静香はキング見習い
巫女服姿の静香はポッドに入り液体がキラキラ光る。次の瞬間鎖帷子と鉄製のガードルに身を包んだ少し長い髪の男が現れた。俺はとりあえず現実世界で着ていた服を見つけて着のみ着のままでその静香が男になる瞬間を見ていた。
ゆっくり階段を下りてくる静香。何かもじもじしている。「ねぇ譲私どうなっちゃったの?」
ああ、静香はかなり気が動転しているようだ。「転生したんだよ。男に。」「えー!」静香の細身の体はそのままで戦いに向いているとは思えないが。僕は大僧正に静香の属性を聞いた。大僧正はあごひげを触りながら「キング……見習いじゃな。」ずっこける俺。
そう言えばあの白い鎧を着ていた男女も「いずれ」王となると言っていたな。
とりあえず記憶の混乱はないようじゃな。とりあえず言葉使いを直す事から始めて欲しいのう。大僧正が言う。そんな急には無理だ。20数年俺は男、静香は女をやってきたのだから。
「善処します。」
俺と静香はそういうしかなかった。「譲君その服では目立つから僧侶服に着替えてもらえないだろうか。」
そうか俺はケアマネージャーとプリーストの属性だったな。この格好では受け入れられないだろう。辺りを歩いている異世界の住人はみな鎧や白衣を着ている。
白衣を着ているのは先程俺を連れてきたキューアという属性の者が大半のようだ。鎧を着ている者は剣士の様に見えるが剣をさしていない。「着替えてきますね。」俺はそう言ってこれで良いのか?と思いつつ女性用の更衣室に恥ずかしながら入って僧侶服に着替えた。