秘かなる再会
「何が起こってるんですか!?」譲は焦りの表情を隠さない。
大僧正は「静香王がファイナルアウトを習得の為に試練の間に入っている。防壁はキューアを総動員して作ったのじゃが、激しい攻撃を受けて…… もうもたなそうじゃ」と言った。
ジョージとモリスが譲がトリプル属性を習得した事を大僧正に伝えると流石異世界の者だと感嘆の表情に変わり希望の光が譲と静香である事を再確認したようだ。
いずれ破られるだろう結界、分からない向こうの戦力、今は囚われの身であるが、フラウ様を救出する為にはジルバと正面から激突する以外無さそうなのは今みんな理解したようだ。それが圧倒的不利な戦闘になるであろう事も……
来ました! オペレーションのキューアが叫ぶ。
結界が天蓋からがらんと崩れ落ち埃が辺りに舞い散る。
そこには銀髪で長髪の男と美しい肢体の少女、他には黒い鎧を着た男が数名立っているだけであった。
譲は拍子抜けした。この程度の戦力しか無いとは思ってもいなかったからだ。
女をよく見ると額に菱形のアクセサリーだろうか? 何かが張り付いている。
男は長身で武器は持っていないようだが。
とりあえず静香王が帰ってくるまで時間を稼ぎたい。譲はセイントの力を早速解放する。
「堕天光臨強襲破!」空から光属性の隕石を呼び出す。「壊!」
これで相手が魔の属性ならば身体を拘束し、毒が回るように動けなくなる。
女の方は輪にすっぽり挟まれ身動きが取れず苦しそうにしている。
一気に決めてしまおうと譲は円輪呪縛法で切り裂こうとする。
しかし男が立ちはだかり手でそれを破壊した。どうやら傷一つ負ってないようだ。
「ちっ」と舌打ちして譲は「もう!七面倒臭い男ね」と悪態をつく。
その時辺りに眩い光が満ち満ちてそこにいた者達は皆目くらましの状態となった。
「何よ。一体」譲は必死で視界を取り戻そうとした。そこに居たのは静香王であった。