ファイナルアウトの秘密
「さぁお時間はまだまだ御座います。お茶でも如何ですか?」
カイベルがパチンと指を鳴らすとポンッとテーブルと恐らくダージリンであろう紅茶が出現した。
「何をふざけているカイベル。ファイナルアウトの秘密を話せ」静香王は苛立った様子で問い詰めた。
カイベルはやれやれと言う顔をして疲れた表情で言った。
「ファイナルアウトとはマギドPCを介さず転生する術、と言ったら若干齟齬がありますが、つまりコピーを作るのです」
「何だとコピー?」静香王はこれは驚いたという顔をしている。
「かつてシドと言う人間がいました。異世界から召喚された者です。譲さんやあなたの様に」
「ふむ、そして?」 ますます焦る様子の静香王。
「そしてその青年は恋をしました。それがフラウ様、このワンダオブシュビリオンの絶対的神、そして今は偽物の身体に入っています。魂が違うのです」
「何故にそうなった?」ますます疑問、疑問だらけだ。
「それはですね…… 二人は性行為で子を成したのです。フラウ様はその罰として四神獣により半分の力を剥奪される事になりました。そして生まれた子供マリアードはすぐに死にました。シドとフラウ様の落胆ぶり、特にシドは発狂せんかの如く怒り運命を呪いました」
「そして?」
「はい、静香様と同じくファイナルアウトを習得する為にこの王者の試練に入る事にシドは決めたのです……」
そして…… 失敗し呪いをかけられた。そういう事か。静香王は心を見透かした様に呟いた。
「はい、シドは死ねない身体になり未だその赤子マリアードの魂の成長を夢見ていたのです。それがジャパンに産まれた健人君だと知ったのです」
そんな…… 静香王は絶句した。