ギューン死す
すっと魔剣を取り出すマリアードを制するようにしてギューンは意を決したようにシドに告げた。
「シド様私もかつてシド様へ謀反の気を覚えた事がありました。貴方は強すぎる。心も体も。どうしても越えたい壁でした。しかしやはり長年の恩義には敵いませんでした。最期になります。私がフェルドナドを滅しましょう」
その間にもバハムートの炎撃は続いている。シドが言う。「まさかフェルドナドが裏切るとはな。私でも全く予測不能の事態であったぞ。ギューン命を賭すのはいいが死ぬなよ」
そう言われ無言のまま最終兵器を取り出す詠唱に入るギューン。「ドラゴン……ランス」銀色に煌くギューンの背丈の2倍はありそうな槍だ。「行くぞフェルドナド!」
フェルドナドは笑って「果たして通用するかな? この世界でも五指にも満たない数少ない召喚術師である私の最強の召喚獣であるバハムートに!」
やってみなければ分からない。手に汗握るギューンは次のターゲットと認識された自分自身に最大限までバハムートを引き付ける。そして今炎を放とうかと大きく開けた口に向けて……突っ込んだ。
「喰らえ! ドラゴンランス!」
バハムートの口の中に命中した、が放たれた炎の勢いが強い。ドラゴンランスの展開していた耐久フィールドがとろけ落ちていく。「くっそー! 死ねい!」身体ごと炎を切り裂いたかと思った瞬間、銀色の槍は無残に溶けていった…… 炎の直撃を受けプスプスと煙を上げ横たわるギューン。
シドはギューンの傍に駆け寄り「よくやったなギューン。お前を第1師団の団長に指名した私の目に狂いは無かった。最期まで忠誠を誓ったな。後は私に任せろ」その言葉を聞いて涙するギューン「どうか、どうかジルバに栄光あれ!」そう叫ぶとガクッと首を折れた。
「フェルドナド貴様は許さんぞ。私は王の名など要らないがマルクとマリアードには私の希望があるのだからな。その邪魔をした罪死んで償ってもらう」
フェルドナドは余裕だなと言う顔をしてバハムートを操っていた。