授かり物
「ぐふふぐふふ」
お化けのような姿をした者はこんな喜ばしい事は無いかとでも言うように笑った。
かと思ったら「シュルン」と言う音を立ててその者は狐の姿に変わった。一瞬何か光か走ったような気がしたが……
「こらこらコルドお客様相手に馬鹿にするような事をしでかすでない」そう言われたコルドと言う者は今度は素っ裸の女性に姿を変える。
譲は慌てふためくが同性だと言う事を思い出し、無視して先程声を放った人物にコンタクトを取る。
「貴方がこのマーダ神殿のマスターと言う事ですね」
鋭い勘で言い放った。
「そうだ。プレード。その実は転生・ジョブチェンジ・必殺技何でもござれの隠居爺、もう長すぎて忘れてしまったな」
譲はセイントになりたいだけなのに色々なおまけが付いているようだ。有り難い事ではあるが……
「プレード様、私、セイ……!ちょっとコルド止めてよ。くすぐったいわよ」
コルドは譲の長い髪に興味があるようで艶やかな手で髪を撫で擦ってくる。
プレードは言った。
「コルドが貴殿に興味を持ったようだな。よきかなよきかな」
何が良いんだかさっぱり分からないが早く本題に入らせて欲しい。
「セイントのジョブチェンジがお望みなのだろう?試験は無いからすぐ名乗りたまえ」
プレードは神殿の柱を見つめながら言った。「そうだあの柱を真っ二つに出来たらセイントの必殺技とコルドを与えてあげるから」 明らかに適当に言うプレード。コルドを与えてもらってどうするんだよ! と言う顔をしている譲に仕方ないなと言う感じでプレードは辞書でも読むかのように棒読みで「コルドは四神獣が作り出したオスでもメスでも無い哺乳類。唯一の。そしてファイナルアウトのキーとなるんだよ」
譲はファイナルアウトと言う物は何だろう?初めて聞いたものだからビックリしている様子であった。
「すいませんファイナルアウトって何ですか?」仕方なく聞いた。
「それはどうでもいいからあの柱を円輪呪縛法で切りたまえ」プレードに雑に言われたので、譲は少し怒りを込めて「そーれ!円輪呪縛法!」と唱える。キーンと言う音を立てて柱が切れた。そしてこれでいいんでしょと言う顔をした。