VSクラーケン2
マリアードは粘着性のありそうなクラーケンの白い肌に閃いた。
「とんとんとん」と体を駆け上がり背中に回ったかと思うと「はっ!」と気合を入れ一瞬の内に5本の腕を切り落としてしまった。僅か1分にも満たない。
「グワー!」と悲鳴をあげたクラーケンは大量の墨を吐き出し砂浜に文字が浮かんだ。読み上げるマリアード。
「武器の極意知りたもう者全て我の力を貸与されし者。我の黒血と自らの血を混ぜ合わせ飲むが良い。斧使いはウォーリアに、弓使いはスナイパーに、刀使いは侍に、くない使いはアサシンに、剣使いはソードマスターとなるであろう」と読めた。
「頂くぞ。勝負はついただろう」
「く!痛い!痛い!何だその剣。刃がこぼれてボロボロではないか。ギューンの剣は研ぎ澄まされていたぞ」
クラーケンは断面がグチャグチャの腕の傷を残った腕でさすっている。
「仕方ないだろう。休まずこの剣で修行しているのだ」
空になったオートバイクルの動力炉の入れ物を使って墨を採取し、マリアードは自らの指に傷を付けビンを振って混ぜ合わせ飲んだ。するとマリアードの持っていた剣がパーっと光ったと思うと鋭く研ぎ澄まされ衣服が黄金の素材に変わった。
それは編み込みで重さを微塵も感じる事が無いどころか羽が生えたように体が軽くなった。「これは良い。バトルチェンジ成功だな。しかし剣の魔力が消えたか。まぁ良い。剣士に戻れば良いだけの話だからな」
鞘が2つになって片方の鞘はソードマスター、もう片方の鞘は血まみれで剣士に戻れるようだ。「助かった。クラーケン。こんなに容易いとは思わなかった。ついでにオートバイクルの燃料にこの墨を使おう。壊れた所でシド様も怒りはしないだろう」
ブーンと威勢の良い音を立てて走っていくマリアードの姿が消えるまでクラーケンは震えが止まらなかった。