結ばれた印の力
モリスとジョージがお手本を見せてくれた。
まずジョージがこの国の言葉(理由はわからないが日本語が通じるのだが)ではない音を唱え、最後に出でよ円輪呪縛法!と言った。近くにあった中世の騎士の銅像に光の輪のようなものが凄いスピードで向かっていき円輪が絡みついたかと思うと銅像の腰のあたりから切断面がまるで静かな沼の表面のように見えるくらい鋭利に分断された。ジョージは言った「円輪呪縛は難度が高いよ。攻撃力も高いしな」
モリスも後に続きこの国の言葉ではない言葉で印を胸の前に結びながら詠唱し最後、泡状立方法! と叫んだ。すると緩やかにジョージの元へ向かっていき泡がジョージの体を包んだ。
ほら譲レイピア貸してあげるからジョージを突いてみなさいとモリスは言った。
「え、危ないよ」と私が言うと「大丈夫。やってみなさい」と言われたので「えいっ!」と泡に包まれたジョージを突いた。
その瞬間パチンと音を発てたかと思うとジョージが後ろから私の肩を叩いた。
「え?」
「モリスどういう事?」
モリスは「泡状立方法は一種のテレポーテーションなの。泡に包まれた対象者に何かが触れると肉体は一瞬液化して他の場所で再構成されるの。これも結構難しい部類ね。でもBランクだから。Aランクもあるのだけどそれはジョージに聞いて。私はBランクまでしか習得してないから。それがセイントの最低条件なの。Bランクの破魔調律ね」
難しくて分からなかった。その日一日中付き合ってもらったが、へとへとで、どうやらこれは忍術や幻術の類なのだろうと思った。そんなのアニメの世界の事だと思っていたけど……。
ジョージとモリスはどんなに早くても習得には3カ月はかかるだろうと言い「疲れただろう?まぁ飯にしよう」ジョージがそう言った。
私はちょっと自信を失いかけていたけど、どうしてもセイントになりたいという気持ちも大きくなっていた。