カイベルとプレード
「カイベルそちらはどうなっている?」プレードがテレパシーで問いかける。
「こちらは静香王がファイナルアウトの儀式の習得中である。鍵は?」
「問題無い。コルドは譲君に私が届ける様に言おう。静香殿に動揺は?」
「ああ、まだファイナルアウトの真実は告げていないから落ち着いた物だ。今の所誤魔化せている」
時間だけが流れている……譲はプレードに詰め寄る、さぁセイントにちゃんとしろと。冗談ばかりで全くクラスチェンジさせて貰える気配が無いのは譲も鋭く勘付いている。だから焦る。
そのピリピリした譲の雰囲気を察しながらもここが重要な所、肝要な所である。
カイベルと会話を続ける。「ファイナルアウト発動の可能性は?」「五分五分だろうな」
「ちょっとプレードさん誰と話しているのですか!?早くセイントにして下さい!」譲は静香の事もあり苛立っている。
「分かった、分かった。そう焦るんじゃない」
「焦りますよお」
プレードは少し鬱陶しいなと感じながら魔方陣を持っている杖の先のペンで書き始めた。
「小一時間待ってくれ。君の属性次第ではセイントの能力の中でも飛び切りの物が付くかもしれないのだから」
全く未経験の為に若干混乱しながらも少しのワクワク感と不安感で譲は軽い眩暈を覚える。
神殿の中なのに何だか寒いような気がする。
それは期待感故の誰もが感じる変化への兆しなのだろう。