VSクラーケン1
オートバイクルとはどういう乗り物なのだろうと思っていたらどうやらヒューマンの血で走る乗り物のようだ。2リットル血液を失えば死ぬというから、この動力炉に直結している管の太さから出血量を推測して走るしかあるまい。コポコポと溜まっていく血液が500mlくらいになった所で出発する。
軽くふらつくが……何キロメートルくらい走れるだろうと思っていたがこのオートバイクル、カプセル型になっていて速度計は何と200キロを表示している。10分も経たない内に海に出た。つまり私は計算が苦手なのだがもしこの地が円をかたどっているとすれば半径20キロメートル程にも満たない広さという事か……帰りの事を考えると手荒な方法でバトルチェンジを習得するのはキツイ。
さてどうしたものかと考えていると遥か彼方地平線から何かがこちらに向かってきている。あの先にも国があるのだろうか等と思案している間に辺りは微かに暗くなった。
「なんだ?」マリアードが見たものは巨大なイカだ!イカの化け物!
「久々の餌だな。我はクラーケン。腹が減っていた所だ。丁度良い。肉等久しぶりよ」
マリアードは言った。「ちょっと待ってくれ。私はシド様の命の元にバトルチェンジを習得しにきたのだ。」そういうと黒い眼球の中の金色のリングが、がっと開き「シドか。また我の事を試すつもりか。こんな小娘をよこしおって」
「何の事だ?」マリアードが聞くとクラーケンは「その剣、血を吸ってかなり強化されているな。バトルチェンジしたければ我の10本ある腕を全て切り落として見せよ。そうして我の吐き出す墨が砂浜に極意を示すであろう。第一師団長のギューンは5分で終わらせたぞ。全く全ての腕が復活するまで1月かかるというのに!」そういうとクラーケンは襲い掛かってきた。
「くっ!意外に素早いな」10本も腕があるのだ。マリアードは一瞬で戦略を立てる必要性に迫られた。