに突き出し、俺の首元で止まっていた。

「まっ参った……」

 俺の木刀が地面に転がる音と共に、両手を挙げながらアーツハンターに対して降参してしまうのであった……




 アーツハンターは、構えを解きながら俺の方を見つめてきている。

「また、俺の勝ちだな……」

「また……?」

「まだわからないのか? 相変わらず鈍い奴だな、お前は……」

 そう言いながらアーツハンターは、ゆっくりと鉄仮面を脱ぎ始めた。

 月の灯りの下、鉄仮面を脱いだ俺の目の前に立っているアーツハンターは確かに、見覚えのある顔だった。

「どっ………どうしてここに………」

「俺もアーツハンターになる事が出来たんだ。

 久しぶりだな、ルーク」

「うっ……うん……そうだね………」

 目から勝手に涙がこぼれ出し、俺は仮面を脱ぎ目の前にいる男の顔を見る事が出来なかった。

 仮面を外したアーツハンターは、俺に近寄り頭を何度も何度も撫でていた。

「ったく……泣き虫なのも変わってないなぁ〜」

「……ヴァ……ヴァルディア!!!」




 ヴァルディア・フォレルーン……


 ヴァルディアは俺が、パラケラルララレ学校に通っていた時に出会った懐かしい友人である。

 だが、六歳の時に起きたあの事件以降ヴァルディアは、ロールライトに住む事を許してもらえずにいた。

 そして、家出をしたリーサと共にガーゼベルトに住むマーシャルの元へと行く事になったのだ。

 俺はそれ以降、ヴァルディアと会ってはいなかった……


 実に八年ぶりの再会であった。


 ヴァルディアとはもう会えないと思っていただけに、この再会は嬉しく勝手に涙が出てしまったのだ。




 ◆◇◆◇◆



 ヴァルディアと再会を果たした俺は、その場で座り込み話し込み始めた。

 どうやら、ヴァルディアはアルディスの送りでロールライトを旅立ち、マーシャルを紹介してもらったらしい。




 それは、あの時……

 ヴァルディアの父は、泣く泣く一人息子を手放さなければならない状況下で、セルビアに息子を助けて欲しいと嘆願したのである。

 そして、セルビアはその言葉をアーツハンターギルドへの正式な依頼として受理し、マーシャル宛への手紙をヴァルディアに渡したのであった。


 ガーゼベルトにいるマーシャルの元へと辿り着いたヴァルディアは、セルビアから受け取った手紙を渡し、マーシャルもその内容確認した後に了承したのであった。


『いつの日かロールライトに戻れる日が来るまで、ヴァルディアの事よろしくお願い致します』


 そう手紙に書かれいたらしい……


 そして、マーシャルは一緒について来たリーサと共に、十二歳になるまで色々な事を教えてくれたのだった。

 友人のようになんでも相談に乗ってくれる事や、時には母のように厳しくマーシャルはヴァルディアとリーサに、接し育てていてくれていた。

 俺がセルビアに対して、返しても返しきれない恩があるように、ヴァルディアもマーシャルに対して返したい恩を背負っていた。


 ヴァルディアが十二歳になった時には……

 俺が行けなかったアーツハンター訓練施設通称『ラグナロク』にヴァルディアは入校。

 アーツハンターになるべく様々な訓練や勉強、実践等を行い充実した毎日を送っていたらしい。


 そんな時に起こったのが、アーツバスターによる各街への同時侵攻作戦……

 陥落したのが『風の街サイクロン』だけとはいえ、他の街がいつ陥落するかわからない状況下であった。

 そしてアーツハンター協会が出した結論は、戦力強化である。


 一年に一回のみのアーツハンター試験ではなく、常に募集をかけるべき……


 副会長シドニー・ラーニアのこの進言を取り入れた、アーツハンター協会はアーツハンター試験を実施。

 本来『ラグナロク』に在籍しているものは、卒業資格を持たないと試験に受ける事は叶わないのだが、そんな事を言っている場合ではなかったのである。


 能力がある『ラグナロク』候補生は、卒業資格を持たなくとも試験に参加させる。


 という異例な発案により、その時に『ラグナロク』にいたヴァルディアは試験に参加する事が出来たのである。

 そして、ヴァルディアは無事に合格する事が出来【隼のアーツ】を受け取ったのであった。


 こうしてヴァルディアは僅か一年と言う短い期間の『ラグナロク』を卒業し、無事アーツハンターになる事が出来たのだ。

 そして、ヴァルディアはマーシャルに恩返しをしたいと考えていた。


 赴任先をロールライト


 と言う希望をヴァルディアが出せば本来ならロールライトに帰還する事も出来たのだが、ヴァルディアが出した希望はロールライトに帰還ではなく、マーシャルの元で働きたいという結論を出したのである。


 最初は、マーシャルも気にせずロールライトに帰る事を勧めていたのだが、ヴァルディアの意志は固く結局マーシャルはその熱意に折れ共に歩む道を許したのであった。


 そして、急増で集められたアーツハンターたちと共にヴァルディアは、マーシャルを指揮官の元に『土の街グランディ』へと赴いたのであった。


 ヴァルディアが到着した時『土の街グランディ』は、戦力とも言えるアーツハンターたちを失い街全体が落ち込んでいた。


 生き残っていたアーツハンターたちは、協会からの援軍に期待してはいなかった。

 再三要請していたのにも関わらず、協会は援軍を寄越さず『土の街グランディ』の英雄とも言える人物を永遠に亡くしたのである。

 当然、生き残っていた者たちは自分たちの手で英雄の意志を継ぎ街を守ろうと結束した時に、マーシャルたちの到着……

 遅い援軍は当然、街の住民や生き残っていたアーツハンター歓迎する者は、一人もいなかった。


 内乱とも言える程、大規模に勃発しそうになった時だった。

 気を狙っていたかの如くアーツバスターの襲撃。

 連繋もままならず、『土の街グランディ』は陥落寸前までに陥った時、マーシャルの一喝……


 マーシャルの一喝は、再び連繋と言う名の息吹を与えアーツバスターを撤退させる事に成功したのである。

 それ以降マーシャルたちの援軍部隊と生き残り組は幾度もアーツバスターとの戦闘を繰り広げていた。


 しかし、それも次第にジリ貧となっていたあの戦い……

 突然の竜巻による攻撃をヴァルディアは、いつまでも記憶残していた。

 その時、ヴァルディアは俺の姿を見たらしい。


 意地悪心満載のヴァルディアはマーシャルに頼み、俺との再開時には鉄仮面を被って再会したいと申し出たらしい。

 マーシャルはクスクスと笑ながら、

「思いっきり虐めておあげなさい」

 と言っていたらしい……


 “ひどい話だ……”


「マーシャルさんにも、迷惑かけていたからな……俺……」

「んっ?

 そうなのか?」

「うん……色々とね……」



「あっそういえばリーサは?」

 その質問にヴァルディアは少し戸惑っているように、俺には一瞬そう思えた……

「……ヴァルディア?」

「あぁ、悪い……リーサは……アーツハンターにはなれなかった……」

「!!」




 リーサ・フォン・ルーベルト


 彼女はヴァルディアがロールライトから出て行く時に、貴族のやり方に不満を抱き貴族の称号であるフォンの名を捨て、ヴァルディアと一緒にマーシャルの元へと旅立ったのである。

 十二歳になるまでは、リーサもヴァルディアと同じくマーシャルに色々な事を教えてもらっていた。

 しかし、生まれながらアーツを発動する事が出来ないリーサは、結局『ラグナロク』に行く事はマーシャルの力をもってしても無理な事であった……

 リーサは泣く泣く自分の将来の為ヴァルディアと別れ、剣の聖地へと言われている『ウイッシュ』へと旅立ったのであった。



「リーサは、剣の聖地に行ったよ」

「剣の聖地かぁ、ゼーンやディア、サンの三人が卒業後に旅立って行ったよ……」

「おぉそうか……じゃリーサは剣の聖地でうまくやっているかな〜」

「うん、そうだね。そうだといいね」

「あぁ」



「あっそういえば俺、お前と『ラグナロク』で再会出来ると思っていたのに、再会出来なかったけど何処にいたんだ?」

「あぁ……それは…そのえーと……」


 俺は背中の烙印の事は伏せて、ヴァルディアと別れてから起きた事全てを語ったのだ……

 語り終えるとヴァルディアは夜空を見上げながら、

「そうか……お前も随分波乱万丈な人生だな……」

 そう呟いていた。

「ん〜まぁ俺的には色々な所に行けたから、それはそれでプラスにはなったかな」

「そうか……変わらず前向きだな」

「ヴァルディアにも、変わらず勝てなかったけどね。

 さっきの攻撃はアーツを使ったの?」

「あぁこれは【隼のアーツ】と言って、一回の行動を複数回に増やしてくれるアーツだ」

「へぇ〜」


「まぁ、これがなくてもルークに勝てるとは思ったけど、成長した俺をお前に見せつけたかった……

 これが本音だな」

「ちえっ! ヴァルディアとわかっていたら、俺だって……」



「ぷっ………あははははは」

 と笑声が響き渡る中、今日の所は夜も遅くなった事だし解散する事とし、明日再びアーツハンター協会支部で会う事になったのである。



 ヴァルディアは別れ際に、アーツバスターたちの情報を知っている範囲内で情報を話ししてくれた……

 どうやら奴らは、俺とディアルスが封印したゲートのお陰で再侵攻をする気配は、今の所見えないらしい。

 それでも奴らのうち何人かは、見つからないように街に潜んでいるとの事だ。

「なにを企んでいるのかは知らないが、気をつけろよ」

「わかった……また明日、ヴァルディア」

「あぁ……」

 ヴァルディアはアーツハンター協会支部へと帰って行き、俺も宿屋へと戻る事にしたのであった。



 俺が街の情報を話ししてくれた男たちは、まだ俺のおごりだと勘違いしているのか大いに食べ飲みまくっていた為、見つからないようにそそくさと部屋に戻る事にしたのである。



 ディアルスはまだ戻ってきてはおらず、話したい事があった為待つ事にしたのが、待てども待てどもディアルスは帰ってこず、いつの間にか眠ってしまったのであった。






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