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Arts hunter   作者: kiruhi
少年編 ー土の街グランディー
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第三十八話 土の街グランディへ

 検問所の中には、ヴィンランド領大陸の地図が飾られていた。

 俺は、それを見ながら現在地を確認していた。


 まずヴィンランド領は、四つの地域……

 東に『火の街』、北に『水の街』、南に『風の街』、西に『土の街』がある。

 そして、その中心に高い山々に囲まれ中心部には首都『ガーゼベルト』が存在していた。


 各街と『ガーゼベルト』は一本の道が繋がっており、その為『ガーゼベルト』の流通は滞る事はなかった。


 しかし、『ガーゼベルト』を通らないで各街に行くとなると、決められた検問所を通らなくてはならなかった。


 検問所は基本的に二つ存在している。

 東の『火の国境』の検問所には『水の領地』へと行く道と、もう一つは『風の領地』に行く道がある。

 更に、『火の領地』はガルガゴス帝国領を、繋ぐ唯一の国境の街『メシュガゴロス』が存在している。


 北の『水の国境』の検問所は『火の領地』へ……

 そしてもう一つは、西の『土の領地』へと続く道が存在している。

 海底を歩く事で南の『風の領地』に行ける事も出来る。


 南の『風の国境』は海底を通り『水の領地』へ…

 そして、『土の領地』と『火の領地』に行くことが出来、同様に西の『土の国境』は『水の領地』と『風の領地』に行く事が出来る。



 地図を見上げながら俺は、海底を歩き『風の街』に行くか、安全策をとった『土の街』……

 そのどちらかに行くべきか悩んでいた……


 そんな中、俺はディアルスと再開したのである。

「……ディアルスさん?何故ここに……!?」

 ディアルスは俺の質問に、指を刺しながらサインを送って来る。

「すみません……なにを言いたいのか、俺にはわかりません」

 理解出来なかった俺にディアルスはまた、同じサインを送って来たのであった。

「やっぱりわかりません……」


 すると、検問所の男の人が見兼ねて俺に教えてくれた。

「坊ゃ……」

「はい?」

「そこのでかい兄ちゃん(あんちゃん)は、きっと坊ゃに着いて行くと言っていると俺は思うぞ?」

「えっ!?」

 ディアルスはコクンコクンと頷いている。


 俺はディアルスの顔を見ながら、再度確認するかのように質問をしてみた。

「ディアルスさん、本当に俺に着いて来るつもりなんですか?」


 コクンコクンッ


 とディアルスは頷いていた。



 確かに、一人で行くより二人で行った方が、安心なのはわかる……

 でも、はっきり言って俺はディアルスに対して怒っていた。

 正確には、ルドベキアになんだけど……

 それでもディアルスがあの時止めなければ、アイブロウを救えたのでは?

 と俺は今でもそう思っていた。

 だから、それを止めたディアルスを、俺は許す事は出来なかった。



「ディアルスさん、俺はあなたと一緒に行こうとは思ってはいません……

 だから、街に帰ってください」

 ディアルスは、首を横に振りながら否定してくる。

「なんと言われ様が、一緒に行く気はありません」

 はっきりと俺は言い切った。



 でも、それでもディアルスは諦めずに、俺について行くと合図を送り続けていた。

 俺たちのやり取りを見ていた、検問所の男の人は見兼ねて話しかけてきた。

「あんたら、他の通行の邪魔なんだよな……

 坊ゃ、大人の兄ちゃん(あんちゃん)が着いて行くと言っているんだ。

 我儘言わずに大人のいう事を聞いて、一緒に着いて来てもらえ!」

「ぬっ!!」


 “うぅ………”


「これ以上、我儘を言うと俺は、通行を許可しないぞ!?」

 検問所の男はさりげなく脅してきた。

「わかりました………

 ディアルスさん、よろしくお願いします……」


 “理不尽だ……”


 そう思いながら俺は、ディアルスと一緒に行く事にした。



 気を取り直し、地図を見上げながらディアルスに話しかける。

「それで、ディアルスさん、どちらに行きますか?」

 俺の問いかけにディアルスは、『土の街グランディ』を指差していた。

「『土の街グランディ』ですね?」

 念の為確認してみる。

 ディアルスはウンウンと頷いていた。


 俺は、検問所の人に通行手形を見せながら『土の街グランディ』に行く事を話しした。

「わかった、通っていいぞ」


「あっそだ『土の街グランディ』はまだ陥落してはいないが、安全とは言えないからな。

 坊ゃは、見るからに弱そうだから、ちゃんと兄ちゃん(あんちゃん)の言う事聞いて、十分気をつけて行くんだぞ」


 “見るからに弱そうって……余計なお世話だょ!!”


 と思いながら、俺は冷静さを保ちながら検問所の男に質問する。

「アーツバスターですか?」

「あぁ……あいつらは『風の街サイクロン』をに占拠し、次は『土の街グランディ』を標的にしている。

 今の所陥落はしていないが、どうなる事やら……」

「そうですか……わかりました」

 俺とディアルスはお礼を言いながら、検問所を通り『土の街グランディ』へと足を踏み入れた。




 ◆◇◆◇◆



 検問所を越えるとそこは砂だらけの土地で、岩というか崖のような岩石が露出し、岩くずが散乱していた。

 その道を長い年月をかけながら作ったと思われる、デコボコな街道が続いていた。

 足場の悪いデコボコな街道を、ひたすら歩きながらまず思った事がある……

『水の領地』は、海風が何処からともなく吹き、風は冷たく心地良かった。

 しかし、『土の領地』は全然気候が違う。

 取り敢えず暑かった!!



「あっ暑い!!」

 一瞬にして俺の身体は汗だくになり、我慢出来なくなった俺は、荷物を降ろし着ている服を脱ぎだした。

 背中の事など、この暑さですっかりと忘れていた。


 しかし、ディアルスは冷静に俺の行動を静止してくれた。

「?」

 不思議に思った俺にディアルスは、背中をチョンチョンと触り合図を送って来る。

「あっ!?」


 “忘れてた……”


 気ずかされた俺は、服を脱ぐのをやめディアルスにお礼を言い、ディアルスも首を横に振りながら笑っていた。


 “気にするな…?って事かな?”


 荷物を持ち直し、長袖の服の袖を肩の方にめくれるだけめくり上げ、俺は気を取り直し出発した。




 道の悪い所を、道なりにひたすら真っ直ぐ歩き続けて四時間後……

 漸く岩石地帯を超える事が出来た。


「すご……」

 思わず呆気に取られてしまった……

 俺の目の前には、建物も何もない起伏が出来た丘はあったが、そこには広大な砂砂漠が続いていた。



 感心していると、一人の旅行商人らしき男が俺に話しかけて来たのである。

「お前さんたち砂漠越えは初めてかい?」

「えぇ……俺は、始めてですけど……ディアルスさんは?」

 俺の問いかけにディアルスは、首を横に振り否定していた。

 どうやら始めてではないらしい。


「初めてでは、ないらしいですよ」

「そうかい……なら、砂漠越えの装備は用意してあるのかい?」

 ディアルスは頷いていた。


 チッと舌打ちをし男は、機嫌悪くなってしまった。

「そうかい……」

 どうやら、装備品を高く売ろうとでも思っていたらしい。



「じゃ先を急ぎますので……」

 俺たちは、変な物を買わされないうちに、そそくさと旅行商人と別れた。


 “ディアルスさんが居なかったら何を買わされていた事やら……”





 広大に広がる砂砂漠の海を目の前にして、俺はディアルスの顔を見上げた。


 再確認だ……

「ディアルスさん……

 ディアルスさをは、どこに行けばいいのかわかるんですよね?」

 ディアルスは任せろ!

 と言う感じで、自信満々に右手の親指を上げ合図を送っている。


「では、俺は、ディアルスさんの後ろを歩いて行きますので、よろしくお願いします」

 コクンコクンッとディアルスは頷いていた。


 こうして、俺の砂漠越えが始まった。




 ◆◇◆◇◆



 しばらく歩いていると、わかった事がある。

 砂漠の砂はとても柔らかく、歩くたびに靴の中に砂が入って来ていた。

 その砂は、太陽の熱で充分に暖められていた。

 お陰で、靴の中に入ってくる砂は物凄く暑かった。


 更に、空気中に水分は殆ど含んでおらずカラッと乾いており、すぐに喉は乾き水分補給を何度もする事になった。


 “あっ雨は降らないのかな……”


 と思ってしまうぐらい砂砂漠は、暑く俺の体力を根こそぎ奪って行く勢いだった。

「はぁはぁ………」


 ディアルスはかなり俺に気を使い、休憩を取りながら進んでくれていた。

 それでも、お昼が過ぎ太陽が次第に沈む頃、俺とディアルスとの距離は次第に離されて行っていた。


 “待って……”


 と言いたくても喉は既にカラカラ……

 声を発する事すら、今の俺には難しかった。

 ディアルスは後ろを振り返り、俺がついて来ていない事に気がつき小さな砂丘の上で、ディアルスは俺が追いつくのを待っていてくれていた。



「ゼェーゼェー」

 やっとの思いでディアルスの元に追いついた俺は、疲れ果てていた。

 堪らずその場で座り込んでしまった。

「はぁはぁ……ディ……ディアルスさん……疲れていないのですか?」

 ディアルスは俺の質問には答えてくれなかったが、遠くの方を指差していた。

 指を指す方に目線を向けると、なにやら遠くの方でぼんやりとした物が見える。

「あれは、なんですか?」

 ディアルスは砂漠の砂を使いながら、文字を書いてきた。


 “筆談!!その手が!!”


 思わず感心してしまった。


 [オアシス……もう少し………]

 とディアルスは書いていた。

「あれは、オアシスなんですか!?」

 コクンコクンッとディアルスは、更に、何かを書き始めた。


 [涼しいから、あそこまで頑張れ。

 そして、オアシスで今日は休もう]

 その文字を見た俺は、立ち上がり

「はい、頑張ります!」

 と返事をし、ディアルスはニコリと笑っていた。




 目的地が明確にあったおかげで、俺はなんとかオアシスに辿り着ける事が出来た。


 “つっ………疲れた………”


 オアシスは、冷たい水が湧き俺の到着を待っていました。

 かの如く疲れた俺の身体を癒してくれた……

 俺の体力が立ち上がるまでに回復した頃には、すっかりと夜になっていた。


 ディアルスは、オアシスで夜を迎えると予想していたのだろうか?

 それとも、長年培ってきた冒険者の勘がそうさせたのか……

 俺には理解できなかった。


 そして本で読んでいた通り砂漠は温度差が激しかった。

 日中焼け焦げ蒸発しそうなぐらい暑かったのに、太陽が沈んだ途端今度は寒さが俺を襲ってきた。


 “さっ寒い!!”


 慌てて焚き火を広い集め荷物の中から、『火の札』を使う。

 パチパチッと音を立てながら、俺はその場から動く事なく温まっていた。

「砂漠は気温差が激しいと、本で見ていたけど………ここまでとは………」

 思わずボソリと呟いてしまう。


 “あっそういえば、ディアルスさんはどこに行ったのだろう?”


 オアシスについた時点で俺はその場に大の字に寝転び、目を閉じながら体力の回復をひたすら待っていた。

 だからディアルスがどこに行ったのか、俺にはわからなかった。


 “まぁ、すぐに戻って来るだろう……”


 と思い焚き火の前で暫く待っていると、ディアルスは魔物を倒しその戦利品を持って帰ってきた。

「!!」


 “ひぃ……!!”


「ディ……ディアルスさん…?

 それはなっなんですか……?」


 ディアルスの右手には、まだ元気に生きている魔物を手にしていた。


 魔物は体長20cm程。

 色は青みがかった黒で全体的に横幅がどっしりとしていた。

そして、ハサミは近く鋭く尖っており、特徴的な尻尾は二つに分かれてニョキニョキと動いていた。


 “本で見た事がある、あれはツインスコーピオンだ……

 確か尻尾は猛毒で、刺されたら即死するはず……”


 ツインスコーピオンは、ニョキニョキと尻尾を動かしながら、捕まえているディアルスの右手に攻撃をしかけていた。

 しかし、ディアルスは既に【竜巻のアーツ】を発動していた。


 右手を取り巻くように竜巻を発動していた為、ツインスコーピオンの攻撃は届いてはいなかった。

 そして、空いている左手で足元に落ちていた先端の尖った木の棒を拾い上げ、ツインスコーピオンの頭から尻まで一気に突き刺すのである。


 ディアルスはーツインスコーピオンを手に持ちながら焚き火の前で、温まっている俺の姿を見てきた。

 俺ではなく、火がおきているのを確認したようだった。

 ディアルスは、ツインスコーピオンを火の側に置き、ツインスコーピオンはピクンピクンと動きながらも焼かれて行くのであった。




 焼きあがった頃、ディアルスはツインスコーピオンを俺に渡し無言で食え!

 と合図を送って来る。

「たっ食べろと……?」

 ディアルスは頷き、自らも食べ始めた……

 恐る恐る、焼けたツインスコーピオンの一部を手に取り、一口食べてみる。

「!!」


 ツインスコーピオンは以外と美味しかった。

 外側の表面は流石に硬くて食べられなかったが、中身の方は柔らかく弾力があって美味しく、ペロリと渡された分全て食べてしまった。




「ご馳走様でした…………」

 食べ終えた俺は、ディアルスに『結界の札』を渡す。

これ(結界)があれば見張り番の必要はありません。

 明日の為にも、今日はもう休みましょう、ディアルスさん」

 ディアルス頷きながら俺から『結界の札』を受け取り横になる。


 そして、俺も同様に『結界の札』を使い、ツインスコーピオンの犠牲に感謝しつつ眠りにつく事にした。




 ◆◇◆◇◆



 旅の工程自体は順調だった。

 日中の熱さも『水の札』を使い体温が上がらないように、調整しながら歩く。

 靴に砂が入るのは、『土の札』で靴の隙間を埋め砂が入ってこないように工夫した。


 それでもやはり……

 太陽が沈むと襲ってくる寒さには俺は、未だに慣れる事は出来なかった。

 堪らず『火の札』を使、火をおこし温まっている。

『火の札』の在庫も少し心細くなってきた。


 “使い切る前に、『土の街グランディ』に辿り着くのだろうか?”


 そんな一抹の不安が俺の脳裏を駆け巡ってしまう。



 毎日ディアルスは、野宿する場所を確保するとフラリッと居なくなってしまう。

 そして戻ってきたかと思えば、ツインスコーピオンの他にも、ブラックトカゲやロングスネーク等、色々な物を捕まえてきてくれた。

 俺やディアルスもありがたく、それを食糧にしていた。


 でもやはり、美味しかったのはツインスコーピオンだった。





 更に、砂漠を歩き続けた……

 ディアルス曰く、『土の街グランディ』まで後数日歩けば到着するとの事だった。

 そんな時に、俺の命綱とも言える『火の札』がついに在庫が尽きてしまった……


 俺にはやはり、日中と夜の温度の激しさに耐えきる事は不可能だった。

 ディアルスは火を起こさなくても平気なようだったが、俺にはとても耐えられなかった。

 だから震えながら手作業で火を起こした。

 やっとの思いで火を起こす事が出来、温まっていた……


 “ふぅ〜生き返った〜”


 安堵していると、突然起きた砂嵐………

 砂が激しく吹きつけてきた。

『結界の札』を使っていたお陰で、俺たちは吹き飛ばされる事はなかったが、砂嵐は俺の努力を脆くも打ち破ってくれた。

 砂嵐が収まった頃には、炎のほの字もなく綺麗に吹き飛ばしていた……

「うぅ……くそぉ〜」




 寒さに耐え続ける事、三日目……

 合計十三日かけ、俺たちは『土の街グランディ』の街並みが、見える所まで到着する事が出来たのである。


 “やっとの着いた……

 これで寒い思いをしないで済む……”


 そんな事を思っていると、ディアルスは俺の顔をチラリと見た後、街の方へ【竜巻のアーツ】を発動しながら猛スピードで走りだしていた。

 なにがなんだがわからない、俺もその後を走りだす。



 なぜ、ディアルスが突然走りだしたのか……

 それがわかったのは街の入り口が、ハッキリとわかった時だった。


 街の入口付近では、一方的な戦闘が開始されていた。

 逃げ遅れた人たちの悲鳴や、怒号が飛び交う。

 そしてアーツ同志のぶつかり合いも聞こえてくる。



『土の街グランディ』はアーツバスターたちの襲撃を行けていた。

 ぐっと力を込め俺も【黒のアーツ】を発動し、応戦に入る準備を整えた……











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