第十四話 合宿終了!
最下層から戻った俺達三人は、テントの中で三日三晩眠り続けた。
その間、ギレッド爺さんの計らいで、ベイウルフは合宿に途中参加し剣の基礎を教えてくれていた。
俺達が寝ている間に他の皆は『成長の剣』の進化に成功させていた。
この合宿は全員が『成長の剣』を進化させなければ終了はしない。
更に、皆はギレッド爺さんやベイウルフの戦闘訓練を受けてどんどん強くなって行く一方、俺達は先に『成長の剣』を進化させなければ、ギレッド爺さんやベイウルフの戦闘訓練を受ける事は出来なかった。
置いていかれるという焦りからダンジョン攻略するが、成果が出るわけもなく三日たっても俺達の『成長の剣』は進化する事はなかった。
リーサはあれ以来口数が少なくなり、俺がダンジョンで足を引っ張っても何も言わないし、ヴァルディアも少し余所余所しかった。
そんな事はお構いなしに皆は、夜になるとキャンプファイヤーを行い楽しんでいる。
俺達三人はとても楽しめる気分にはなれなく、遠目でそれを見ている事しか出来なかった。
そんな俺達の前に、ベイウルフが現れた。
「行かないのか?」
「そんな気分じゃありません」
「そうか………」
「『成長の剣』か…懐かしいな、俺もその剣のお陰で強くなれた……
お前達の剣はとっくに進化段階になっている。
ではなぜ進化しないかわかるか?」
ベイウルフの質問は確心をついていた……
なぜ進化しないのか?
その理由を俺たちはわからなかった。
「お前達、ドラゴンとの戦いで死にかけた事で、かなりへこんでいるだろう?」
「はい」
「えぇ」
そう、そこなんだ………
俺はドラゴンで片脚と肋骨を折ったが、それは教官に回復してもらって今はなんともない……
しかしリーサとヴァルディアは違う。
リーサは身体に大きな爪の傷跡を残し、ヴァルディアも左胸に大きな傷跡がある。
傷跡を見るたびに二人はあの時の恐怖を思い出し、戦闘中に脚が震え戦えなくなっていた。
それは今後大きな障壁となり二人を襲いかかる……
だから『成長の剣』は条件を満たしていても進化する事はない。
“では、俺の原因はなんだ???”
「ふむ、理由は分かっているが、解決出来ないと……」
俺たちはヴァルディアの質問になにも言えなかった。
このままでは、いつまでたっても進化はするはずもないとわかっていたが、どうしょうも出来なかった。
キャンプファイヤーも終わり、俺たちはテントへ戻り寝る事にした。
ギレッド爺さんはテントは使わず、野宿を満喫していた。
ガサガサ……
葉っぱの揺れる音がして、ベイウルフはギレッド爺さんの前に現れたのである。
「ベイウルフか…」
「えぇ」
「助かったよ、子供達の事……」
「その事で来たのですが、あの三人ヤバイですね……なんとかしないと」
「ふむ」
「それでちょっと荒療治になるのですが、耳を貸してくれます?」
ベイウルフはギレッド爺さんに提案の内容を伝えると、ギレッド爺さんはニヤリと笑いながら。
「その案、乗った!」
「しかし、問題もあるのですよ。
この方法がダメだと………」
「そうなれば、可哀想だがそこまでと思うしかないな」
「えぇ…」
ギレッド爺さんとベイウルフがなにを企んでいるのかは、次の日の朝すぐにわかった。
「ちょっとルーク起きなさいよ!!」
俺をゆすって起こしたのは、リーサだった。
「どうしたのリーサ?」
「周りを見てみなさいよ!!」
俺たちは確かにテントで寝ていた。
だが、しかし起きてみると見覚えのある場所にいた。
「あれ?ここは………」
「どうやらここは2階の広場だな」
ヴァルディアはそう言う。
確かにそんな気もするが、なぜ???
そして、この場所に来るとあの時の事を嫌でも思い出す。
突然空から、仮面を被った老人が現れた。
しかし仮面で顔は隠していたが俺にはどう見ても、ギレッド爺さんにしか見えなかった………
仮面の老人は【衝のアーツ】をノーモーション発動し、振り上げた拳を地面に叩きつけた。
それが衝撃波となり、石が牙を向いたかのように俺達に襲いかかる。
「なっなによ!こいつ!!」
「リーサ!ルークよけろ!!」
“やはりギレッド爺さんだよ!!”
俺は受け止め、リーサとヴァルディアは跳び上がり回避した。
仮面の老人の動きは素早く、俺たちの動きを全て読んでいるかの如く、次の攻撃をしかけてくる。
衝撃波で作り上げた爪でリーサを切り裂き、ヴァルディアにも左肩に大きな衝撃波を浴びせてくる。
「つぅ!!」
ドクンッ!!
あの時の事を呼び覚ます………!!
俺たちは、その場で動けず脚がすくみあがる……
そんな事はお構いなしに、仮面の老人は次々俺達を攻撃してくる。
次第にリーサの戦意は失ったかのように、震え出していた。
「もう、やめてよ!!私は………私は………!!」
「己の恐怖に負け、剣の道を捨てるか?」
「っ!!!」
リーサは仮面の老人に立ち向かいながら、
「怖いわよ!でも……そんな事で私は剣を捨てたくないわ!!」
仮面の老人はリーサの攻撃を全て避けながら、更に質問してくる。
「なんの為に?」
リーサは『成長の剣』を構え。
「何の為に?? 私はアーツを発動する事が出来ない。
だから私には剣の道!そうこの道しかないのよ!!」
「また強敵が現れて死にかけたらどうする?いや今度は死ぬかもな……」
「その時は、その時よ!
でもヴァルディアやルークを私は信じているわ!!」
「だから負けない!!」
そう覚悟した瞬間、リーサの『成長の剣』は形態を変え、進化した。
「えっ!『成長の剣』が………」
リーサの油断に仮面の老人は後ろへ回り込み、手刀一発でリーサを気絶させた。
「リーサ!!」
「おっとくるな!気絶させただけだ…次は誰が相手だ?」
「俺だぁぁ!!」
ヴァルディアは仮面の老人へと斬りかかって行く、しかしそれを片手受け止め、左肩にもう一発。
「ぐあっ!!」
倒れこむヴァルディアに仮面の老人は……
「貴様はなんの為に戦う?」
「なんの為?」
「そうだ!なんの為に剣を振るう!」
「俺は……」
「理由なき者に、剣を持つ資格はない」
その言葉を聞いた途端ヴァルディアは『成長の剣』を手放した。
「ヴァルディア!」
「俺は……俺は……」
「剣で困っている人達を助ける、冒険者になりたい……
でも親は俺に近衛兵隊長になる事を強く望んでいる……辛かった……嫌だった…」
「では剣の道を捨てるのか?」
「………捨てる………」
俺はヴァルディアの『成長の剣』を拾い、ヴァルディアに差し出す。
「捨てるな!ヴァルディア!
俺はまだ三人でダンジョンに行きたいし、一緒に二学年に上がりたい!!だから!!!」
「ルーク………」
ヴァルディアは俺から『成長の剣』を受け取り、仮面の老人の方へ向き直す。
「何の為に貴様は、剣を取る?」
「俺は、冒険者になっていろんな所を旅する!
そしていつかドラゴンにリベンジする!だから剣は捨てない!!」
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ヴァルディアは仮面の老人に向かって行った、そして剣が当たる瞬間、リーサと同様に『成長の剣』は形態を変え、進化した。
「!!」
「見事!だがまだ甘い!」
仮面の老人はヴァルディアを殴り飛ばし気絶させた。
「うっ………」
そして残るは俺だけになった。
「さて、次は貴様だな」
「………………
これはどういう事なんですか?ギレッド先生……
こんな荒療治でリーサとヴァルディアがもし立ち直らなかったら、どうするつもりだったんですか!!」
「俺はギレッドという者ではない……」
「とぼけないで下さい。【衝のアーツ】の使い手はギレッド先生だけですよ……」
「チッ……」
仮面の老人は仮面を外した。
やはりギレッド爺さんだった。
「記憶力のいい子供は嫌いではないが、ルークはなんでも先に物事を考えすぎるな……
だから剣に迷いが出る……」
「………」
「さて、ルークにも問おう…何の為に剣を振るう?」
「………」
「そう……答えられないよな……
ルーク、お前には理由がない……だからお前自身が成長しない……」
「違う!!俺は、アーツハンターになって、そして村の皆を殺したアーツバスターを倒す!
それが俺の剣を振るう事です」
「復讐は、新たな復讐を産み出すだけだ。
そんな理由では儂はこれ以上お前になにも教える気はないし、『成長の剣』も永遠に進化はせんぞ」
「でも!!俺は!!」
「衝撃掌!!」
「ぐはっ!!」
ギレッド爺さんの拳は俺の身体に直撃し、身体の内部から破壊されるのがわかった。
「うっうぅ………」
その場で倒れ込みギレッド爺さんは、俺をただ黙って見下ろしていた。
「だって………アーツバスターの事を常に考えていないと、夢の中で村の皆が苦しむんですよ!!
俺は……それを助けたい………」
「………だから復讐して楽になりたいと?」
「はい……」
「そうか……わかった……」
ギレッド爺さんは俺の右腕を掴み、左手で衝撃波を作り出し俺の右腕を砕いた。
「うわぁぁぁぁ!!!」
「左腕もだ、二度とアーツも剣も振るえない身体になれば、諦めがつくだろ。
ルークお前は、普通の人間に戻れ……」
「はぁはぁ…普通の人間ってなんですか!?
家族もいない!村もない!そこにどんな幸せがあるのですか!!」
「ルーク!!!」
ギレッド爺さんの衝撃波が俺の左腕に直撃する瞬間、雷が間を割った。
「!!!」
「……なぜ邪魔をする?ベイウルフ?」
ベイウルフはゆっくりと歩いて来る。
「ギレッド師匠、頭に血が昇りすぎですよ……」
「儂は冷静だ!」
「いえ……もしここで、ルークを再起不能にした場合。
その責任はギレッド師匠、貴方に向くのですよ……
アーツバスターを殲滅できる唯一の鍵を………
その覚悟はあるのですか!!」
「っ!!」
ギレッド爺さんはなにも言わず、その場に座り目を閉じた。
どうやら俺の出す最終結論を待っているようだ。
そして、その結果次第でギレッド爺さんも覚悟を決めるつもりだ……
ベイウルフは、リーサとヴァルディアを担ぎ俺の方を振り返ってきた。
「俺はこの二人を連れて、先に上に戻る…今後の事だよく考えろ」
俺は右腕を抑えながら
「はい………」
俺を一人にさせてくれた。
“復讐では、『成長の剣』は進化しない……じゃ俺はどうすれば……”
俺はしばらく考えた
そして…………
「ギレッド先生……」
「んっ?」
ギレッド爺さんは目を開け、俺の方を見つめる。
「俺は、やはり復讐を諦める訳には行きません……」
「そうか…ならば儂も覚悟を決めよう……」
「でも!今は今を楽しみたいです!
皆と強くなって、卒業したい!!そして……」
「そして?」
「……そして……復讐だけに拘らず、アーツバスターの脅威を牽制できるそんな大人に俺はなりたいです」
「………言い訳だな……儂には言い訳にしか聞こえんぞ」
「くっ!!」
「ではルーク、その覚悟儂に見せてみろ!」
ギレッド爺さんは立ち上がり、俺に向かって来た。
俺の右腕は砕けたままだった、痛みを堪えながら左手でギレッド爺さんの攻撃に備える。
ギレッド爺さんの拳が当たる瞬間、俺も剣を振り下ろす。
「!!」
ギレッド爺さんの拳は俺の剣が当たる前に直撃し、俺を吹っ飛ばし5.6回転転がり周る。
「はぁはぁ……いっいてぇ……」
「お前の覚悟はこんなものか?」
「うおぉぉぉぉぉ!!」
俺は立ち上がりギレッド爺さんに向かっていく。
しかしギレッド爺さんは、
「衝撃連弾」
衝撃波の塊を無数に作り出し俺めがけて飛ばしてくる。
中々、近づけなかった。
「くそっ!!」
“反則だよな、あの強さ………”
「はぁはぁ」
「そんな物か?お前の覚悟は……?」
「くそっ!くそっくそっぉぉぉぉ!!!」
“ギレッド爺さんを倒したい!認めてもらいたい!”
俺の頭の中でそう聞こえてきた。
「はぁはぁ………決めた!!」
「?」
「今は無理かもしれないけど、卒業までに絶対ギレッド先生から、一本取る!」
「!?復讐するんじゃないのか?」
「ギレッド先生から、一本取れないで復讐なんて夢のまた夢ですよ!
だからギレッド先生から必ず一本とります!!」
そう覚悟を決めた瞬間『成長の剣』は、突然形態を変え進化した。
「おっおぉ〜!」
「……その覚悟『成長の剣』が認めたようだな……ルークその覚悟忘れるなよ……」
「はい!」
ギレッド爺さんは歩き出したが、立ち止まる。
「これで、皆進化したな」
「あっ!」
「ルーク、しつこいようだが儂は、復讐には反対だ…
復讐を遂げた先に、お前はなにを求める?」
「………」
「卒業までに儂に一本いれるんだろ?」
「はい!!」
「その時までにその答え聞かせてもらいたいものだ……」
“復讐を遂げた先になにを求めるか…………”
ダンジョンから出てきた俺に、リーサとヴァルディアが迎えてくれた。
「ルーク大丈夫?その腕……?」
俺はリーサに指摘された途端、右腕の痛みを再認識した。
「つうっ!」
「ほんとっあんた鈍感すぎ!!」
ヴァルディアは、俺の左側に回り肩を貸してくれた。
「あっありがとう…」
「俺の方こそありがとう」
俺は教官にまたか!?
とあきれ顔をされながらも回復してもらった。
「まったくあの仮面の老人一体誰なのよ!!えらそーに!!」
「………」
「いやー強かったよね………」
「いや、あの人は……」
ごほんっ!
「さて、もういいぞ!」
教官の咳払いに俺はその先を言うのをやめた。
俺は教官に、お礼をいいテントへと戻って行った。
今日の夜もキャンプファイアーだ。
俺達3人も今日は楽しく参加する事が出来た。
「随分時間がかかったな……、
お前達が、もたついていたお陰で、俺はもう一段階強くなれた……
今度戦う時は地べたを這いずり回してやるから覚悟しとけ…」
言いたい事だけ言ってきたのはライトだった。
俺の返事を聞かぬまま、ラスティの側へと歩いて行ってしまった。
ベイウルフが一人でいる事に気づき、俺は側へ近づいて行った。
「あの……」
「ん?」
「ベイウルフさんは、これからどうするのですか?」
「また、旅に出ようと思っているが、それがどうかしたか?」
「……戦闘訓練してもらっていないなと思いまして………」
「今、セルビアの所にいるんだって?」
「あっはい」
「俺よりあいつの方が、強いぞ」
「えっ?」
“まじですか!!!!”
「まぁ俺は、セルビアに会ったら殺されるから逃げる、悪いな」
「…………」
キャンプファイアーの火も消えかけ、夜も大分遅くなった頃……
「よし、皆聞け!!」
ギレッド爺さんは皆を集め話し始めた。
「約10日間の合宿皆ご苦労であった。
皆が皆、『成長の剣』を進化させる事が出来た。
明日はロールライトへ帰る!
次の日は学力の進級テストがある、それが終わればすぐ二学年だ!」
「!!!」
“しっ進級テスト!!!聞いていないよ!!!”
「ルーク、勉強してたか?」
そう聞いて来たのはヴァルディアだった。
「してないよ………」
「あんたたち、馬鹿よね」
「リーサはしているの?」
「もっもちろんよ!!」
「俺の家で勉強合宿するか?」
「うん……リーサも一緒にやる?」
「いやよ!!庶民の家になんて私入りたくないわよ!!」
「………」
“変わってないな〜リーサは……”
「でもどうしてもと言うのなら、行ってもいいわよ!」
こうして俺たちは、ロールライトに帰った後、ヴァルディアの家で勉強合宿をする事になった。
「一応、ルークとリーサの家には連絡しておいた方がいいよな」
「あっそうだね」
「あぁ、私の家はしなくていいわよ、連れ戻されるから……」
「じゃ俺もいいよ、明日の進級テストが終わったら帰るから」
「そうか、わかった。じゃ俺の家に行こうか」
ヴァルディアの家に向かうと途中、誰も使っていなささそうな小屋の電気がついている事に気がつき、足を止める
「どうした?ルーク?」
「いや、あの小屋電気ついてる………」
「ほんとだ、おかしいな。こんな時間に……」
「そんなのはほっといて、早く行きましょうよ」
「そうだな、一応家に帰ったら父さんに話しておくよ」
「うん」
ヴァルディアの家に着くと父親と母親が迎えてくれた。
「ヴァルディアおかえり、合宿はどうだった?」
「なんとか、うまく行ったよ。
それで明日進級テストがあるんだ、みんなで勉強をしようと思うんだけどいいかな?」
ヴァルディアの父親と目が会い、俺とリーサは会釈した。
「この人達か?」
「あぁ、リーサ・フォン・ルーベルトとルーク・ゼナガイアだ」
「フォン?」
リーサの名前を聞いた時ヴァルディアの父親の顔色は変わった。
「フォンの名を持つ貴族の方がなぜ、このような場所へ?」
「勉強に来ただけよ」
「我が息子、ヴァルディアとどのような関係ですか?」
「うるさいわね〜いちいち…友達よ!悪い?」
「……友達?ですか?貴族の方が庶民の我々と友達?」
「父さん!失礼だよ!」
「はぁ〜気分が悪いわ!私帰る!」
「リーサ!」
「なによ!!」
俺はリーサの手を掴み静止する。
「貴族とか、庶民とかそんなの関係なく俺たちは友達なんだろ?」
「えぇ、そうよ」
「なら、帰るなよ」
「………」
ヴァルディアは父親に、再度確認すると、好きにしろという返事があり、母親は夜食作るねと張り切っていた。
そして先程家に帰る前に、小屋の電気がついていた事をヴァルディアは父親に話ししていた。
ヴァルディアの部屋は本棚と勉強机、そしてベットのみしか置いていなかった。
「さて、早速やるか!!」
俺達はみっちりと夜遅くまで勉強をした。
リーサが殆ど覚えていた為、三人の勉強会というより、俺とヴァルディアの勉強会のような気がしてリーサに悪い気がした。
「あんた達、授業中なに聞いていたのよ?」
「えっ?体力回復の為、寝てる」
と答えるヴァルディア。
「確かに、体力回復は大事ね……ルークは」
「俺?俺は〜字が読めない」
「えっ?!」
二人に驚かれ、慌てて弁解をしてしまう。
「いやだって、俺がいた村は字が読めなくても将来困らないし……」
そうなのだ、街に行けばそれなりに字の読み書きが出来ないと困るのだが、村から出ない生活の場合、必要なのは、どうやって生活をしていくか?のみだった。
だから俺の村で字の読み書きが出来たのは、村長や商人だけでなくてもまったく困らない為、俺は今まで一度も字の勉強はした事ないのであった。
「それで、字はわかるようになったの?」
「半分ぐらいかな……」
「はぁ〜………ヴァルディアはあんたもう寝ていいわよ。
大体頭に入っているし問題ないと思うわ。
問題はあんたよ!字の読み書きが出来なきゃ意味ないじゃない!」
「そうなんだけど、なんとかなるかな〜って………」
「なんとかなるかぁ!!」
リーサとヴァルディア同時に怒られてしまった。
それからリーサは俺にマンツーマンで字の読み書きを教えてくれ、気がつけばもう朝になっていた。
「リーサここなんだけど……」
「んー」
疲れたのか、リーサは寝てしまっていた。
俺はそっとリーサに毛布をかけ引き続き、字の勉強を頑張ったのである。
そして、寝不足でちっとも頭が働いていない状態で、進級テストが始まってしまった。
リーサと一緒に字の勉強をしたおかげなのか、字は殆ど読める事が出来た。
進級テストの問題を解く事は………
だったけど……
進級テストの結果は30分も待つとギレッド爺さんが、機嫌良く居室に現れた。
「皆、合宿に続き進級テストご苦労であった………
さて結果だが、おめでとうみんな揃って進級だ」
おおお〜という声が居室に響き渡り、すぐに静かになる。
「一ヶ月後より、二学年になり新たな試練を儂は用意しておく。
それまでの間己の鍛錬を怠らず過ごして欲しい」
「はいっ!!」
「それでは今日はこれで終わる。解散」
こうして俺は、二学年に上がる事が出来た。
そのお陰はリーサ、ヴァルディアだ、俺は二人に感謝したい!
“ありがとう!!!”
一学年編終わりです
次は二学年編に話は変わります
よろしくお願いします!!




