静香の決意
静香王は、暗く冷え冷えする階段を降りていく。どれほどの時間が経ったのだろうか? 一つの扉が現れた。
「ここが王者の試練の入り口だろうか?」その時背後からの攻撃を受けて吹っ飛ぶ静香王。
「な、何だ!」静香王は戦闘態勢を整えた。
「何者だ?」その影が言った。静香王は戦闘態勢を解き、真っ直ぐその影に向かって言った。
「私はマルクの王。フラウ様の命でここでファイナルアウトを習得しに来た」
「そうか。貴方がな。我はカイベル。ワンダオブシュリビオンでは既に2400時間経過しているところまで来てしまった。フラウ様はおそらく処刑されているだろうね」
その男は若干寂しそうに言った。
そんな事はありませんよ」静香王はなだめるか励ますかのように言った。
「根拠は?」カイベルは聞く。
「私達がマルクで結界を張っている事を貴方は知っている。ここにはどうやら君しかいないようだ。フラウ様と私と同じように交信しているのだろう?騙そうとしても無駄だ。何を隠しているカイベル?」
カイベルは嘘を見抜かれた事にはさほど動揺せず「何から教えたらいいものか……」と首を捻って「フラウ様は確かに生きている。ファイナルアウトについて説明する事、承っている」
「何ですか?もったいぶらずに教えなさい。私は自分の命を賭けてもこの世界は守りたい。情が伝染ったかも知れないな」
カイベルは言った「お察しの通りです、静香様。さあまだ24.000時間あります。楽しみましょう」
やれやれと顔を曇らせながらただ使命感に燃えているかのような素振りも見せるカイベル。ここから静香の試練が始まる……。