任務遂行
譲は足の速い馬に引かせた馬車に乗って冷血の風穴に向かった。
「ここですか。」
「譲様、私達はあくまで運転のプロ、戦闘には参加できません。ここからはお一人で。」
「わかったよ。」
その洞窟は一歩踏み入れるとひんやりし、三歩歩くと心臓が凍りつきそうに寒い。遠くから人の叫び声、怪物の咆哮のような物が聞こえ落ち着かない。更に奥に進む。そこにドブロブだと思われる怪物が十体ほどいるようだ。ひのきの棒でドブロブを何度も何度もぶっ叩いている戦闘部隊と倒れたキューア達がいた。
一人ドブロブに噛み付かれたものがいるようだ。喋る事も出来ない。譲は早速モリスの言ったとおり胸に手を当ててみた。するとどうだろう、瀕死の男の心の声が聞こえる。
「うう、苦しいし手足が痺れる。俺はこんな所で死ぬのか?」
非常に危険な状態だと譲は認識した。大声で誰か解毒剤持っていませんか?と叫んだ。
「ほらよ。」ドブロブと戦っていた戦闘部隊の一人がドブロブに背中を向け危険も顧みず解毒剤をくれた。「注射は医療行為だから専門外なんだけどなー」とゴチながら血管を探る譲。
注射してしばらくするとその男は「いてて……」と呟きながら立ち上がった。
「あれ、譲様貴方が助けてくださったんですか?」
「いや……俺は注射しただけ。礼はあの大柄の男に言ってくれ」
「ああ、リーダーですか?流石傷一つ負っていない」
その男はドブロブを五体も倒し冷血の風穴を塞いだ。
「おお寒い」謙は聞いた。「貴方がリーダーなのですか?」
「まぁリーダーと言えばリーダーだがBグループだからな。ドブロブは毒が怖いだけでそんなに強くないし」
「あ、僕ケアマネジメント出来ました。」
「ほう、お前が異世界から来た救世主か。ええ乳しとるな」お前は大僧正か!心の中で呟いた。
「今度訓練してやる。まぁ俺よりジョージの方が強いがな。さぁ帰るぞ。」
何とか任務を遂行した譲だった。