禁呪の聖堂
禁呪の聖堂がフラウの念によって揺れ始めた。ギューンとフェルドナドは黙って見守っている。
しかし様子が変だ。結ばれた結界が壊されそうになっている! シドは「フラウ貴様!」と叫んだ。
ギューンやれ! シドは言う。「分かりました。ブラックアウト!」空間に歪みが生じたかと思うとその中から低級の悪魔が溢れだそうとしている。そしてその奥底には禍々しい邪気を持った上級の悪魔がその低級の悪魔共を吸い込んで自分の力にしてどんどん増幅していく……がフラウが「ホワイトアウト!」と唱えると暴風が起こり悪魔達はギューンの作り出した黒い穴の中に「グググ……ギュー!」と断末魔の悲鳴をあげて追い込まれていった。
「だから言ったじゃない」
「フラウ、貴様我々を道連れにするつもりで……」
「最初からそうよ……」
しかしフラウはかなり魔力を使ったようでその場にしゃがみ込む。「この小娘が!」フェルドナドが短剣を幾十本フラウに向けて放とうとするが、すんでの所でシドがそれを止めた。
「仕方ないな……フラウ昔の約束を忘れたのかい?」
「とっくの昔に忘れたわよ!」私をどうする気? と言った顔でフラウがシドを睨む。
それならばこれを使うよ。そう言ってシドは右目に指を入れ目玉を取り出した。
「それは……」
「君の大切な人を呼び寄せ拷問にかける」
「待って!!それだけは……」
「ならばエルクスを昔のように戻すか?どうだ?」動揺しているフラウに追い打ちをかけるように問うシド。「分かったわ。でもホワイトアウトで魔力を使ってしまったの。二週間程塔で休ませて……」
「君も分からない子だな。あんな汚い所で何をするというのかね」
「落ち着くのよ……」フラウはギューンとフェルドナドに一瞥をくれ塔に戻る事にした。