フェルドナドの最期
フラウが目覚めた時には辺り一面火の海地獄であった。
「何が起こっているの?」シドは言った「謀反さ。面倒だなぁ」
フェルドナドはいなすような感じで「あらお嬢さんお目覚めですか。死ぬ前に逃げた方がよろしいですよ」そう言って笑っている。
「馬鹿にしないでよね」明らかにフラウの口調が変わった。「こういう事なら仕方ない。何故マルクはこの長い事モンスター等、それもS級のもいたわね、その中で平穏無事であったのは、この私フラウ・アリス・ザックハルトがワンダオブシュリビオンで最強の召喚術師であったからよ」
「なんだと?」フェルドナドの顔色が変わる。怯えの表情が見える。
「まさか貴様が伝説の聖と魔の最高位の召喚を行えるマスターオブシュリビオンだとでも!?」
「その通り。悪には悪がふさわしい。ルシファー、ベルゼブブおいで!」
「そ、そんな馬鹿な!最上級の召喚をしかも思念体で行っていたとでも言うのか?」
後ずさりするフェルドナド。ルシファーの漆黒の翼で覆われたバハムートは炎をまき散らすが、堅固な黒い闇が視界を遮るのみ。そしてベルゼブブの幼虫である蠅、それも無数の蠅が翼の隙間からバハムートの息の根を止めんべく侵入する。ルシファ―の翼が開き放たれた時にはバハムートは骨すら残っていなかった。
「ふふふ、フラウよやはりお前に広い場所を与えると恐ろしいな。禁呪の塔に留めおいた方が良かったか」
「ふん、一度使うとかなり長い期間魔力が0になるのよ。完璧じゃない」
マリアード後はブラックアウトの要領で魔剣から魔獣を召喚し壁を撃破しろ。我はフェルドナドをやる。
「ひぃぃ、シド様命だけは! 命だけは!」そう言ってシドが近づいて来た時にジャケットの中の鎖帷子からとブーツの仕込み刀を投げた。しかしシドには全く届かない「あれ? あれ?」狼狽するフェルドナド。まるでシドの周りに壁でもあるかのようだった。
シドはすーうっと右手に仕込んでいた剣を天に掲げ「色即冥界破……」そう呟くとフェルドナドの体が宙へと上がっていく。「え? え? ぐわぅ、ぐわおーん!」フェルドナドは断末魔の叫びを上げ風船の様に破裂した。