フラウと静香の覚悟
そこへジルバで気絶していたフラウがなんとかマルクに到達した所だった。
「シド!かつての師の恩を忘れ、仇で返すか!」フラウは怒りに震えている。
「ぐわぁぁぁ!ふはははは!全て壊してやるぞ。こんなちっぽけな世界に最早価値など無いわぁ!」
フラウはコルドを呼んだ。「コルド分かっているわね。この世界の理が例え壊れたとしても一人でも多く生き残って欲しいから!」「キュー」
フラウは静香王に言った。「こうなったからにはファイナルアウトを発動する以外破滅への道を避けられないでしょう。貴方にしか出来ない事なの。勇気はあるかしら?」
「フラウ様どうやら貴方たちともお別れの時が来たようだ。我々は滅亡なぞ望んではいないが、このまま魔王として覚醒したシドを放っておいてはみんな死んでしまう。最後の手段ですがファイナルアウトを発動させましょう。今までありがとうございました」
フラウは涙を流しながら「犠牲が多すぎたわね。それも全てはシドと幼い頃の私の過ち。さぁこの世界を壊すのです!」
「フラウ様大丈夫。私が上手く四神獣を操れば被害は最小限に留められるかと」
「ああ、ありがとう。静香貴方は神になるの。私もシドも成れなかった神に。健人君の事ゴメンね」
涙ながらに別れを告げるフラウ。もう二度と静香王は転生も自分の居た世界に戻る事は出来ないのをフラウは知っていたから、静香王も知っていたから……二人はそっと寄り添って抱き合った。
コルドは静香王の肩にちょこんと乗る。
「この地を守護する四神獣よ、目覚めよ!今 この世界に新しい光が満ち満ちますように願うぞ、ファイナルアウト!」
するとコルドは四本の槍と変化し東西南北へと飛んで行った。世界が揺れ始め地割れが起きている。
静香王は譲・ジョージ・モリス・カイベル・プレードを呼んだ。「皆さんお別れです。シドの足止めご苦労。この世界は再構築されます。」そして「譲、お別れだわ……貴方の事ちょっと異性として見てたよ。元の世界でも健人と上手くやってね」
静香王は自らの内部から光となろうとしていた。