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テイルズオブサイレンス  作者: 敬愛
ファイナルアウト ~邂逅への道~
99/100

犠牲

 コルドであった物からフラウにテレパシーが入った。

 「うん、うん玄武と朱雀が動いてくれるのね。ありがとうコルド。お疲れ様」

 皆さんジルバの方角に向かって逃げて下さい!フラウが叫ぶ。

 どういう事か分からないがみんながエルクスを通ってジルバへと向かった。

 シドは正気を失いマルク全土を今や破壊し尽くしそうな勢いで暴れ回っている。


 マルクの住民たちはジルバに着きそうになった頃、静香がフラウが居ない事に気付いた。

 「フラウ様?」

 (大丈夫。シドは私が抑えておきます)

 「何故ですか!?」

 (かつて私を育ててくれたシド。私の恋していたシド。愛着があるの。貴方達は元居た世界に帰るのです。任せて下さい。私ならシドを倒す事も命懸けですが出来るのだから)

 「そんな……」


 「おいおい早くしてくれんかのう」 

 「そうじゃ待ちくたびれたわ」

 「我等とて命懸けだと言うのに」

 「ほっとかされて」


 玄武と朱雀がゴチる。

 「ねぇ、ワンダオブシュリビオンはどうなるのですか?」譲が訪ねる。

 「お前たちの居た地球に落下するのだ」玄武が答える。

 「そんな事、危険です、地球が!」

 「心配するな。丁度海面に落ちる様にジパングとエリシュオンはなっておる。場所もお前達なら詳しかろう、バミューダ―トライアングルと呼ばれる場所じゃ」朱雀が答える。


 「行くぞ」メキメキメキと言う音を立ててエルクスが崩壊を始める。

 「ヒュー!ダイブだぜい!」

 「わしゃ怖いのう……」


 グワンと言う音を立ててジルバは物凄いスピードで落下、いや上昇しているのかそれすら分からぬスピードで動く。万有引力は無いようで吹き飛ばされる者は居ない。


 「フラウ様!」静香王の最期の絶叫の声はフラウに届いたのだろうか……。

 気付けば大陸ジルバは正にバミューダ―トライアングルの中心部に落下していた。

 「記憶を消すぞ」朱雀が言う。「何故?」静香王が訪ねる。

 「案ずるな。お前とマリアードと名乗らされていた健人と言う男の記憶だけだ」

 「さぁ玄武我等最初で最後の花舞台だ! やるぞ!」


 玄武と朱雀の意志が二人の魂に乗り替わり地上へ着く頃には石像となっていた……。

 譲は男に戻っていた。「全てが、終わったのか?」

 地上ではTVや国家の一部が新大陸の誕生を大々的に取り上げ救助隊が派遣されていた。

 ジルバであった物は重力に耐え兼ね徐々にだが水没していたからである。

 

 

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