セイント
「あの大僧正様、お聞きしたいのですけど!」譲は何とか女っぽく振る舞おうとしている。実は着替えている時自分の身体を見て鼻血を出している。
「何かな?」
「あのW属性が何とかと仰られていましたが。」
「おお、譲ちゃんは2つの属性を持って転生したという事じゃ」
「何か良い事があるのですか?」大僧正は髭をさすりながら別にないのうと言った。 ずっこける俺、じゃなくて私。
「嘘じゃよ。ケアマネージャーはキューアの上位属性じゃ。マギドPCを占拠されエルクスが断ち切られてから3百年。簡易ポッドで転生して人口の増減、年齢の高齢化を避けていたのだが、簡易ポッドは1人1回しか使えん。それで体力の低下と共に老人が増え出したのじゃ。それが何を意味するか、分かるかのう?」
私は介護を学んできている。しかし人間の平均寿命は男女平均して80歳くらいだ。もし3百年も生きている生物がいたら年齢と共に減少する物質が必ずあるはず。異世界の人間と言っても形作っているのは「水」が半分以上を占めるのは間違いないからだ。
「動けない人が増えてきているという事ですか?」
「まぁそういう事になる。マルクの人口は減少傾向を示している。忌々しき死という呪いによって」
「死が呪いですか?」
「そうじゃ。本来は転生という手段に依って記憶を紡いできたのじゃ。そしてこの土地が落ちない理由もちゃんとある」
「はぁ。」
私にはこの世界の事はまだまだ理解出来そうも無い。
「つまり簡素に言うが転生を許されない悪事を働いた者達がいる。その者達のフィリンによってこの土地は浮いているのじゃ」
「フィリン、浮いている……」
「まぁ良い。今度話そう」
大僧正は「ワシの部屋にセイントが2人いる。重鎮じゃ。セイントはケアマネージャーとプリーストのW属性を持つ者しかなれぬ。師事して、少し励め。静香殿は私が教育しよう」
そういうと男の姿の静香に抱きついて「えーん静香君、イイ男になりおって。女子を泣かすなよ」そう言うか言う前か、このスケベ!とビンタが飛んだ。