精霊力
「ちょっと試してみたい」プレードは言った。
譲が気絶状態から回復するとすぐに「まずは火だ」
そして「全てを業火の元に包みたまえ 我に力を貸したまえ聖霊よ」と言えと
意識を取り戻した譲に言った。
朦朧とした意識でそう唱える譲 すると両の掌に周りから火の粉が集まってきて譲の掌が燃える。
「今だ放て!」プレードが言うとおりにすると爆炎が玉となって神殿の壁にめり込んで破壊した。
「これは火の精霊の力だ。ここまではジョージとモリスも使えたが魔力量が半端ではないな。完璧に覚醒したか」
「では次だ」プレードに言われるまま精霊を使う譲だが驚きを隠せない。
「こうだ、大地の恵まれるまま豊穣の水よ 流れ賜え聖霊よ」そして手を上に揚げるように指示されたのでその通り行う譲。するとスコールの様に室内に雨の如く水が降ってきて辺りが水で埋まる!「今だ放て!」言われた通りにすると譲のかざした手に巨大な水球が出来、目的物を襲う! これでは人に放てば呼吸が出来なくて死んでしまうだろう。何しろ巨大な水球が対象物であるピアノをすっぽり覆ってしまってまだ余りあるのだから。
聖・魔・火・風・水・雷・地の内どうやら魔導以外の力は習得したようだ。プレードも驚きを隠せない。「譲君完全に覚醒したな! ジョージとモリスでも二つが精一杯だった。ジョージは火を得意とし、モリスは雷が得意だが、君の場合どの能力も甲乙着け難い程完成されている。これはセイントとして完全に覚醒した事になるし、正に攻撃的セイントだ。戦いにおいてもまずひけを取らないだろう」プレードは言った。
「そうですか! 嬉しいです、ありがとうございました」譲は礼を言うと神殿から出て行った。
「頼むぞ」プレードは祈るような気持ちで譲を見送った。「おっと忘れものだ」「はい?」「コルドだ。この子を連れて行ってくれ。じゃないと困る」 「あ、はい分かりました。何だか気持ち悪いなぁ」「そう言わないで可愛がってくれ」「分かりました」再び神殿から出て行った譲。「ホーリーベルがカギとなるだろうな、カイベル」「まさか聖の力を習得するとは思わなかった。彼女は神の子かも知れないな」カイベルも驚きそして光明を見出したように祈った。